ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2018年11月29日木曜日

国分寺でビブリオ・パドル!




 東京・国分寺市の「おばあさんの知恵袋」で毎月開かれているビブリオ・パドルに参加しました。「おばあさんの知恵袋」は絵本・児童書専門店。今月は11月28日の開催でした。
 今月のテーマは「鳥、とり、トリ」でした。「鳥」に限らず「こぶとり」「相撲とり」、はたまた「ニトリ」(!)など、何でもOK。参加者は持ち寄った絵本を紹介し合います。テーマに縛られず、自分のお気に入りの絵本を紹介してもよいことになっています。
 私が今回紹介した絵本は「はくちょう」(講談社)でした。内田麟太郎さんが文を書き、いせひでこさんが絵を描いています。小さな池で傷を癒す白鳥。白鳥が遠い北国に向かって飛び立つと、池の水は白鳥に姿を変えてあとを追います。ドラマチックな展開と美しい絵に引き込まれます。
 そのほか、今回取り上げられた絵本は「コッケモーモー!」(徳間書店)、「さとりくん」(クレヨンハウス)、「せかいをみにいったアヒル」(徳間書店)、「きつねのおきゃくさま」(サンリード)、「カラス」(戸田デザイン研究室)、「アンジェロ」(ほるぷ出版)、「ぼくのなまえはへいたろう」(福音館書店)、「落日と風のこと」(silentphase B)でした。また、「じゅんびはいいかい」(学研)、「こらっ、どろぼう!」(きじとら出版)、「カラスの教科書」(講談社文庫)、「カラスがまちにすんでいる(かがくのとも1990年11月号)」(福音館書店)も紹介されました。今回も興味深い絵本が紹介され、楽しいひとときを過ごしました。(店主)

【本の紹介】ワタナベさん




 くわのみ書房の店主はサラリーマン時代を東京の神保町で長く過ごしました。神保町にはスパゲティのナポリタンが美味しい喫茶店があります。店主も昼ごはんによく食べました。店主はナポリタンが大好きです。
 この絵本は鍋一つでナポリタンを作ってしまうお話です。作るのはワタナベさん。ワタナベさんは鍋料理を作る名人です。何といってもワタナベさん自身が鍋なのです。
 今日もワタナベさんのお店に大勢のお客様がやってきました。お店は寒い日に営業します。そして、鍋一つで作る温かい鍋料理を提供して喜ばれています。おでんのほか、ちゃんこ鍋やロールキャベツ、カレーに炊き込みご飯など、次々に作ります。ところが、その日最後のお客様が注文したのはナポリタンでした。ナポリタンはフライパンで作るもの。ワタナベさんは困ってしまいます。
 それでもワタナベさんは上手にナポリタンを作ることができました。鍋一つでどうやって作るのでしょう。この絵本の最後に書いてあります。店主も作ってみたいと思います。みなさんもぜひどうぞ。(店主)

ワタナベさん
北村直子

偕成社
本体1200円+税
2018年2月発行

2018年11月25日日曜日

【本の紹介】いっしょにかえろう




 女の子がライオンに頼みました。「いっしょに うちに かえってくれる?」
 学校からの帰り道、ライオンと一緒なら安心です。おしゃべりしてたら、退屈もしません。背中に乗せてもらって走れば、速い速い! 街の人たちはみんな、ライオンにびっくりしています。
 絵本は健気に生きる女の子のようすを描きます。女の子は途中で保育園に寄り、弟を引き取りました。その跡、買い物をして、家に着くと夕食を作ります。いつも夕食は子どもたちだけで済ませているようです。でも、今日はライオンが一緒です。そして、工場で働くおかあさんが家に帰るまで待っていてくれました。女の子はライオンに「よんだら またきてね」と頼みました。
 おとうさんの姿は家族と一緒に写った写真の中でしか見ることができません。頼もしく、やさしそうなおとうさんです。ふさふさの髪は、まるでライオンのたてがみのようでした。(店主)

いっしょにかえろう
ハイロ・ブイトラゴ 文
ラファエル・ジョクテング 絵
宇野和美 訳

岩崎書店
本体1300円+税
2018年3月23日発行

2018年11月23日金曜日

【本の紹介】ひらいてみると(ちいさなかがくのとも2018年12月号)




