ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2021年2月23日火曜日

イベント中止、最終決定のお知らせ



 習志野高校吹奏楽部が舞台となった書籍の出版記念で開催が予定されていたトークイベントとミニコンサートの中止が最終的に決定しました。「習志野高校吹奏楽部 青春シンフォニー 見つけよう!私たちが輝く夢舞台」として当初2021年1月9日に千葉県習志野市のプラッツ習志野市民ホールで開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、いったん中止となり、日程の延期が検討されていました。その後、残念ながら最終的に中止の決定に至りました。「美爆音! ぼくらの青春シンフォニー 習志野高校吹奏楽部の仲間たち」(岩崎書店)の出版記念のイベントとして企画されていました。詳しい情報はプラッツ習志野のウェブサイト(https://narashino-future.jp)をご覧ください。(店主)

2021年2月20日土曜日

【本の紹介】じょうずにできるかな?



 子どもが朝起きてから出かけるまでのようすを描いた絵本です。絵本の世界で新しい一日が始まります。

 この絵本は知的障がいのある子どもたちが生活習慣を身に付けられるようにとの願いから作られました。一日の始まりの行動を、歯磨きから朝食、トイレという流れで順番に描いています。

 特徴は「アルバム絵本」であること。一つひとつの行動の場面に写真を入れられるスペースがあります。自分の写真と組み合わせることで、障がい児が絵本に描かれた行動を自発的に行えるように促す狙いがあります。でも、障がい児だけでなく、多くの子どもたちが楽しめる絵本に仕上がりました。

 作者の花光翔太さんは元小学校教師で、現在は千葉県船橋市で障がい児を預かる放課後等デイサービス施設を運営しています。花光さんは、障がい児は言葉によるコミュニケーションがむずかしく、多くの親が日常生活をスムーズに行えないことに悩んでいる現状があることに気づき、この絵本を自ら制作・出版しました。資金の一部はクラウドファンディングで調達したそうです。(店主)


じょうずにできるかな?

さく・はなみつしょうた

え・しばたあきこ


本体1200円+税

2021年2月19日金曜日

【本の紹介】母の友2021年3月号


 私たちは一人ひとり違うはずです。でも、それを認めることに高いハードルが存在しています。

 そんな現状に「母の友」が問題提起しています。2021年3月号の特集では「さよなら、”みんなと同じ”」をテーマに取り上げました。

 自分の意見が多くの人と異なるとき、それを主張することはなかなかむずかしいと思います。個人の意見を尊重するという考え方が、私たちの日本社会ではまだ浸透しきれていないところがあるからです。

 目指すところは一人ひとりに優しい社会です。その前提として個人が尊重される社会を作る必要があります。この特集が、私たちの意識改革のきっかけの一つになればよいと思います。(店主)


「母の友」2021年3月号


福音館書店

2021年3月1日発行

本体527円+税

2021年2月17日水曜日

【本の紹介】はるがきた! いいもの いくつ?




 お目当てのものを探して数える絵本です。春の兆しを数えます。公園まで春を探しに行きましょう。

 まず見つけたのは1本のつくし。これは簡単。だんだん難しくなってきます。2匹のてんとうむし、3匹のかえる、4匹のかなへび、5羽のつばめと続き、芽の出たどんぐりを6個見つけるのは大変そう。

 数えるだけの楽しみではありません。地表から池、空まで、春の景色が丁寧に描かれています。隅々まで眺めて、あなたの好きな春を見つけてください。思わぬ発見もあり、ちょっとびっくりしたりします。

 数を数える絵本を英語では “Counting Book” というそうです。探すことの楽しみ、そして数えることの楽しみをたっぷり味わってください。(店主)


はるがきた! いいもの いくつ?

おおたぐろまり さく


福音館書店

2021年3月1日発行

本体400円+税

2021年2月16日火曜日

【本の紹介】ちいさいじてんしゃ りんちゃんのおはなし(こどものとも年中向き2021年3月号)




 自転車と子どもの初めての出会いを描く絵本です。ある街の自転車屋さんに小さい自転車が一台置かれていました。

 真っ赤な子ども用の自転車で、「ちりん」と鳴る銀色のベルが付いています。名前は「りんちゃん」です。

 りんちゃんは自分にぴったりの乗り手が現れることを待っていました。ある日やってきたお友だちは、りんちゃんに乗るにはちょっと小さすぎたようです。次の日にやってきたお友だちは大きすぎたようです。それから何日かたって、やっとりんちゃんにぴったりのお友だちがやってきました。でも、その子はおかあさんに呼ばれて、そのままお買い物に行ってしまいます。りんちゃんはがっかりです。

 自転車に乗ることは、子どもにとって自立の第一歩かもしれません。子どもは自転車をパートナーにして自立していくのです。自転車と子どもは友だち同士。りんちゃんにも仲良くなれるおともだちができたようです。(店主)


ちいさいじてんしゃ りんちゃんのおはなし

ねぎしたかこ 文

にしかわおさむ 絵


福音館書店

2021年3月1日発行

本体400円+税

2021年2月13日土曜日

【本の紹介】海と川が生んだたからもの 北上川のヨシ原

 


