国宝の絵巻「鳥獣人物戯画」(鳥獣戯画絵巻)が絵本に生まれ変わりました。800年から900年も昔に描かれたかえるやうさぎ、さるたちがいきいきと動き始めます。
ここは山深い森の中。今日はこれからお祭りです。腕くらべや力くらべが見ものです。かえるとうさぎは相撲で勝負。かえるがうさぎをうっちゃりで投げ飛ばし、見事一等賞を取りました。
ところが事件が勃発します。かえるがお腹を天に向けたまま動きません。楽しいお祭りはかえるのお葬式になり、一等賞のご褒美がそなえられました。お経を読むのはさるのお坊さん。おやおや、このお坊さんはおそなえのご褒美を全部預かるといっています。何か怪しい!
元の鳥獣戯画絵巻にはことばがありません。何の物語があるのかも謎のまま。そこからお話を紡ぎ出した構成力が見事です。現代まで脈々とつながる古い文化を持っていることの喜びを噛み締めたいと思います。
この作品は「こどものとも」1967年1月号として刊行されたものを元に、新装版として発刊したものです。(店主)
かえるのごほうび 絵巻「鳥獣人物戯画」より
木島始 さく
梶山俊夫 レイアウト
福音館書店
2021年3月20日発行(新装版)
定価1540円(本体1400円+税10%)