 絵の具で遊びながら美術作品を作りませんか? この絵本が作り方を教えてくれます。
 作り方は簡単です。まず、紙を半分に折ります。紙を開いて片側に絵の具を「ちょん」とのせます。もう一度、紙を折って上から「ぎゅーっ」と押さえます。紙を「そーっ」と開いてみると…。
 これはフランス語で「デカルコマニー」という美術表現の手法だそうです。日本語でいうと「転写法」。筆などで紙に直接描くのではなく、間接的に紙に絵の具を写す方法です。この絵本で紹介しているやり方以外に、ガラス板に絵の具を出してその上から紙を押し付けて絵の具を転写するといった方法もあります。
 出来上がりがどうなるか、やってみないと分かりません。無意識に作る表現です。誰にでも簡単にできます。絵の具が乾いたら、加筆したり紙を切り抜いて使うこともできます。楽しそうです。子どもと一緒にお楽しみください。(店主)

ひらいてみると(ちいさなかがくのとも2018年12月号)
福知伸夫 さく

福音館書店
2018年12月1日発行
本体389円+税

2018年11月22日木曜日

屋敷公民館の幼児家庭教育学級で講師役を務めました!



  習志野市の屋敷公民館で開講されている幼児家庭教育学級で講師役を務めました。講師というより、参加者によるオススメ絵本の紹介の司会進行役です。こちらが多くのことを教えられ、とても楽しいひとときでした。
 幼児家庭教育学級は3歳児の保護者の方を対象に開講されました。私は「オススメ絵本の読書会」と題した一コマを担当しました。当日の参加者は9人でした。
 参加者全員にお気に入りの絵本やお勧めしたい本を紹介していただきました。知らない絵本も多く取り上げられ、私自身とても勉強になりました。参加者の中から3人の方に絵本の読み聞かせにも挑戦していただきました。読み込んだ絵本だけあって、とても聞きやすく読んでいただきました。
 私も新刊の絵本を数冊紹介し、その中から2冊読み聞かせを行いました。子育て中は、読み聞かせを「する」ことはあっても「してもらう」ことはなかなかありません。大人も読み聞かせをしてもらうことで絵本をさらに好きになり、子どもの気持ちにもいっそう寄り添えるようになったのではないかと思います。(店主)

2018年11月21日水曜日

「東京物語散歩100」出版記念のミニ講演会とサイン会を開催します!




 習志野市内の東邦大学付属東邦中学校・高等学校で国語科教諭をされている堀越正光先生が今年9月に「東京物語散歩100」(ぺりかん社)を出版されました。くわのみ書房では今回の出版を記念し、著者によるミニ講演会&サイン会を開催します。
 本書は「物語散歩」のガイドブックです。物語散歩とは、小説で描かれた実在の場所を訪ね歩くこと。本を読んだだけでは味わえないプラスアルファの楽しみを見出すことができます。
 同時に本書は、著者がお薦めする小説のガイドブックでもあります。朝日新聞東京版に10年以上連載されていたコラムを編集してまとめました。取り上げた作品は100編。夏目漱石など明治の文豪による古典から最近の人気作家の小説まで、その幅広い作品の中から厳選しました。
 著者の堀越先生のミニ講演会では、本書に込めた思いや執筆に際してのこぼれ話などをお聞きし、物語散歩の面白さをさらに深掘りします。ミニ講演会終了後にサイン会も開催します。本書は当日、店内でも販売します。大勢の方々のご来場をお待ちしておリます。

■「東京物語散歩100」(ぺりかん社)出版記念
 堀越正光先生ミニ講演会&サイン会■

2018年12月15日(土)
会場:くわのみ書房
★ミニ講演会 15:00~16:00
参加費500円/定員10人/事前予約制になります。
★サイン会 16:00~17:00
参加費無料/本書は当日、店内で販売(1600円+税)します。