 宮城県石巻市の北上川河口にあるヨシ原のようすを記録した写真絵本です。ときおり写真を補うように使われている絵は素朴で温かみがあります。

 作者の堀内孝さんは今から20年以上前にこのヨシ原と出会い、写真を撮るようになりました。黄金色のヨシ原が広がる河口の風景に圧倒されます。4月になると、火をつけてヨシを焼き尽くしてしまう「火入れ」が行われました。火入れのあと、1カ月もすると、新しく芽生えたヨシの草丈は1メートルを超え、河口一帯が緑の絨毯に変わります。

 ヨシ原には多くの生物が集まります。野鳥や昆虫だけではありません。栄養豊富な北上川の水はヨシ原できれいに浄化され、シジミが大きく美味しく育つそうです。河口にはたくさんの種類の魚介類も住んでいます。牡蠣が育ち、周辺の海ではワカメやホタテも養殖しています。

 2011年3月11日、河口の風景が一変します。東日本大震災による津波が河口を飲み込み、あらゆるものが消え去りました。震災前のような豊かな自然は、もう戻らないのではないかと思われました。でも、多くの人々の努力により、環境回復が進んでいます。いつか北上川河口のヨシ原を訪ねてみたいと思います。(店主)


海と川が生んだたからもの 北上川のヨシ原

堀内孝 文・写真

牧野伊三夫 絵


福音館書店

2021年3月1日発行

定価700円+税


2021年2月12日金曜日

【本の紹介】おおきいくまさん ちいさいくまさん(こどものとも0.1.2. 2021年3月号)




 大きい家には「おおきいくまさん」が住んでいます。小さい家には「ちいさいくまさん」が住んでいます。

 おおきいくまさんが、ご飯をむしゃむしゃ食べると、ちいさいくまさんも、ご飯をむしゃむしゃ食べます。体操もトイレも、ラッパを吹いて遊ぶことも同じ。おおきいくまさんとちいさいくまさんは同じように1日を過ごします。

 でも、おおきいくまさんとちいさいくまさんが交じり合うことはありません。不思議な構成の絵本です。2匹のくまさんはどういう関係なんでしょう。どうぞ自由に想像してみてください。

 絵は陶板画です。素朴な線描と、あたたかみのある柔らかな質感の絵が目に馴染みます。(店主)

 

おおきいくまさん ちいさいくまさん(こどものとも0.1.2. 2021年3月号)

南塚直子 さく


福音館書店

2021年3月1日発行

本体400円+税

2021年2月11日木曜日

【本の紹介】どうぶつたちの おひっこし〜どうやって はこぶのかな?〜(かがくのとも2021年3月号)

 


 動物園で飼育されている動物たちのほとんどは、もともとは野生動物です。動物たちは、生息地の自然の中から、私たちが暮らす人間社会の動物園に運ばれて来るのです。

 また動物園では、繁殖を目的に動物を他の動物園と交換したりすることがあります。動物たちのお引っ越しです。動物たちはどうやって運ばれるのでしょう。

 この絵本で動物たちを運ぶ方法が分かります。動物の種類に応じて、時間をかけて丁寧に運んでいることに感心したり驚いたり。ここで取り上げられなかった動物たちの輸送方法を想像してみるのも楽しい。

 動物たちをきめ細やかに描いて好感が持てます。そして、飼育係の人たちが楽しそうに仕事をしているようすも伝わってきます。(店主)


どうぶつたちの おひっこし〜どうやって はこぶのかな?〜(かがくのとも2021年3月号)

平山暉彦 さく


福音館書店

2021年3月1日発行

本体400円+税

【本の紹介】なぞなぞ(こどものとも2021年3月号)




 なぞなぞの絵本です。とてもシンプルな構成です。なぞなぞは子どもも大人も楽しい。だから、この絵本も、誰もが楽しめます。

 空想の人物や動物を当てるなぞなぞです。ユーモラスに描かれた人物や動物たちを眺めているだけでも楽しくなります。

 多種多様なものたちが描かれています。描かれたものたちは、それぞれの物語を持っています。なぞなぞが終わっても、その物語を追うことができます。内容豊かな絵本です。

 作者の安野光雅さんは昨年末に亡くなられました。最後まで創作意欲を失わず、私たちを楽しませる絵本を届けてくれたことに深く感謝したいと思います。(店主)


なぞなぞ(こどものとも2021年3月号)

安野光雅 さく/え


福音館書店

2021年3月1日発行

本体400円+税

2021年2月6日土曜日

【本の紹介】悲しみのゴリラ




 大切な人を亡くした人の気持ちに寄り添う絵本です。大好きなママを亡くした子どもを見守ってくれたのは大きなゴリラでした。

 子どもは、どこからともなく現れたゴリラに話しかけます。「ぼくのママ、しんだんだよ」。ゴリラは知っていました。「そうだね しってるよ」。

 ゴリラの姿を見ることができるのは、その子どもだけのようです。子どもは問いかけを続け、ゴリラとの会話を通じてママの死を受け入れられるようになります。

 パパは子どもとママの思い出を語り合えることを辛抱強く待っていたようです。ゴリラは子どものそばを離れるときが来たことを知り、去っていきます。もう子どもがゴリラのことを思い出すことはないかもしれません。(店主)


