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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2020年9月29日火曜日

【本の紹介】水の絵本




 一編の詩に誘われ、水と一緒に旅するような絵本です。ページをめくるたびに現れる一つひとつの絵に深く吸い込まれそうです。

 家を出た親子は川に出るとボートを漕ぎ出します。水に抱かれたボートの上で、子どもは水の存在を心ゆくまで感じ取っているようです。

 詩は水について語ります。語り尽くせぬように言葉が重なります。そして、水が私たちにとってかけがえのないものであることをユーモラスに表現します。

 親子は旅を終え、家に戻ります。何も変わることはなく、いつもの生活がまた始まります。一緒に旅を終えた私は、水が豊かな世界にいることの幸せを感じ、感謝の気持ちでいっぱいになるのです。(店主)


水の絵本

作・長田弘

絵・荒井良二


講談社

2020年8月6日発行

本体1450円+税

2020年9月28日月曜日

赤羽末吉グッズが入荷しました!



 赤羽末吉の絵本から楽しいグッズが誕生しました。どうぞお手元に置いてご活用ください。

 数々の名作絵本を作り出した赤羽末吉。国際アンデルセン賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されている絵本作家です。今年は生誕110年・没後30年のメモリアルイヤーです。

 ただいま販売中のグッズは、それぞれおなじみの絵本の絵を使用して作られています。「ももたろう」の「おはなしミニレター」(税込660円)、「おへそがえるごん」のマスキングテープ(同550円)、「だいくとおにろく」のクリアファイル(A4サイズ、同330円)の3点です。

 絵本を感じながら気軽に使えます。店内で手に取ってご覧ください。(店主)

2020年9月25日金曜日

【本の紹介】どんなふうにみえるの?



 スケールの大きい絵本です。子どもが地球をおんぶしたり、だっこしたり、両手で持ち上げたりするようすを描きます。

 そんなことできる訳がない。大人はきっとそう思うでしょう。でも、この絵本を読めば、いとも簡単にできることが分かります。

 草の上に大の字になって寝転んでみましょう。そのようすを遠いところから見たら、ほら地球をおんぶしているように見えました! うつぶせに寝転べば地球をだっこしているみたい。まっすぐに逆立ちしたら地球を両手で支えているみたいに見えるはずです。

 視点を変えることで今までとは違った風景が見えてきます。小さな子どもが大きな地球を相手に遊ぶことだってできるのです。想像力を働かせれば、そこから新しい物語が始まります。(店主)


どんなふうにみえるの?

林木林/作

はたこうしろう/絵


鈴木出版

2020年3月16日発行

本体1300円+税

2020年9月24日木曜日

【本の紹介】みずをくむプリンセス




 アフリカはオレンジの光が美しく輝く大地です。でも、多くの人が、水を手に入れることがむずかしい環境の中で暮らしています。この絵本は、日々の生活のため、毎日水を汲みに行く少女の姿を描きます。

 少女の名はジージー。一緒に暮らすやさしい両親にとって、ジージーは大切なプリンセスです。

 プリンセスであっても、ジージーには水を引き寄せることはできません。だから、ジージーはおかあさんと水を汲みに出かけます。毎朝暗いうちから、壺を頭に乗せて歩きます。好きな歌を歌うと足取りが軽くなります。水場には大勢の人が集まり、ジージーは友だちと遊ぶこともできます。みんなが汲む水は泥の混じった茶色い川の水です。ジージーはいつの日か、冷たくて綺麗な水がすぐ手に入れられるようになることを願っています。

 世界には、近くに水がない生活をしている人たちが10億人くらいいるそうです。アフリカではそうした人々のために井戸をつくるプロジェクトが進められています。水は私たちの命の源であり、安全な水を得ることは誰にとっても必要なことです。この絵本は多くの人たちが水の問題に気づき、安全な水を届けるための力になることを願ってつくられました。(店主)


みずをくむプリンセス

スーザン・ヴァーデ/文

ピーター・H・レイノルズ/絵

さくまゆみこ/訳


さ・え・ら書房

2020年5月発行

本体1500円+税


2020年9月18日金曜日

【本の紹介】ここにいる




 おとうさんとのたくさんの思い出を色鮮やかに描いた絵本です。このおとうさんは、日曜日は畑仕事をしたそうです。春にはえんどう豆がたくさん採れました。えんどう豆の卵とじはおとうさんの好物です。

 ときどき、子どもたちを膝に乗せて、万年筆で絵を描いてくれたおとうさん。仕事の帰りに買ってきてくれたクレヨンは12色。本当は24色が欲しかったけど、それはいえなかったそうです。

 おとうさんとの思い出は尽きません。でも、やがておとうさんはこの世から旅立って行きました。作者は人生をまっとうしたおとうさんに「おめでとう」の言葉を贈ります。

 父親の死と向き合った作者の心情に心を打たれます。2年前に父を亡くした私も、とても慰められた気持ちになりました。父はもうどこにもいない。でも、私が思えば、いつも「ここにいる」。(店主)


ここにいる

あおきひろえ


廣済堂あかつき

2020年7月30日発行

本体1500円+税

2020年9月17日木曜日

【本の紹介】もじかけえほん かな?