2018年11月18日日曜日

【本の紹介】東京物語散歩100




 小説で実在の場所がリアルに描かれていることがあります。物語の舞台になるその場所は、フィクションと現実の世界の接点となり、読者にとって特別な場所になります。そうした特別な場所を実際に訪ね歩いてみること。それが「物語散歩」です。
 この本は物語散歩のガイドブックです。朝日新聞東京版に10年以上連載されていたコラムを編集してまとめました。取り上げた作品は100編。夏目漱石や幸田露伴などの古典から又吉直樹や東野圭吾らによる新作、そしてライトノベルまで、その幅広さに感嘆します。
 著者の堀越正光さんは習志野市内の東邦中学校・高等学校の国語科教諭です。勤務先の学校の生徒たちと一緒に、課外活動として物語散歩を楽しむ機会もあるそうです。実際の物語散歩で小説の描写にそっくりの風景に出会い、驚かされたこともありました。当然、作家もその街を歩いたはず。自分とその作家や作品との距離が縮まった瞬間だったといいます。
 東京の街は物語の中で描かれることが多く、物語散歩の対象に事欠きません。物語に描かれた実際の場所を訪れてみると、作品を読んだだけでは気づかなかった新たな発見に気づくかもしれません。それこそが物語散歩の醍醐味です。読書の後に味わえるプラスアルファの楽しみです。どうぞこの本の中から、お気に入りの作家や作品を見つけてください。(店主)

東京物語散歩100
堀越正光 著

ぺりかん社
2018年9月10日発行
本体1600円+税


<お知らせ>
 くわのみ書房では「東京物語散歩100」の出版を記念し、著者によるミニ講演会&サイン会を開催します。ミニ講演会では著者から本書に込めた思い、また執筆に際してのこぼれ話などをお聞きし、物語散歩の面白さをさらに深掘りします。また当日お買い上げいただいた本書に、堀越先生がサインをいたします。著者と直接触れ合う貴重な機会となります。大勢の方々のご来場をお待ちしておリます。

■「東京物語散歩100」出版記念
 堀越正光先生ミニ講演会&サイン会■

2018年12月15日(土)
会場:くわのみ書房
★ミニ講演会 15:00~16:00
参加費500円/定員10人/事前予約制になります。
★サイン会 16:00~17:00
参加費無料/当日本書お買い上げの方対象です。

ミニ講演会のご参加はくわのみ書房までお申し込み下さい。
TEL.047-419-3567
電子メール:mulberrybookstore@gmail.com
(SNSによるお申し込みも受け付けます)

2018年11月17日土曜日

【本の紹介】いぶくろ(こどものとも年中向き2018年12月号)




 迫力のある絵が表紙を飾ります。舌なめずりしている鋭い目つきの顔。いったい何者でしょう。
 扉のページから物語が始まります。男とおかみさんと三人の娘の暮らしは貧しく、太った子豚が一匹いるだけ。子豚をソーセージやベーコンにして、少しずつ食べて生きながらえていましたが、すっかり食べつくしてしまい、残ったのは子豚の胃袋の肉詰めだけでした。
 胃袋の肉詰めは屋根裏の部屋に天井からぶら下げてあります。表紙の恐ろしい顔はこの胃袋でした。胃袋を食べるため、男の家族が取りに行きますが、そのたびに胃袋は「おいらが あんたを くってやる!」といって、家族全員を食べてしまいます。胃袋は重くなり、ぶら下げていたひもが切れて、外にころがり出ます。次々と人を飲み込んで大きくなっていく胃袋。これからいったいどうなってしまうのでしょう。
 ハンガリーの昔話の絵本です。胃袋の肉詰めは、今のハンガリーやその周辺の国々ではポピュラーな食べ物だそうです。こわそうなお話ですが、最後の展開はとてもユーモラス。奇想天外な昔話を堪能できます。(店主)

いぶくろ(こどものとも年中向き2018年12月号)
洞野志保 再話・絵

福音館書店
2018年12月1日発行
本体389円+税

2018年11月16日金曜日

【本の紹介】なりすます むしたち(かがくのとも2018年11月号)




 精密に描かれた虫たちが私たちを圧倒します。素晴らしい細密画が読む人を虫たちの世界に引き込みます。
 生き物は分類学的に近い仲間ほど、その姿がよく似ているそうです。一方で、近しい存在でもない相手に姿を似せている生き物もいます。この絵本は、そんな「なりすます むしたち」を紹介しています。
 虫たちはなぜなりすますのでしょう。作者のことばによると、天敵が自分を食べないように自分自身を守るため、また自分の獲物となる相手に気がつかれずにそっと近づけるようにするため。つまり、なりすますのは生き残るため。その必死な姿が私たちの心を打ちます。
 この絵本に登場する虫たちは、アブラムシやアリ、ハチなど、地味な存在ばかりです。でも、生き生きと描かれたその姿はとても魅力的です。懸命に生きてゆこうとする虫たちの姿から命の大切さを感じます。(店主)

