イランの昔話の絵本です。人間の妬む心や虚栄心、そして友情とは何なのかといった問題を、動物たちの姿を通して描きます。少し複雑な物語ですが、迫力のある絵にぐいぐい引き込まれます。
カリーナとディムナという2匹のジャッカルが森の中に住んでいました。森の王様のライオンにはトラやヒョウなどたくさんの手下がいましたが、2匹のジャッカルは手下から食べ物を分け与えてもらう下っ端。ディムナはそれが不満で、ライオンのお近づきになりたいと思っていました。
ある日、人間に飼われていたウシが森の近くのぬかるみにはまり、おきざりにされてしまいます。ライオンはウシのことをよく知らず恐れていましたが、ディムナがうまく立ち回り、ライオンとウシの仲を取り持ちます。ウシはライオンの一番の手下、いやそれ以上に、親友といえるような仲になりました。でもディムナは、ライオンが自分のことをすっかり忘れてしまったことに不満を募らせます。ディムナが次に取った行動は…。
ライオンとウシに悲劇が訪れます。ディムナの誤った行動を止められなかったカリーナも後悔の念にかられます。物語は終わっても、何かが重たく私たちの心に残ります。(店主)
2ひきのジャッカル
愛甲恵子 再話
アリレザ・ゴルドゥズィヤン 絵
玉川大学出版部
2021年4月15日発行
定価:2750円(本体2500円+税10%)
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