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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2020年8月28日金曜日

【本の紹介】「暮しの手帖」7号


 8月は平和について考える機会が多い時期です。8-9月号として発行された「暮しの手帖7号では「一冊の絵本から平和を語れば」という特集テーマが組まれています。

 7人の方が一冊の絵本を通じて平和について語っています。でも、取り上げられている絵本は、戦争に直接触れている絵本ばかりではありません。

 この特集の冒頭に、平和について考えることは、「暮らしや社会において守りたいもの」を見つめることと書かれています。守りたいものは私たち一人ひとりで違うはずです。守りたいものが何なのか、この特集に登場する7人は絵本の中から見出したようです。

 戦争のない平和な社会の実現を強く願います。併せて、この特集がその一助となること、また絵本について理解を深めるきっかけとなることを願います。(店主)



「暮しの手帖」7


暮しの手帖社

2020年7月25日発行

本体998円+税

【本の紹介】いつつごうさぎのきっさてん



 お料理大好きな五つ子のうさぎが大活躍する絵本です。いちごを使った料理がたくさん登場します。

 五つ子うさぎは車のお家に住んでいます。喫茶店にもなるお家です。朝ごはんを食べたあと、新しい旅に出発です。

 いちご畑がにぎやかです。いちご祭りの真っ最中でした。五つ子うさぎは、かごいっぱいにいちごを摘みました。さあ喫茶店をオープンさせましょう。

 喫茶店のメニューはいちごのサンドイッチ にパフェ、そしてケーキ。子どもたちが大好きなものばかり。「どんな ものでも おてのもの いつつごうさぎに おまかせあ〜れ!」。五つ子うさぎの喫茶店は今日も大人気です。(店主)


いつつごうさぎのきっさてん

まつおりかこ


岩崎書店

2020年2月29日発行

本体1200円+税

2020年8月27日木曜日

ボローニャ展に行きました!






 東京・板橋区立美術館で開催中の「2020イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」に行きました。イタリア北部の古都ボローニャで毎年開催されている国際的な絵本原画コンクールの入選作品の展覧会です。作家のセンスが光る原画の作品が数多く並び、とても見応えのある展覧会でした。今年のポスターやチラシ、チケットなどのイラストを担当されたのはオオノ・マユミさんです。オオノさんは習志野市出身のイラストレーター。くわのみ書房で茶話会も開いていただいたお馴染みの方です。

 このコンクールは、世界で唯一といわれている児童書専門の見本市であるボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアに伴うイベントとして1967年から行われています。毎年、世界中の作家たちから応募があります。子どもの本のために製作された作品を5枚1組で応募します。誰でも応募できることから、世界中の新人作家たちの登竜門としても知られています。多くの絵本を出版している作家の作品も、出版経験のない人の作品も同じテーブル上で審査されます。

 今年は66の国と地域から2574組の応募があり、24の国と地域の75組の作品が選ばれたそうです。5人の日本在住作家の作品も含まれています。韓国の作家も多かった印象があります。台湾や中国の作家も含まれていました。「ジャーニー 国境をこえて」(きじとら出版)や「ひみつのビクビク」(廣済堂あかつき)が出版されているフランチェスカ・サンナさんの作品も選ばれていました。サンナさんの原画がみられたことはうれしいサプライズでした。

 今年は新型コロナウイルス感染拡大の問題が発生し、残念ながらボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアは開催中止となりました。コンクール入選作品は展示されることなく保管されていましたが、イタリア・日本の関係者の努力により、日本でのボローニャ展開催が実現しました。板橋区立美術館開催のあと、四日市市立博物館(三重県)、石川県七尾美術館(石川県)、太田市美術館・図書館(群馬県)での巡回開催が予定されています。(店主)


2020イタリア・ボローニャ国際絵本原画展

板橋区立美術館

2020年8月22日(土)~9月27日(日)

2020年8月26日水曜日

【本の紹介】やねうらべやのおばけ




 子どもの友だちは、必ずしも人間だけとは限りません。屋根裏部屋に住むおばけが最初の友だちになることもあるのです。

 古いお家の屋根裏部屋に小さなおばけが暮らしていました。誰にも気づかれず、一人気ままに毎日過ごしていました。飛ぶこともできるのですが、おばけなのにこわがり屋さんで、部屋の外に出たことはありませんでした。

 でも、大きな月が出ていた夜、おばけは月に誘われるように外に飛び出します。家のまわりをぐるりと飛んだあと、すぐに屋根裏部屋に戻りました。すると次の日の朝から、おばけが寝ている屋根裏部屋に誰かが入ってくるようになりました。この家の子どもです。その日から毎日、子どもは屋根裏部屋を訪れます。