なりすます むしたち(かがくのとも2018年12月号)
澤口たまみ ぶん
舘野鴻 え

福音館書店
2018年12月1日発行
本体389円+税

2018年11月15日木曜日

【本の紹介】よるはおやすみ(こどものとも2018年12月号)




 子どもたちには無尽蔵とも思えるエネルギーがあります。子どもたちにとって成長の糧となるエネルギーです。この絵本は、大きなエネルギーを発散させながら成長していく子どもたちの姿を見事に描いています。
 おかあさんから、みんなに「おやすみ」をいうようにいわれた子どもは、お隣りの子どもにも「おやすみ」をいってこようと外に出ます。お隣の子どもも外に出ています。そして、そのお隣の子どもも、外に出てきました。いつの間にか大勢の子どもたちが集まり、走り出しました。
 一体どこまで行くのでしょう。橋を渡り、船で海に漕ぎ出し、泳いで海を越えてジャングルを抜けていきます。崖っぷちから月を目指して空に飛び出しました。私たちは子どもたちの行動にハラハラするしかありません。
 作者は「おやすみ」の言葉には特別な重みがあるといいます。「おやすみ」は夜寝るときにいう言葉です。寝る前にそばにいる人は家族や恋人など、自分にとって特別な人だけです。でも、この絵本の子どもたちは出会うものすべてに「おやすみ」と呼びかけます。それができるのは、子どもたちが、自分が愛している特別なものに囲まれているからに他なりません。最後に、自分に「おやすみなさい」をいう子ども。安心して眠りにつく姿にホッとしました。(店主)

よるはおやすみ(こどものとも2018年12月号)
はっとりさちえ 絵

福音館書店
2018年12月1日発行
本体389円+税

2018年11月14日水曜日

【本の紹介】スウェーデンの変身する家具(たくさんのふしぎ2018年12月号)




 変身する家具とは、用途や目的に応じて形を変えられる家具のことです。スウェーデンではいろいろな変身する家具が作られていました。この絵本の作者は、変身する家具を通してスウェーデンの人々の森を愛する姿が見えてきたといいます。
 スウェーデンはとても寒い国です。スウェーデンの昔の人は、あたたかく過ごせるように家を小さく作りました。その方が暖炉やかまどの熱が部屋全体にすぐ回って快適に過ごせるからです。そして、小さい家の狭い部屋を広々と使えるように工夫して作った家具が、変身する家具だったのです
 変身する家具は日本でもよく見かけます。ソファがベッドになるソファベッドや天板が折り畳めるバタフライテーブルなどです。スウェーデンにも同じような家具があります。そのほか、箱形のベッドがあるそうです。箱の中にベッドをしつらえた家具です。家の中にもう一つ家があるようなもので、とてもあたたかく過ごせそうです。
 スウェーデンの人々は森の木を切って家具を作りました。スウェーデンには松や白樺の広い森があります。家具や家を作る上で、森の木は身近で加工しやすい素材でした。また森は、木の実やきのこを取ったり、熊や鹿をしとめて食料を得る場所でもありました。農作物が育ちにくいスウェーデンでは、森は人々が生きるためのよりどころでした。すべの人々が森の自然を楽しめる「自然享受権」という権利まで法律で認められているそうです。スウェーデンの人々は、森はみんなのものと考え、とても大切にしているのです。(店主)

スウェーデンの変身する家具(たくさんのふしぎ2018年12月号)
深井せつ子 文・絵

福音館書店
2018年12月1日発行
本体667円+税

2018年11月11日日曜日

「母の友」2018年12月号をお届けします!




