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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2023年5月11日木曜日

【本の紹介】からすのせっけん(こどものとも年中向き2023年6月号)




 分かち合うことの喜びが伝わる絵本です。楽しいことは独り占めしてもつまらない。みんなと一緒だから楽しみもいっそう大きくなります。39年も前に作られた絵本ですが、今でも魅力たっぷりです。

 からすが石けんを拾って森に帰ってきました。ふくろうに体を洗うものだと教えてもらい、さっそく池で使ってみると、さっぱりしていい気持ち。森の仲間たちにも使ってもらうことにしました。

 最初は、ねずみ。それから、りす、うさぎ、さる、くまと、次々にやって来ます。とうとう、ぞうまでやって来て、みんな「じゃぶ じゃぶ ぷるる ぷわららら」と楽しそう。でも、気がつくと石けんが見当たりません。からすは今にも泣きそうな顔です。

 石けんは使えば無くなってしまうものだと、ふくろうが教えてくれました。ちょっと残念そうなからすですが、にっこり笑顔になりました。だって、みんなのからだから石けんのいい香りが漂っているのですから。(店主)


からすのせっけん(こどものとも年中向き2023年6月号)

むらやまけいこ さく

やまわきゆりこ え


福音館書店

2023年6月1日発行

定価440円(本体400円+税)

2023年5月10日水曜日

【本の紹介】光るきのこ(たくさんのふしぎ2023年6月号)




 光るきのこに魅せられた写真家がつくった写真絵本です。緑に光るきのこの神秘的な姿を堪能しましょう。

 夜の撮影でもっとも心躍る瞬間は、ホタルなどの生き物が放つ光と、夜空の星が同時に見られるときだったそうです。発光生物への興味から、やがて光るきのこに導かれます。最初は八丈島の森に生息する多くの光るきのこから。そして、日本は光るきのこの種類が世界で一番多いと聞き、各地を渡り歩くことになります。

 四国の徳島県に、朽ちかかったブナの枯れ木が20メートルほどの距離で2本並んでいました。それぞれに光るきのこのツキヨタケが生えています。深夜、霧が晴れ、星空がブナの森の上に広がりました。2本の木の間に天の川が輝き、光るツキヨタケの木に乗るように、真上にアンドロメダ星雲の渦も見えたそうです。

 写真家のねらい通りの写真。まさに「奇跡のような光景」といってよいでしょう。想像してみませんか。私たちが知らないどこかの森で、夜にきのこがひっそりと光っていることを…。(店主)


光るきのこ(たくさんのふしぎ2023年6月号)

宮武健仁 文・写真


福音館書店

2023年6月1日発行

定価770円(本体700円+税)

【本の紹介】きんぴかのむし じんがさはむし(かがくのとも2023年6月号)




 面白い虫を紹介する絵本です。金ぴかで透明な羽を持った虫です。

 この虫の名前はジンガサハムシ。昔の人が帽子のように頭に被った「ジンガサ」と形が似ているので、このように呼ばれることになりました。

 羽は体からはみ出るほど大きく、しかも透明。背中を見ると金色に輝いているそうです。それ以上に興味深いのは幼虫が大きくなるようす。脱皮を繰り返すのですが、脱皮した抜け殻をそのまま背中につけています。4回脱皮をして、4つの抜け殻を背中につけた幼虫が、やがて蛹になります。

 なぜ脱皮殻をつけたままにするのか。その理由はまだ分かっていないそうです。ジンガサハムシは空き地などでよく見かけるヒルガオが食べ物で、私たちが発見するのも決して難しいことではないようです。ぜひチャレンジしてみましょう。(店主)


きんぴかのむし じんがさはむし(かがくのとも2023年6月号)

吉谷昭憲 さく


福音館書店

2023年6月1日発行

定価440円(本体400円+税)

2023年5月5日金曜日

【本の紹介】カメムシかあさん(ちいさなかがくのとも2023年6月号)