悲しみのゴリラ

ジャッキー・アズーア・クレイマー/文

シンディ・ダービー/絵

落合恵子/訳


クレヨンハウス

2020年12月1日発行

本体1800円+税

2021年2月5日金曜日

【本の紹介】こわす こうじのえほん




 工事現場を見ていると飽きることがありません。その非日常性に多くの人が引きつけられているのだろうと思います。

 建物の解体工事を描くこの絵本も、私たちを非日常の世界に引き込みます。日常と異なる様相が私たちの魂を揺すぶります。

 絵と一緒に、豊かな音の表現も楽しみましょう。文字の形や並べ方を工夫したオノマトペは、まるで工事現場にいて実際に音を聞いているかのように思わせます。

 解体工事の現場は、やがて公園になりました。私たちも非日常から日常の世界に戻ります。(店主)


こわす こうじのえほん

サリー・サットン さく

ブライアン・ラブロック え

あらやしょうこ やく


福音館書店

2019年3月15日発行

本体1500円+税

2021年2月4日木曜日

絵本で冬の楽しみを再確認しましょう!

 


  絵本の読み聞かせの活動をされているユニット、《えほんの木》の宮本由佳理さんに選書をお願いしている書棚をご覧いただけます。テーマは「ゆき・こおり」。まだまだ寒い冬は続きます。絵本で冬の楽しみを再確認しましょう

 コロナウイルス感染拡大の第三波を受けた感染緊急事態宣言が延長されました。依然、外出がしずらい状況が続きます。絵本はステイホームを豊かな時間にしてくれます。どうぞ手に取ってご覧ください。(店主)

【本の紹介】かぼちゃのすーぷ うまうまううう!





 こぶたとはりねずみが一緒にかぼちゃのスープを飲み始めました。でも、熱々のスープに「あっちっち〜」。冷まさないと飲めないようです。

 そこで2匹は「ふぅ〜 ふぅ〜 ふぅ〜 ふぅ〜」。はりねずみが「もういいかい?」と聞きました。でも、こぶたは「まぁだだよ」。

 スープはなかなか飲めるようになりません。はりねずみは、団扇や扇風機まで持ち出します。こぶたが「もういいよ」というと、2匹はそろって「うまうまううう!」。かぼちゃのスープは「おいしいね〜」。

 食事の時間は子どもも大人も楽しみです。誰かが一緒にいてくれたら、その楽しみは格段にアップします。この絵本で楽しいお食事タイムを過ごしましょう。(店主)


かぼちゃのすーぷ うまうまううう!

もりながあけの


ニジノ絵本屋

2020年10月31日発行

定価1320円(税込)

2021年2月2日火曜日

【本の紹介】あの湖のあの家におきたこと




 ドイツ・ベルリンの街のはずれに湖があります。そのほとりに一軒の木の家が建っています。この絵本はその家の物語を伝えます。家の物語は私たちの物語と重なります。色彩を抑えた絵が私たちの感情に寄り添います。

 家ができたのは、今から100年近く前のこと。医者の一家が騒々しい街を離れ、自然の中で暮らそうと思い建てたのでした。その一家はユダヤ人でした。

 ときは流れ、街では何かが大きく変わり始めます。湖の辺りの家に住む人たちも変わります。私たちは知っています。戦争があり、戦争が終わると街は高い壁で分断されていたことを。

 住む人もいなくなった家。それでも家は、そこにあり続けました。やがて一人の若者がやってきてドアを開けました。若者は村の人たちの助けを借りて家を片付けます。家はぴかぴかになり、若者はだんろの上にひいおじいさんとひいおばあさんの写真を飾ります。写真の夫婦は、この家を建てた医者とその妻でした。(店主)


あの湖のあの家におきたこと

トーマス・ハーディング/文

ブリッタ・テッケントップ/絵

落合恵子/訳


クレヨンハウス

2020年11月1日発行

本体1800円+税

【本の紹介】わかってるって




  表情豊かに描かれた細密画のアライグマに親しみを感じます。多くの人に共感を与える絵本です。

 アライグマの子どもは、おかあさんが年下の赤ちゃんばかりかわいがるので穏やかではないようす。いつもはよいおにいちゃんですが、不安な気持ちが爆発して、とうとう泣き出してしまいます。

 ところがその夜、眠りながら大きな泣き声を上げ始めたのはおかあさんでした。おにいちゃんがどこかに行ってしまう夢を見たのです。おにいちゃんは戸惑いながら、「ぼく ここに いるよ だいじょうぶだよ」と元気づけます。

 子どものおかあさんへの思い、そしておかあさんの子どもへの思いは、ときどきお互いに伝わっていないようにみえるときがあります。そんな不安なひとときの経験がおかあさんと子どもの絆を強くします。おかあさんは赤ちゃんもおにいちゃんも大好きだってこと、おにいちゃんは「わかってるって」。(店主)


わかってるって

しもかわらゆみ さく


イマジネイション・プラス

2020年10月発行

本体1500円+税

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...