 「母の友」2018年12月号をお届けします。特集のテーマは「老いるということ」。誰にでも訪れる「老い」について、あらためて考えてみるよい機会になります。
 東京大学名誉教授で、臨床医として終末期医療に取り組まれてきた大井玄さんにお話をうかがった記事があります。大井さんは、老年期には壮年期にできていたことが難しくなる一方で、生きる上で最低限の「呼吸し、食べ、消化し、排泄し」といったことにありがたさを感じるようになるといっています。「少欲知足」、つまり欲が少なく足るを知るということ。この四文字熟語は老年の心理をうまく表しているそうです。
 私自身も年齢を重ね、欲が無くなったとはいえませんが、満足できるレベルはかなり下がってきたことを実感します。満足を含む「主観的幸福感」というものは、年を取るに連れて上がってくるそうです。きっと誰もが幸せな老年期を迎えることができるのだと思います。
 ご自身の祖父の写真を撮り続けた写真家・映画監督の若木信吾さんのインタビューや、在日コリアンらのハルモニ(おばあちゃん)たちが元気に生きる姿を伝えるレポートもあります。どうぞ手に取ってご覧ください。(店主)

「母の友」2018年12月号

福音館書店
本体505円
2018年12月1日発行

2018年11月10日土曜日

妻の祖母のこと




 妻の母方の祖母は長く家庭文庫を開いていました。本や子どもたちに囲まれた生活を心から楽しんでいたようです。
 今年11月、「子ども文庫の100年」(高橋樹一郎、みすず書房)という本が出版され、この中で祖母の文庫のことも紹介されています。第2次世界大戦が激しさを増す中、大阪府から高知県本山町に疎開した祖母の一家は戦後もそのまま住み続けました。祖母がその地に文庫を開いたのは51歳になる1960年のことです。
 祖母の文庫は本山町では20年以上続き、その後祖母が移った滋賀県近江八幡市や神戸市でも続きました。神戸市で祖母は、妻の叔母の一家と同居する生活でした。「子ども文庫の100年」で本に溢れたようすが描かれていますが、実際に訪ねた叔母の家では玄関先から本が積まれていたことを覚えています。
 祖母はよく「文庫は20年やらないとその面白さが分からない」と言っていたそうです。2007年に97歳で亡くなった祖母が文庫に費やした年月は20年をはるかに超えています。祖母の影響を受けて生まれた家庭文庫も少なからずあったようです。妻には祖母から絵本などがよく送られてきました。祖母の影響は、たぶん妻を通じて私にも及んだのだろう思います。
 松岡享子さんにも、東京子ども図書館発行の「こどもとしょかん」(2018秋)159号に書かれた「高知への旅」の中で祖母についてご紹介いただきました。祖母の名前は瀬林杏子。文庫の名前は「せばやし子ども文庫」です。(店主)

11月の「YAの本を読む会」に参加しました!




 会留府で開かれている「YAの本を読む会」に参加しました。今月取り上げた作品は「パンツ・プロジェクト」(キャット・クラーク、三辺律子訳、あすなろ書房)でした。主人公はアメリカの中学生のリヴ。リヴは、外見は女の子でも心は男の子のトランスジェンダーです。
 リヴが行くことになったバンクリッジ中学は私立で「このあたりではいちばんいい学校」。でも、厳しい校則があり、服装規定で「女子」はスカート着用が必須とされていました。自分のことをトランスジェンダーと理解しているリヴにとってスカート着用は耐えられないルールです。
 リヴは服装規定の見直しに向けて行動を起こします。その名も「パンツ・プロジェクト」。ズボンの着用も認めてほしいという願いが込められています。いじわるなクラスメイトもいますが、まっすぐに行動するリヴの生き方は確かな共感を集めます。
 性の多様性については、LGBTという言葉が一般的に使われるようになるなど、社会の理解もずいぶん広がったように思います。でも、日本ではまだまだ不十分と思われる事態も発生しています。また先進的と思われるアメリカでも同様な状況はあり、リヴも自分らしく生きてゆくためには大きなハードルを超えなければなりませんでした。この作品はリヴの成長も心地よく描いています。
 LGBTは「レズビアン」「ゲイ、バイセクシュアル」「トランスジェンダー」の頭文字を集めた表記です。最近はこれにQをつけて、LGBTQと表記することが多くなったようです。Qは「クエスチョニング」を指し、自分の性、あるいは性的指向に確信が持てない人のことです。
 「YAの本を読む会」は毎月第2木曜日に千葉市にある児童書専門店の会留府で開かれます。今回は11月8日の開催でした。YA(ヤングアダルト)の作品を毎回1冊取り上げ、参加者同士で語り合います。(店主)