 しかけ絵本です。絵が主役の絵本ではありません。文字が主役の絵本です。

 最初の見開きページは「さら」と描かれています。右ページは上半分しかありません。その右ページをめくると、あらあら不思議、「もち」に変わってしまいました。

 文字を解体すれば、一つの文字はいろいろな部品が組み合わさって構成されていることがわかります。違う文字でも共通する部品を持っていることがあります。同じ部品を使っていても、ほかの部品との組み合わせを変えることで別の文字をつくることができるのです。この絵本がやっていることは、文字を解体し、その組み合わせを再構築することです。

 なんて難しく考えるよりも、この絵本を手に取ってページをめくってみましょう。文字があっという間に変身することに驚き、「おもしろいなあ!」と思えば、それでいいのです。(店主)


もじかけえほん かな?

さく:大日本タイポ組合


偕成社

2020年5月発行

本体1200円+税

2020年9月16日水曜日

【本の紹介】じゃがいもひめとさつまいもひめ




 愉快なお話の絵本です。じゃがいもとさつまいもの喧嘩のようすを描きます。最後は仲直りすることができるのでしょうか。

 じゃがいものお城に住むお姫様とさつまいものお城に住むお姫様がいました。二人はとても仲が悪く、いつも喧嘩ばかり。じゃがいもとさつまいもがたくさんとれると、それぞれ自分のおいもの方が美味しいと譲りません。

 じゃがいもはフライドポテトやコロッケ、さつまいもはいもけんぴやスイートポテトに姿を変えて争います。でも食べてみれば、分かります。どっちも美味しい!

 美味しいものを食べるとき、二人のお姫様はとても幸せそう。仲直りもできて、食べる楽しみも増えました。よかった、よかった。(店主)


じゃがいもひめとさつまいもひめ

はらぺこめがね/作・絵


鈴木出版

2019年9月18日発行

本体1200円+税

2020年9月15日火曜日

【本の紹介】ボートにのろうよ(ちいさなかがくのとも2020年10月号)


 子どもがおとうさんと一緒に、大きな池がある公園でボートに乗ろうとしています。水面に浮かぶボートでは、いつもと違う世界が広がっています。どんな世界が待っているのか、この絵本でちょっとのぞいてみましょう。

 ボートに乗るとき、いつもと違う世界への入り口を通ります。ぐらぐら揺れるから、気をつけて通らないと無事に入れません。

 ボートを漕ぎ出しました。水の上に首を伸ばす亀が見えます。水の中に泳ぐ魚も見えます。ボートを漕ぐスピードを上げてみましょう。ボートに乗れば、カモとどっちが速いか競争することもできます。

 ボートの上に寝転ぶと、青い空が広がっていました。ゆらゆら揺れて気持ちがいい。いつもと違う世界を体験した感想はいかがですか? 次のお休みの日、お天気がよければボートに乗りに行きましょう。(店主)


ボートにのろうよ

杉田比呂美 さく


福音館書店

2020年10月1日発行

本体400円+税

2020年9月14日月曜日

【本の紹介】こぎつねとみつばち(こどものとも年中向き2020年10月号)




 こぎつねがかぼちゃを育てるお話です。絵は柔らかいタッチで自然を生き生きと描いています。

 こぎつねは、やまねこさんの畑にかぼちゃの種を撒きました。かぼちゃの花が開くと、そこにみつばちがやってきます。みつばちは花の中に入り、それっきり出てくる気配がありません。こぎつねは怒っていいました。「ぼくの かぼちゃから でてってよ!」

 すると、やまねこさんが教えてくれました。みつばちは花から花へと花粉を運んでいるのです。みつばちに花粉を運んでもらわなかれば、おいしい野菜は実りません。こぎつねはみつばちが気になって追いかけます。栗の木の穴に巣を見つけると、そこではたくさんのみつばちが光り輝いていました。

 一生懸命かぼちゃを育てるこぎつねの姿に心を打たれます。秋のはじめ、大きくてずっしり重たいかぼちゃができました。こぎつねはうれしそう。こぎつねをやさしく見つめるやまねこさんもうれしそうです。(店主)