 おばけと子どもがどうやって友だちになったのか。それはこの絵本を読んでのお楽しみ。子どもは友だちをつくることで成長します。これは子どもの成長を後押しする絵本です。絵は木炭鉛筆で緻密に描いています。僅かに淡い色が効果的に使われています。不思議なタッチの絵は観る人を惹きつけます。(店主)

2020年8月25日火曜日

【本の紹介】さかながはねて



 さかながいろいろなものに変身します。お話の繰り返しが楽しい絵本です。

 お山のそばのお池でさかなが泳いでいます。さかながお池から飛び跳ねました。ねこの頭にくっついて、あらあら帽子になりました。

 元気なさかなはまだまだいます。次から次へと、お池から飛び跳ねます。ねずみのお耳にくっついてリボン、いぬのお目々にくっついてねがめ、その次はぞうのお口にくっついてマスクになりました。最後はみんなで夜のお空にくっついて、キラキラ光るお星さまになりました。

 表情豊かなさかなや動物たちがかわいらしく生き生きと描かれています。シンプルな言葉使いでテンポよくお話が進みます。巻末にこの絵本の内容に沿った手あそび歌も紹介されています。(店主)


さかながはねて

ぶん・中川ひろたか

え・森あさ子


世界文化社

2019年7月15日発行

本体900円+税

2020年8月21日金曜日

【本の紹介】はるとあき

 


 日本には四季があります。春から夏、秋、そして冬へと季節はめぐります。

 この絵本の主人公は、四季の中の「はる」と「あき」。はるとあきはお互いに会ったことがありません。春と秋の間には夏があり、秋と春の間には冬があるからです。だから、はるはあきに手紙を書くことにしました。

 はるは、桜の花のことを書きました。あきの返事には、コスモスの花のことが書かれていました。コスモスは秋の桜といわれていますが、あきは、はるの手紙で初めて桜のことを知ったのです。

 会いたくても決して会うことのない二人。はるとあきの、ちょっと切ない文通が続きます。季節ごとの楽しみを淡い色使いで表現した絵も素敵です。(店主)


はるとあき

斉藤倫・うきまる 作

吉田尚令 絵


小学館

2019年5月22日発行

本体1300円+税


2020年8月20日木曜日

【本の紹介】かぞえてみよう どうぶつスポーツたいかい



 数を数えて遊ぶ絵本です。動物たちのスポーツ大会の中から数えるものを見つけます。

 いろいろなものを数えます。「1」は1つだけしない優勝カップ、「2」は「ピッ ピー!」と2回なる笛の音、「3」はバタンと倒れた3つのハードル、といった具合。

 1から20まで数えます。数が大きくなると数えるのが大変ですが、がんばりましょう。20までいったら、いったん休憩。その後、20から1まで逆に数えます。

 柔らかいタッチの絵とリズミカルな文章が読む人を絵本の世界に誘います。たくさんの動物たちが参加するスポーツ大会も楽しそうです。(店主)


かぞえてみよう どうぶつスポーツたいかい

ヴィルジニー・モルガン 文・絵

石津ちひろ 訳


岩波書店

2020年4月7日発行

本体1400円+税

2020年8月19日水曜日

【本の紹介】つきのかがやくよる(こどものとも年中向き2020年9月号)


 月の輝く夜、白クマの親子が釣竿とばけつを持って歩いているところからお話が始まります。満月の夜は何か不思議なことが起こりそうな気がします。

 山の湖に着いた白クマの親子はさっそく釣りを始めます。とうちゃんの熊が言いました。「つきよの さかなつりは とくべつなんだ」

 子どもの白クマの釣竿にどんどん魚がかかります。金色の魚も釣れました。月の金色が染み込んだ鯉でした。金色のワニも釣れました。そして最後にびっくりするものを釣り上げます。

 黒い夜空に輝く満月が印象的に描かれています。月の光で白クマも金色に輝きます。リズミカルに続く親子の会話から家族の愛情が伝わります。(店主)


つきのかがやくよる(こどものとも年中向き2020年9月号)

古内ヨシ 作


福音館書店

2020年9月1日発行

本体400円+税

2020年8月18日火曜日

【本の紹介】ヤママユ(かがくのとも2020年9月号)



 ヤママユは蛾の一種です。カイコのように繭を作り、その中で蛹になります。この絵本は、ヤママユが卵から成虫になるまでのようすを丁寧に描きます。

 卵から生まれた幼虫は脱皮を繰り返して大きく成長します。脱皮ごとに少しずつ模様や色が変わるそうです。3回目の脱皮を済ませた幼虫は透き通るような緑色になるそうです。

 緑色の幼虫の姿は、餌になるコナラの葉っぱにそっくりです。天敵のアシナガバチに見つからないように身を守っているのです。やがて幼虫が作る繭も緑色。でも繭から出た成虫は黄茶色で、目玉のような模様が付いています。

