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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2015年9月30日水曜日

【本の紹介】おさる日記

おさる日記
偕成社 

和田誠 文
村上康成 絵

 船乗りのおとうさんからお土産にもらったのは小さいお猿でした。この日記は、おとうさんに抱っこされたお猿と「ぼく」が初めて会ったときから始まります。
 お猿に名前を付けました。おかあさんと相談して「もんきちしました。もんきちはブランコに乗れるようになるし、バナナを自分で剥いて食べられるようになるし、どんどん成長していきます。
 ぼくは学校で理科の時間に、魚がとかげになり、とかげが毛ものになってお猿になり、お猿が人間になったとうお話を聞きました。もんきちも毛は薄くなるし、尻尾も短くなって、だんだん人間になるみたい。
 日記形式でテンポ良くお話が進みます。もんきちの成長ぶりもかわいらしい。お話の最後は子供も大人もちょっとびっくり。読み終わっても、どきどきしてしまう楽しい絵本です。

2015年9月29日火曜日

【本の紹介】野鳥が集まる庭をつくろう

野鳥が集まる庭をつくろう
誠文堂新光社

藤井幹・井上正秀 共著

 わが家の庭にも、小鳥がやって来ます。スズメ、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラがお馴染みのメンバー。小鳥たちは木の葉の間でかくれんぼに忙しく、なかなかじっくりその姿を見せてくれません。でも、チュンチュンと鳴いて、来ていることを知らせてくれます。窓に近づいてそうっと外をながめてみれば、愛らしい小鳥たちに心癒されます。
 木があり、花が咲き実がなれば、小鳥たちは特に何もしなくても来てくれるのかもしれません。さらに一工夫、手を加えることで、もっと小鳥たちが集まるようになります。どうしたらよいのか、この本と一緒に考えてみましょう。
 小鳥を庭に呼ぶときはちょっと注意も必要です。人に迷惑をかけてしまうと、その楽しみも台無し。この本は何に気をつけたらよいのかも教えてくれます。
 小鳥を大事にすることは、小鳥が住み、そして私たちが住む環境を守ることになります。小鳥と遊びながら気持ちの良い庭をつくるって、素敵なことだと思いませんか。


2015年9月24日木曜日

【本の紹介】がたんごとん がたんごとん

がたんごとん がたんごとん
福音館書店

安西水丸 さく

 「がたんごとん」とやってくるのは、凛々しいお顔の機関車です。荷物を乗せる貨車が3つ。どこに行くのでしょう。
 「のせてくださーい」。次々にお客さんが乗ってきます。終点に着いて、みんなが降りると、そこには待っていたのは小さな女の子。何やら楽しいことが始まりそうです。
 黒一色の機関車をはじめ、とてもシンプルな絵で構成されています。お客さんが次から次へと乗ってきます。繰り返されるお話の展開に、小さいお子さんでもわくわく楽しめそうな絵本です。
 機関車は緑の草原を走っているように見えましたが、本当はお部屋の中だったのでしょうか。絵本の中では、限られた空間も無限に広がります。終点に着いた後、機関車は「さようなら」と言いながらどこかに行ってしまいます。さて、今度はどこに行くのでしょう。

2015年9月23日水曜日

【本の紹介】おつきさまのうた

おつきさまのうた
岩崎書店

なかじまかおり

 月夜は何故か胸がざわざわしてくることがあります。子どもたちもそうです。どこかそわそわ落ち着きません。部屋の灯りを消して窓の外を見てみましょう。空の青さがだんだん深くなり、こっちにお出でと誘っているようです。我慢できない友だちがやってきました。さあ、散歩に出かけましょう。
 花や草の笑い声が小さく聞こえます。大きな木やそこに住んでいる生き物の息も聞こえます。草原が風で波打ち、暗い森は月の明かりが散らばります。
 耳を澄ませば、また何か聴こえてきます。見上げれば、そこにいるのはお月さま。何が聴こえてきたのでしょう。
 夜のお散歩はちょっとこわいかもしれない。でも、明るいときとは違う何かがあるかもしれない。子どもたちは好奇心に後押しされ、自分の世界を広げていきます。


【ギャラリートーク】「なかじまかおり*本のしごと」

ギャラリートーク「なかじまかおり*本のしごと」
なかじまかおり氏

2015年9月19日(土)午後2時
東京都大田区・ティールグリーン in シードヴィレッジ

 装丁家として多くの書籍を手がけたなかじまかおりさんは、絵本作家としてもご活躍です。東京・大田区の絵本のお店、ティールグリーン in シード・ヴィレッジでなかじまさんのギャラリートークが開かれました。
 なかじまさんは絵を描くことについて、自分の中にしか「正解」がないと話しています。絵は自分の遊び心や楽しいと思ったことが表現されているものだから。そして、例えば雨上がりの夜、マンションの中庭に飛んできた蝶々を見つけたときに幸せを感じ、自然から多くのものを与えられていることに気づいたそうです。
 どこかから自分の中に落ちていくるそうした幸せを、なかじまさんは絵にしているのです。「自然からもらっているものをお返ししたい。なんとなくそう感じています」とも話されました。なかじまさんの絵本を読む人が笑顔になる理由がわかったような気がします。
 なかじまさんはNHK「みんなのうた」で放送された「おつきさまのうた」の作詞も手がけました。同じタイトルの絵本も出版されています。