2018年11月9日金曜日

【本の紹介】ひなげしのおうじ




 王子さまが馬に乗って散歩に出かけるところからお話が始まります。王子さまはひなげしの姿をしています。馬の身体は小麦でできているようです。
 ひなげしの王子さまは森を抜け、小川をひらりとひとっ飛び。迷子になったひばりのひなを見つけると巣に戻してあげました。
 くもの巣があっても「へっちゃらだ」といって、突き破ってしまいました。それを見たクモおばさんはカンカンに怒ります。逃げようとした王子様さまはもぐらの巣に阻まれ、追いかけて来たクモおばさんとはさみうちにされてしまいます。危機一髪の王子さまを救うのは、さあ誰でしょう。
 この絵本のオリジナルは1944年にベルギーで出版されました。4冊からなる「もりのこえほん」シリーズの1冊です。グワッシュという不透明な水彩絵の具を使い、5色だけで多くのキャラクターを生き生きと描きます。ダイナミックなストーリーも楽しめる絵本です。(店主)

ひなげしのおうじ
エリザベス・イワノフスキー 作
ふしみみさを 訳

岩波書店
本体1000円+税
2018年3月23日発行

2018年11月8日木曜日

【本の紹介】チトくんとにぎやかないちば




 アフリカのにぎやかな市場が舞台の絵本です。野菜や果物、ヤシの油、サンダル、服など、いろいろな物を売っています。日本の市場とはだいぶようすが違います。
 チトはおかあさんにおんぶされて市場にやってきました。おかあさんの頭の上には、買ったものを入れるかごが乗っています。市場はにぎやかで楽しそう。チトがきょろきょろ見ていると、バナナ売りのアデさんがバナナを6本くれました。
 チトはバナナを1本食べて残りはおかあさんのかごに「ぽいっ」。おかあさんはお米を買おうとしていて気づきません。チトはいろいろな食べ物をもらい、少し食べたあとにどんどんかごに入れていきます。おかあさんが気づかないうちに、かごは食べ物でいっぱいになりました。
 この絵本の文を書いたアティヌーケさんは西アフリカのナイジェリアで生まれました。絵を描いたブルックスバンクさんも西アフリカで育ったそうです。この絵本で描かれた市場では売る人と買う人のつながりがとても強そうです。チトにやさしく接してくれる人ばかりで、とてもうれしくなります。チトのおかあさんはタクシーでお家に帰ろうとしますが、そのタクシーはなんとオートバイ。ちょっと驚きました。(店主)

チトくんとにぎやかないちば
アティヌーケ 文
アンジェラ・ブルックスバンク 絵
さくまゆみこ 訳

徳間書房
本体1600円+税
2018年3月31日発行

2018年11月7日水曜日

フリーペーパー「矢野家」の最新号(その23)を配布中です!




 矢野家の日常をつづったフリーペーパーの「矢野家」を配布中です。最新号のその23では、おかあさんのヤノさんが「自分の体、もっと気にかけよう」と呼びかけています。
 今年になってから体の不調を感じていたヤノさん。病院で検査をしても「異常なし」でした。でも別の総合病院を受診したところ、「たぶん、ストレス性神経痛じゃないかな」「好きなことに少しでも時間をとってみてください」といわれたそうです。
 その後、ヤノさんの体調は戻って一安心。子育てなどに忙しい毎日、ストレスや疲れは意識しないまま溜まってしまいがちです。子どもだけでなく、どうぞ自分のことも大切に!
 「矢野家」は発行人の矢野紗代子さんが、可愛いイラストを含め、ほぼ手づくりで制作しています。不定期の発行で、今回は前号から半年ぶりの発行。長男のタイちゃん(5才)、長女のアヤちゃん(2才)も成長しました。くわのみ書房でも無料で配布中です。(店主)