こぎつねとみつばち(こどものとも年中向き2020年10月号)

こじまさとみ さく


福音館書店

2020年10月1日発行

本体400円+税

2020年9月11日金曜日

【本の紹介】うきくさ(かがくのとも2020年10月号)



 夏の田んぼは、うきくさに覆われていました。子どものころの思い出です。一面に広がる鮮やかな緑が印象的でした。この絵本は、うきくさの生態を詳しく紹介しています。

 うきくさは、その名前の通り、水に浮いている草です。水の中に垂れ下がっている根は、先っぽが少し膨らんでバランスを取りやすくなっているそうです。

 うきくさを田んぼの水底から見上げている場面では、ピンク色の根っこが天井を覆うようすを見ることができます。ちょっとビックリします。自然は視点を変えると、まったく違った姿を私たちに見せてくれるのです。

 小さな存在に思えるうきくさも、自然の中でダイナミックに活動しています。雨が多く降って田んぼから水が溢れ出ると、うきくさもに遠く離れたところに流され、そこで新しい生活を始めます。うきくさの強い生命力を感じました。(店主)


うきくさ(かがくのとも2020年10月号)

野坂勇作 さく


福音館書店

2020年10月1日発行

本体400円+税

2020年9月10日木曜日

【本の紹介】ぎんいろぴかぴか(こどものとも2020年10月号)


 夏の終わりのある朝、サトばあちゃんが裏の物置からほこりだらけの車輪を取り出しました。布切れでキュッキュと磨くと、車輪は銀色に輝く「ぎんいろぴかぴか」になりました。

 その日は夏祭り。サトばあちゃんは軽トラックで村の広場に向かいます。荷台には「ぎんいろぴかぴか」のほか、ござやいすなど、いろいろなものを乗せました。

 サトばあちゃんは広場の一番すみっこで「ぎんいろぴかぴか」を組み立てます。茶色のお砂糖のザラメを取り出し、「ぎんいろぴかぴか」の軸の真ん中の小さな穴に少しずつ落としてハンドルをくるくる回します。すると、白いふわふわ が浮かび上がってきました。そう、わたあめです。祭りが終わった次の日の朝、わたあめは空に飛ばされ、秋のひつじぐもになりました。

 季節の変わり目を叙情豊かに描く絵本です。私たちは空の色や雲の形の変化でも季節の移り変わりを感じ、その都度、感情を豊かに膨らませているように思います。(店主)


ぎんいろぴかぴか(こどものとも2020年10月号)

黒崎美穂 文

松成真理子 絵


福音館書店

2020年10月1日発行

本体400円+税


2020年9月8日火曜日

【本の紹介】はんぶんこ(こどものとも0.1.2. 2020年10月号)




 はんぶんこする楽しみを追体験できる絵本です。分かち合い、共有する喜びを、子どもと一緒に感じ取ってください。

 はんぶんこして楽しいのは、この絵本が描くように、やはり食べ物。同じものを同じ分だけ分け合って一緒に食べれば、その人と特別なつながりを感じます。柔らかいタッチで描かれた食べ物はどれも美味しそう。

 中がどうなっているか分かることも、はんぶんこの面白いところ。あんぱん、やきいも、にくまんなど、美味しそうな中身が見えると食べ物への期待も高まります。

 手ではんぶんこすると、きれいに半分ずつになるとは限りません。おにぎりの具がどちらかに片寄ってしまうこともあるでしょう。喧嘩をしないように仲良くはんぶんこしてください。(店主)


はんぶんこ(こどものとも0.1.2. 2020年10月号)

杜今日子 さく


福音館書店

2020年10月1日発行

本体400円+税

2020年9月7日月曜日

【本の紹介】「母の友」2020 年10月号



 コロナ禍の中で先行きが見通せない今、昔話に触れてみるよい機会かもしれません。「母の友」10月号の特集テーマは「今だから、昔話」です。

 昔話研究者の小澤俊夫さんのロングインタビューの記事が掲載されています。小澤さんは、昔話はいろいろな国で大人が子どもたちに語って聞かせていたことであり、そのことから、どこの国、どこの文化でも子どもを大事にしてきたことが感じられるといっています。

 先行きが見えない今でも、確かなことは、未来を担うのは今の子どもたちだということ。小澤さんは、今、大人にできることは、自分の近くにいる子どもたちを大事にすること、子どもの心が折れないように守ることにつきると訴えます。そんな大人の思いを、昔話を語ることで子どもたちに伝えられるのではないでしょうか。