2015年9月18日金曜日

【本の紹介】スーホの白い馬

スーホの白い馬
福音館書店

大塚勇三 再話
赤羽末吉 画

 これはモンゴルのお話です。主人公はスーホという羊飼いの少年。そして、スーホが大事に育てた白い馬です。ある日、スーホが草原で生まれたばかりの白い子馬を見つけて、家に連れて帰ったところから物語が始まります。
 子馬は雪のように白く、誰もが見とれるほどでした。スーホは白馬がかわいくてたまりません。白馬はかわいいだけではありません。羊を襲う大きなおおかみとも勇敢に戦う力も持っていました。
 ある年の春、殿様が町で競馬をするという知らせが伝わってきました。仲間たちから白馬と競馬に出るよう勧められたスーホは、見事一等になりました。でも白馬を殿様に取られてしまいます。この先、スーホと白馬にはどんな運命が待っているのでしょう。
 迫力のある絵でダイナミックに描かれたモンゴルの草原や町のようす。まるで映画をみているようにイメージが広がっていく絵本です。


2015年9月17日木曜日

【講演会】「『スーホの白い馬』ーモンゴルにかかる二重虹と画家赤羽末吉の人生」

講演会「『スーホの白い馬』ーモンゴルにかかる二重虹と画家赤羽末吉の人生」
赤羽茂乃氏

2015年9月12日(土)午後2時
千葉県習志野市・大久保公民館

 ロングセラー絵本の「スーホの白い馬」は、世界の多くの国でも子ども達に読み継がれているそうです。その魅力はどこにあるのでしょう。絵を描いた赤羽末吉氏のご子息の妻である赤羽茂乃氏が、絵に込められた画家の思いをお話されました。
 嘘は描かない。赤羽末吉が絵を描くときにいつも心がけていたことの一つです。モンゴルが舞台の「スーホの白い馬」でも、その姿勢は徹底されています。
 末吉は中国の旧満州で長年暮らし、モンゴルにも出かけて多くのスケッチを写真を残しました。大陸のおおらかさ、力強さに惹かれた末吉は、その魅力を子どもたちに伝えるとき、その真実の姿を描くことが不可欠と考えたのでしょう。旧満州から命がけで持ち帰った資料が大いに役立ちました。子どもたちも絵からリアリティを感じ取り、その魅力を理解したのだと思います。
 末吉は中国への深い尊敬と愛情を持ち続けました。そして日本人として、戦争に対する中国への責任も強く感じていました。赤羽末吉は絵本を通じて、平和の大切さも伝えたかったのだと思います。


2015年9月11日金曜日

【本の紹介】しょうぼうじどうしゃ じぷた

しょうぼうじどうしゃ じぷた
《こどものとも》傑作集
福音館書店

渡辺重夫 さく
山本忠敬 え

 ある街の消防署の隅っこに、ジープを改良した消防車のじぷたがいました。じぷたはちびっこでも働き者。小さなおうちの火事では大活躍です。
 でも、大きなビルの火事で飛び出していくのは、はしご車ののっぽくんと高圧車のぱんぷくんと救急車のいちもくさん。のっぽくんは長く伸びるはしごで、高いところから水をかけて火を消してしまうし、窓から人を助けることもできます。ぱんぷくんの力の強いポンプがあれば、火がどんなに熱くても一瞬に消えてしまいます。怪我をした人がいれば、いちもくさんはどこにでもかけつけて、素早く病院に運べることができます。ほかの消防車と並んだじぷたは、ちっぽけでみにくい自分が悲しくなりました。
 そのとき、隣の村で山小屋の火事が起こります。じぷたに出動命令が出ます。じぷたは山火事になるのを止めることができるでしょうか。
 丁寧に描かれた絵は迫力があります。表情豊かな消防車たちの会話も楽しめます。


2015年9月10日木曜日

【本の紹介】すてきな三にんぐみ

すてきな三にんぐみ
偕成社

トミー=アンゲラー さく
いまえよしとも やく

 主人公の三人組は、実はどろぼうです。三人とも黒マントに黒い帽子。今日も、夜になったら山を降り、獲物の馬車を探します。
 人を脅かす道具は3つ。「こしょう・ふきつけ」で馬に目潰し、「まっかなおおまさかり」で車を真っぷたつ、おしまいは「ラッパじゅう」。襲われた人たちは手も足も出せず、宝を取られてしまいます。
 ある日の夜、三人組が襲った馬車には孤児のティファニーちゃんが乗っていました。隠れ家に連れて来られたティファニーちゃんが聞きました。宝の山を「どうするの?」。それまで宝の使い道を考えてもみなかった三人組は相談を始めます。さあ、三人組はいったい何をしたのでしょうか。
 青い背景にうっすらと浮かび上がる黒いどろぼうたち。ちょっと怖いけど、ユーモラスな絵も楽しめる絵本です。