「矢野家」その23
発行:矢野紗代子
2018年10月25日発行

2018年11月3日土曜日

【本の紹介】あそぼう! はなのこたち




 「もりのこえほん」シリーズとして発刊された4冊の絵本のうちの1冊です。オリジナルは1944年にベルギーで出版されました。戦時中で絵本の出版もままならぬときだったようですが、工夫をしながらこんな素敵な絵本を作り出していたことに感動を覚えます。
 この絵本はいろいろな花の姿を借りた子どもたちが遊んでいるようすを描いています。「こまあそび」をしているのは「ひるがお」、「たけうま」に乗っているのは「あざみ」と「なでしこ」です。
 ページごとに一つの遊びを取り上げています。とてもシンプルな構成です。でも、花の子どもたちが今にも動き出しそうに生き生きと描かれています。絵を見ているうちに、一つひとつの小さな物語が思い浮かんでくるようです。
 絵の画材はグワッシュという不透明な水彩絵の具だそうです。5色しか使われていないとのことですが、繊細な仕上がりで豊かな表現力を感じさせます。(店主)

あそぼう! はなのこたち
エリザベス・イワノフスキー 作
ふしみみさを 訳

岩波書店
本体1000円+税
2018年3月23日発行

2018年11月2日金曜日

【本の紹介】くだもの ぱくっ




 くだものをとてもおいしそうに描いた絵本です。細密画のようですが、絵はすべて木版画。温かみのある柔らかな表現で、くだものの魅力を見事に描き切りました。
 各ページの中に、本物のくだものがあるように見えてきます。おもわず手を伸ばしてしまいそうな存在感です。
 りんごはそのままがぶっとかじります。この展開が面白い。子どもはどんな反応を見せてくれるでしょう。いちごはサンドイッチになりました。初めてフルーツサンドを食べたときの衝撃がよみがえります。
 この絵本のシリーズはこれで5冊目。これまでのラインナップにはパン、ケーキ、コロッケ、スープが並びます。どの絵本も、シンプルな構成が絵のよさを引き立てます。(店主)

くだもの ぱくっ
彦坂有紀・もりといずみ

講談社
本体1200円+税
2018年9月11日発行

2018年11月1日木曜日

アドベントカレンダーが入荷しました!




 クリスマスに向けて、アドベントカレンダーはいかがですか? 今年もアドベントカレンダーが多数入荷しました。
 アドベントカレンダーは1から24までの数字が書いてある窓を毎日1つずつ開けていくカレンダーです。12月1日から1の窓を開け始め、24の窓を開ける日は待ちに待ったクリスマスイブです。
 窓からどんな絵が出てくるか、毎日ドキドキしながら楽しむことができます。すべての小窓を開け終わったら次の日はクリスマス。クリスマスまで毎日わくわくして過ごしましょう。
 ドイツ製の華やかなアドベントカレンダーでお部屋を飾りましょう。子どもだけでなく、大人もきっと楽しめます。(店主)

谷津遊路商店街秋まつりと「木とこどものくらし展」に出店しました!







 くわのみ書房は、10月27日(土)は谷津遊路商店街秋まつり、28日(日)は「木とこどものくらし展」に出店しました。両日とも多くの方々にご来場いただき、ありがとうございました。
 谷津遊路商店街秋まつりには「Co-展」のメンバーの一員として急遽参加させていただくことになりました。Co-展は街でワクワクするモノ・コト・ヒトが集まって街の新しい楽しみ方を展示するというコンセプトのもと、くわのみ書房がある習志野市大久保の近辺で開催されているイベントです。今回のCo-展メンバーの参加を通じて、習志野市内の谷津と大久保のつながりがさらに深まることを願っています。
 「木とこどものくらし展」は昨年に続き、2回目の開催です。高知県の四万十川領域で生育した良質なヒノキを使用した子どもの家具・玩具を展示販売するイベントです。会場のギャラリー「林檎の木」は「ヒノキカグ大正集成」が提供する家具などのヒノキの香りで包まれ、とても気持ちのよい空間となりました。くわのみ書房は絵本などの販売のほか、森や木をテーマにした絵本の読み聞かせの「森と木にまつわるおはなし会」を開催。子どもたちと一緒に楽しいひとときを過ごしました。
 出店に伴い、両日の通常の店舗営業は休ませていただきました。ご迷惑をおかけしていたらごめんなさい。10月は「ならしの まちゼミ」のイベントもあり、くわのみ書房にとって充実の一カ月となりました。(店主)

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...