 子育てに励むカメムシのおかあさんを応援する絵本です。カメムシを見守る子どもの優しい気持ちに共感が広がります。

 夏の日の庭で、大きなハナミズキの木にちいさな実が揺れています。子どもが葉っぱのかげに何か見つけました。

 虫がいました。背中にハートのマークをつけたカメムシです。緑色のちいさな粒を大事そうに抱き抱えています。卵を守るおかあさんのカメムシです。

 絵は柔らかい感触を感じさせます。綿の布に描く「手染絵」という手法の絵です。命の暖かさが伝わります。(店主)


カメムシかあさん(ちいさなかがくのとも2023年6月号)

山口てつじ さく


福音館書店

2023年6月1日発行

定価440円(本体400円+税)

【本の紹介】きいろいボタン(こどものとも2023年6月号)




 落とし物のボタンを通じて、二人の子どもがつながるお話です。思いやりの心が友だちと結びつけてくれました。柔らかいパステルカラーの絵から人の優しさが伝わります。

 みほちゃんは引っ越してきたばかり。幼稚園でまだ友だちができていないようです。

 お家の前で黄色いボタンを見つけたみほちゃん。落とした人が探しているかもしれないと、透き通ったポリ袋に入れて、門に留め置きました。大勢の人がボタンに気づきますが、落とした人は現れません。雨の日、しずくがポリ袋について、黄色いボタンは泣いてみるように見えました。

 次の日も、夕方になると雨。幼稚園から帰るとき、みほちゃんは黄色いリボンを髪に結んだ子と出会います。その子のレインコートを見ると、ボタンが一つ取れています。みほちゃんはボタンの持ち主も友だちも見つけることができました。よかったね! (店主)


きいろいボタン(こどものとも2023年6月号)

小林陽子 文

種村有希子 絵


福音館書店

2023年6月1日発行

定価440円(本体400円+税)

2023年5月4日木曜日

【本の紹介】せまーい(こどものとも年少版2023年6月号)




 付録の「作者のことば」にもあるように、子どもはせまいところが好き。そんな子どもに寄り添った絵本です。

 表紙の絵では、段ボール箱に入った子どもがご満悦。窮屈そうに見えますが、とても楽しそうです。

 「すた すた すた」と歩いて、せまいところを見つけます。椅子の下、棚の間、段ボールの中や傘の下まで。おとうさんの膝の下や、おかあさんの足の間だって、お気に入りの「せまーい」ところです。

 作者は、子どもはせまいところを自分「だけ」の場所と感じて、落ち着きを得ているのではないかと考察しています。大人の手から離れた自分だけの場所。そこから自立が始まるのかもしれません。(店主)


せまーい(こどものとも年少版2023年6月号)

佐々木一澄 さく


福音館書店

2023年6月1日発行

定価440円(本体400円+税)

【本の紹介】あおむしくん(こどものとも0.1.2. 2023年6月号)




 あおむしくんがお庭でご飯を探しています。「もきゅ もきゅ もきゅ」と歩きます。

 ありさんが「とことこ」歩いてくると、落ち葉の下に隠れます。ことりさんが「チッチュン チッチュン」とやってくると、植木鉢のかげに隠れます。あおむしくんは、ありさんやことりさんは苦手なのかな。

 今度はねこさんに出会います。びっくりしたあおむしくんは、ねこさんの鼻先めがけて「にょきっ!」と角を出しました。ねこさんは「くさい!」といって逃げていきました。どんな臭いがしたのでしょう。

 貼り絵で描いた絵本です。布を紙に貼っています。やっとご飯を見つけたあおむしくん。ご飯は緑の葉っぱです。大きく口を開けて「いただきまーす」。あおむしと仲良くなれる絵本です。(絵本)


あおむしくん(こどものとも0.1.2. 2023年6月号)

田村ゆう子 さく


福音館書店

2023年6月1日発行

定価440円(本体400円+税)

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...