 昔話がインタビュー記事の合間に昔話が一つ掲載されています。「お月お星」という宮城の昔話です。これをきっかけに、どうぞたくさんの昔話をお楽しみください。(店主)


「母の友」2020年10月号


福音館書店

本体527円

2020年10月1日発行

2020年9月4日金曜日

【本の紹介】ここは



 子どもが母親のひざの上にいます。子どもは「ここは、おかあさんのひざのうえです」とつぶやき、それを否定することなく、「まちのまんなかでもあります」とつぶやきを重ねます。

 さらに、ここは公園の近くでもあり、椅子の上でもあり、テレビの前でもある。子どもは、自分のいる場所が多層的であることを理解しているようです。

 最後に子どもは、「ここは、ぼくのまんなかです」とつぶやき、自分のいる場所を再確認します。母親のひざの上で、母親の心臓の鼓動を聞く。子どもにとって、ここは安心して身を任せられる場所です。

 深く広がりをもった世界を詩人のやさしい言葉で表現しています。絵がきちんとサポートし、その理解を容易にします。小さいお子さんも一緒に楽しめる絵本です。(店主)


ここは

文 最果タヒ

絵 及川賢治


河出書房新社

2020年6月30日発行

本体1300円+税

2020年9月3日木曜日

セレクト絵本の棚がリニューアルしました!



 くわのみ書房で絵本の読み聞かせの活動をされている二人組のユニット、《えほんの木》がお勧めする絵本を紹介しています。9月になって絵本のセレクトがリニューアルしました。

《えほんの木》は、大人を対象にした絵本の読み聞かせなどの活動を行っている宮本由佳理さんと藤岡美保さんのユニットです。10冊の絵本を選び、「えほんの木セレクト」として紹介していただきます。

 今回のテーマは「つくる」です。つくるものは多種多様。私たちが生きるということは、何かをつくるということにほかなりません。

 お二人によるポップもお楽しみ、どうぞ店内で手に取ってご覧ください。(店主)

2020年9月1日火曜日

【本の紹介】虫ガール



 この絵本をつくったソフィアは虫が大好きな子ども、11歳です。絵本をつくってしまうなんて、ソフィアはすごいですね。でも、ちょっと悲しい思いをしたこともありました。

 それはソフィアは小学校1年生のときのこと。学校で虫が好きなことをからかわれていじめられるようになったのです。ソフィアは虫のことをいったんお休みすることにしました。

 がっかりしているソフィアをみて、ママは昆虫学者のグループにメールを送ることにしました。ソフィアの「虫ともだち」になってもらえるように頼んだのです。メールはインターネットで紹介されました。するとソフィアのところに、世界中の虫好きな人たちからメールや手紙、ビデオが届くようになりました。虫好きな人がたくさんいることに、ソフィアはびっくり! ソフィアは、もう一人じゃない。

 それからソフィアは学校にも楽しく行けるようになりました。今では虫以外の好きなこともできました。でも、ソフィアはやっぱり虫といるときが一番幸せな「虫ガール」です。この絵本のお話は本当にあったこと。ソフィアはカナダのオンタリオ州でおかあさんと一緒に暮らす実在の子どもです。(店主)


虫ガール

文 ソフィア・スペンサー(虫ガール)/マーガレット・マクナマラ

絵 ケラスコエット

訳 福本友美子


岩崎書店

2020年4月30日発行

本体1500円+税

【本の紹介】ピーターとオオカミ


 子どものための音楽物語の「ピーターと狼」が絵本になりました。お話はロシアの民話がもとになっています。ユーモラスで迫力ある絵もお楽しみください。

 緑あふれる野原はピーターたちの遊び場。小鳥のバディやアヒルも一緒です。ネコがバディを狙っています。野原にはネコよりこわいオオカミもやって来ます。一人で野原に出て行ったピーターはおじいさんにしかられ、家に連れ戻されてしまします。

 ピーターがいなくなると、オオカミが森の中から現れました。オオカミはアヒルを一口で飲み込んでします。それでもまだまだはらぺこのオオカミにバディやネコも狙われます。ピーターはオオカミを捕まえようとしますが、果たしてうまくいくでしょうか。

 この音楽物語をつくったのはロシアの作曲家のセルゲイ・プロコフィエフです。オーケストラの楽器で登場する人物や動物たちを表現しまています。2019年のセイジ・オザワ・松本フェスティバルで上演されたとき、降矢ななさんの絵がスクリーンに映し出されました。この絵本はそのとき使われた絵を加筆・修正して作られました。(店主)


ピーターとオオカミ

降矢なな/絵

ペテル・ウフナール/絵

森安淳/絵


偕成社

2020年3月発行

本体1500円+税

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...