思いやりに満ちた絵本です。コラージュの手法で描かれたと思われる絵からも温かい心が伝わります。
アーモがシチューをつくっています。誰かがドアを「トントン!」と叩きます。美味しそうな匂いに誘われて、ミニカーをもった子どもがやってきました。アーモが少し分けてあげると、「ありがとう、アーモ!」といって、いそいそと帰っていきました。
そのあとも次から次へと、いろいろな人がアーモの部屋のドアを叩きます。おまわりさん、ホットドッグ屋さん、そして市長さんまでやってきました。アーモは誰かが来るたびにシチューを分けてあげたので、夕ご飯のときには、お鍋の中は空っぽ。アーモががっかりしていると…。
この絵本をつくったオーゲ・モーラさんはアメリカの絵本作家です。ご両親はイボ語を母語とするナイジェリアのご出身。「アーモ」はイボ語で「女王」という意味だそうですが、モーラさんにとっては「おばあちゃん」を呼ぶときの言葉でした。モーラさんのおばあちゃんも多くの人にシチューを振る舞ったそうです。おばあちゃんや愛に満ちた人々の精神がこの作品を生み出しました。(店主)
ありがとう、アーモ!
オーゲ・モーラ
三原泉 訳
鈴木出版
2020年8月28日発行
定価 本体1500円+税
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