2015年9月9日水曜日

【本の紹介】こんとあき

こんとあき
福音館書店

林明子 さく

 こんは、きつねのぬいぐるみです。おしゃべりもできるし、自分で歩くこともできます。あきがあかちゃんの頃からの友達です。こんはあきと遊ぶことが大好きでした。
 あきが大きくなると、こんもだんだん古くなってしまいました。でも、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。こんを作ったおばあちゃんに直してもらえるからです。おばあちゃんは「さきゅうまち」に住んでいます。こんとあきは特急電車に乗り、おばあちゃんの家を目指します。
 こんは、お弁当を買いに行ってしっぽをドアにはさまれたり、砂丘で犬にさらわれて砂に埋められたり、散々な目に会います。元気が無くなったこんをおぶっておばあちゃんの家に連れて行ったのはあきでした。こんは、おばあちゃんの家ですっかり元気になりました。そしてお風呂にも入って、できたてのような綺麗なきつねになって帰りました。
 こんとあきの二人だけの旅に胸がどきどきしてしまいます。あきもいろいろなことを経験できた旅でした。


2015年9月7日月曜日

【本の紹介】フレデリック

フレデリック
好学社
ちょっとかわったのねずみのはなし

レオ=レオニ
訳 谷川俊太郎

 牧場を囲む石垣に、おしゃべりな5匹の野ねずみたちが住んでいます。お百姓さんが引っ越してしまい、牧場の納屋は傾き、サイロは空っぽ。もうすぐ冬が来るのに食べ物がありません。野ねずみたちは夜も昼も働き、食べ物を集め始めました。
 ところが、その中でフレデリックだけは何もしません。「こうみえたってはたらいてるよ」とフレデリックは言います。お日さまの光や牧場の色、それから言葉を集めているというのです。みんなが少し腹を立ててしまうのも、仕方がないかもしれませんね。
 冬が来て雪が降り始めます。野ねずみたちは、しばらくぬくぬく楽しく過ごしていましたが、食べ物が無くなるとおしゃべりをする気にもなりません。でもフレデリックが話始めると、不思議なことにお日さまのあたたかい光が感じられ、たくさんの色が見えてきました。言葉は詩になってみんなの心に響きます。
 ちょっぴり得意げなフレデリックに、みんなは大喜びで拍手喝采です。生き生きと動き回るかわいい野ねずみたちの魅力がいっぱいの絵本です。

2015年9月4日金曜日

【本の紹介】森の絵本

森の絵本
講談社

長田弘・作
荒井良二・絵

 森の中で、姿の見えない声が呼びかけます。
「いっしょにさがしにゆこう」
 探し物は「きみのだいじなもの」。それは流れる川の水の輝きであり、たくさんの花々の色です。明るい笑い声や美味しそうな匂い、思い出の詰まった本、窓から見つめていた夢、好きな人の手のあたたかさ。そして、その人の目の中に映る君自身だといいます。
 でも声は、最後に再び森に行こうと導きます。一番大事なものは森の中にあるというのです。森には豊かな時間があり、百年の時が過ぎても森は変わることはありません。森に育まれているのは命のつながりではないでしょうか。森の外まで探しに行ったのは、命の大切さを教えてくれるものだったように思います。
 読む人をまるで別世界に連れていってしまうような、深みと広がりを感じさせる絵も素敵です。

2015年9月3日木曜日

【本の紹介】おおきな木

おおきな木

あすなろ書房
シェル・シルヴァスタイン
村上春樹 訳

 「大きな木」に登場するのは一本の木と一人の少年だ。
 木は少年に、できる限りのものを与える。葉っぱは王様の冠となり、空腹を満たすりんごを与えることもできた。少年が成長すると、りんごを売ってお金を得ることも教えた。家が欲しいといわれ、自らの枝を与えた。遠くに行きたいという少年に舟を作りなさいと幹を与え、最後には切り株になってしまった。
 遠くへ行ったはずの少年は、年老いた後、木のところに戻ってきた。何も与えるものがない木。少年は静かに休める場所が欲しいといい、木は切り株になった自分に座りなさいという。少年は腰を降ろす。そして、木はしあわせを感じていた。
 少年は舟で遠くに行く前、「こころがかなしすぎる」といっていた。切り株に座り、どこか遠くをみているような少年。彼にも、しあわせを感じてほしいと願わずにはいられない。


【ごあいさつ】はじめまして!

ごあいさつ

くわのみ書房

 まだ準備中の絵本屋さんです。これからあなたにぴったりの絵本や児童書を紹介していきたいと思います。楽しい絵本が見つかりますように!

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...