 この絵本の付録の「作者のことば」から、ヤママユへの溢れる思いが伝わります。作者の岩淵真理さんは毎年初夏になると、コナラの枝をたくさんの瓶に入れ、ヤママユの幼虫の飼育を始めます。ときには根気も必要になりますが、自然が与えてくれる楽しみに興味は尽きないようです。(店主)


ヤママユ(かがくのとも2020年9月号)

岩淵真理 さく


福音館書店

2020年9月1日発行

本体400円+税

【本の紹介】「母の友」2020 年9月号


 依然として新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。先行きが見えない中で不安を感じている人は多いと思われます。

 いつもと違う夏を過ごす子どもたちも不安や、不安から来るストレスを感じていても不思議ではありません。「母の友」9月号の特集テーマは「不安とむきあう」。不安とどうやって向き合えばよいのか、専門家にお話を聞いています。

 子どものストレスに親としてどう対応すればよいのか、ネットのうわさとの付き合い方をどう考えるか、不安に対処するために必要な4つのポイントなど、まさに今参考になる記事があります。不安を正しく理解し、ストレスを減らした生活が維持できるように心がけたいと思います。

 大人のストレスケアの必要性も指摘されています。大人がイライラしていると、その気持ちが子どもに転移してしまうことがあるそうです。自分の気持ちをうまくコントロールできる方法を、私たちもあらためて考えてみたいと思います。(店主)


「母の友」2020年9月号


福音館書店

本体527円

2020年9月1日発行

2020年8月7日金曜日

【本の紹介】イカは大食らい(たくさんのふしぎ2020年9月号)


 イカの美しさに目を見張ります。イカの魅力を伝える写真が満載の絵本です。

 イカの体は半透明で光を反射させて輝き、その上、とてもカラフルです。イカの皮膚には色素を含んだ細胞がたくさん並び、周囲の環境によって体の色を自在に変化させることができるのです。

 よくイカの「足」といいますが、正しくは「腕」というそうです。もちろん腕は10本あり、このうち2本は触腕と呼ばれ、獲物を捕まえるため長く伸ばすことができます。イカはとても大食らい。大きな獲物に食らいつくその姿は圧巻です。

 海中を泳ぐその姿は、この絵本の作者がいうように、まるで宇宙生物のように思えます。キラキラ光る大きな目は、私たちに何を語りかけているのでしょうか。(店主)


イカは大食らい(たくさんのふしぎ2020年9月号)

吉野雄輔 文・写真


福音館書店

2020年9月1日発行

本体700円+税

2020年8月6日木曜日

セレクト絵本の棚が登場しました!


 くわのみ書房にセレクト絵本の棚が登場しました。絵本の読み聞かせの活動をされている二人組のユニット、《えほんの木》がお勧めする絵本をポップとともにご紹介します。

《えほんの木》は宮本由佳理さんと藤岡美保さんのお二人のユニット。くわのみ書房で大人を対象にした絵本の読み聞かせのイベント「大人のための絵本の会」を開催していただいています。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてイベント開催はしばらく控えています。そこで今回、お勧めの絵本を紹介する棚を店内に設けていただくことになりました。

 ご紹介する「えほんの木セレクト」の絵本は10冊。最新作からロングセラーまで揃えました。ポップもつくっていただいたので、併せてお楽しみください。

 今回のテーマは「この本知ってる?」。お二人のそれぞれの「押し」の絵本を取り上げていただきました。9月以降はまた別の絵本が並びます。(店主)

2020年8月4日火曜日

【本の紹介】マツオとまいにちおまつりの町


 コマ割り漫画のように構成された絵本です。にぎやかなおまつりのようすに心がウキウキしてきます。

 子どもがリコーダーを吹きながら歩いているところからお話が始まります。子どもの名前はマツオ。ちょっとゆううつな気分です。リコーダーのテストで、たくさん間違えてしまったからです。

 マツオは寄り道した公園の象のすべり台の上で練習を始めました。すると、どこからか笛の音が聞こえてきます。音を頼りに探っていくと、着いたところは「おまつりの町」。そこはおばけの住民が、毎日お祭りを楽しむ町でした。

 明るい色使いがお祭り気分を盛り上げます。描き込まれた絵は見応え十分。一匹のネコがマツオと行動をともにしています。各ページごとにネコがどこにいるのか、探し当ててみてください。(店主))


マツオとまいにちおまつりの町

スケラッコ


亜紀書房

2019年10月7日発行

本体1800円+税



【本の紹介】すたこら くものこ(こどものとも年中向き2024年5月号)

 クモの子どもの冒険に目が離せなくなる絵本です。逞しく自立を目指す子グモの姿に胸が熱くなります。  ここは公園でしょうか。一本の木にふわふわのクモの卵がくっついています。  卵から1匹のクモの子が出てきました。ピンクのお尻のかわいい子グモです。お日さまが「まだ さむいから たまご...