ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2022年1月26日水曜日

【本の紹介】じべた




 大地の土の見えるところが「じべた」です。普通は「地面」というと思います。じべたというと、不思議に親しみが湧いてきます。

 じべたはときどき「そら」がうらやましくなるようです。その気持ちは、なんとなく分かります。

 でも、花が咲くと、そらへのうらやましい気持ちは忘れるようです。これも、なんとなく分かります。そらで花は咲きません。そらに花以外のいいものはたくさんありますが、花以上にいいものはなかなかないと思います。

 いつのころからか、人間はじべたを隠すようになりました。でも、じべたはちゃんとそこにあるのです。大雨が降っても、川が氾濫しても、「じべたはいつまでもじべたです」。じべたに暮らす私たちを応援してくれる絵本です。(店主)


じべた

ぶん たにがわしゅんたろう

え くろだせいたろう


橙書店

2021年3月11日

定価1650円(本体1500円)

2022年1月25日火曜日

【本の紹介】レナレナ




 レナレナの生活を素朴な絵で描いた絵本です。レナレナのちょっと不思議な、でもとても自由な生活をお楽しみください。

 ある日、レナレナは1匹のネズミにあとをつけられます。ネズミは、ぜひ一度人間の髪の毛を食べてみたいと考えていました。レナレナは逆立ちをして自分の長い髪の毛をネズミに食べさせてあげました。

 雨が降る日、レナレナは雨のしずくの味見をします。「オイシイ」。レナレナはカップを手に取って雨のしずくを受け止めます。雨茶は雨でつくるお茶。知りたがりやの小さなケモノが雨茶を飲みたがり、喉が渇いたもう1匹のケモノと3人で一緒にお茶を飲みます。

 レナレナの生活はこんな風に過ぎていきます。一つひとつのエピソードをコマ割り漫画ようなスタイルで描きます。レナレナの気ままな生活はとても素敵です。(店主)


レナレナ

ハリエット・ヴァン・レーク=作

野坂悦子=訳


朔北社

2019年7月20日発行

定価:本体1500円+税

2022年1月22日土曜日

【本の紹介】野ばらの村の雪まつり




「野ばらの村の物語」四季シリーズの冬の物語です。同シリーズ4冊目の絵本は、イギリスの田園地方で、寒い冬でも心豊かに暮らすねずみたちの姿を美しい絵とともに描きます。

 野ばらの村に雪が降り始めました。シデの木の家に暮らすトードフラックスさんの子どもたちが大騒ぎ。無理もありません。初めて雪を見たのですから。

 雪は降り積り、大人のねずみたちが話し合って重大な決定を下しました。先祖から受け継ぐ大切な伝統行事を行うことになりました。「雪まつり」の開催です!

 雪まつりでは楽しいダンスパーティが「アイスホール」で開かれます。でも、「アイスホールって、どこ?」。子どもたちはそんな場所があることを知りません。さて、どんな雪まつりになるのでしょう? (店主)


野ばらの村の雪まつり

ジル・バークレム 作・絵

こみやゆう 訳


出版ワークス

2021年12月25日発行

定価 本体1600円(税別) 1760円(10%税込)

2022年1月20日木曜日

【本の紹介】野ばらの村の秋の実り




「野ばらの村の物語」四季シリーズの3冊目です。イギリスの田園に暮らすねずみたちは実りの秋を迎えました。素朴ながら、愛にあふれたねずみたちの生活を色彩鮮やかに描いた絵本です。

 森ねずみ男爵は娘のプリムローズを連れて、ブラックベリーを採りに出かけました。かごがブラックベリーでいっぱいになるころ、もうすぐ天気が崩れると聞いた森ねずみ男爵はプリムローズを先に帰します。

 森ねずみ男爵も家に戻り、おくさんのディジィ夫人とキノコ狩りを手伝うため再び家を出ようとしたとき、プリムローズがいないことに気づきます。さあ、たいへん! 村のねずみたちとプリムローズを探しますが、一向に見つかりません。

 大騒ぎをよそに、プリムローズはそのころ、ムギ畑のふちを歩いていました。うれしい出会いもありましたが、結局プリムローズは迷子になってしまいます。果たして無事帰ることができるのでしょうか。(店主)


野ばらの村の秋の実り

ジル・バークレム 作・絵

こみやゆう 訳


出版ワークス

2021年10月25日発行

定価 本体1600円(税別) 1760円(10%税込)

2022年1月19日水曜日

【本の紹介】ねえ、きいてみて! みんな、それぞれちがうから




 人はみんな、同じところもあれば、違うところもあります。自分と違うと不思議に思ったりします。そんなとき、どうする? この絵本は、まよわず「ねえ、きいてみて!」と呼びかけます。

 最初に登場するのはソニア。友だちの子どもたちと庭づくりの真っ最中です。庭にある植物がそれぞれ違うように、子どもたちも一人ひとり違います。ソニアが自分のことを話し始めました。

 ソニアは1日に何回か指先をチクっと刺して血糖値を測ります。そして、インスリンという薬を自分で注射します。ソニアは糖尿病患者です。「あなたもとくべつなくすりをのんだり、ちゅうしゃしたりしてる?」と問いかけると、別の友だちが自分のことを話し始めました。その後、次から次へと、友だちの話が続きます。

 病気や障害がある人は、目には見えないかもしれないけれど、他の人と違うところがあります。でも、違いを理解してお互いを知ろうとすれば、私たちの世界が豊かに楽しくなります。この絵本が描く庭づくりと同じように、思いやりにあふれた世界を一緒につくって行きましょう。(店主)


ねえ、きいてみて! みんな、それぞれちがうから

ソニア・ソトマイヨール 文

ラファエル・ロペス 絵

すぎもとえみ 訳


汐文社

2021年8月発行

定価:本体1700円+税

2022年1月18日火曜日

【本の紹介】ひよこは にげます




 ひよこが家から逃げ出します。いったいどこに行くのでしょう。

 1羽のひよこが家を逃げ出しました。2羽のひよこが追いかけます。3羽のひよこが、みんなで逃げます。

 子どもは家を出ることで、自立に向かいます。自立したい子ども気持ちを後押しする絵本です。

 ひよこはいろいろなところを逃げて行きます。世の中にはいろいろあるのです。おやおや、最後は家に逃げ帰ってしまいました。本当の自立はもう少し後かな?! (店主)


ひよこは にげます

五味太郎


福音館書店

2021年10月10日発行

定価990円(本体900円+税10%)


【本の紹介】よあけ




 この絵本がユリー・シュルヴィッツの絵本「よあけ」(福音館書店)にインスピレーションを受けていることは、奥付にシュルヴィッツらへの謝辞があることからも明らかです。作者のあべ弘士さんが、シュルヴィッツの作品に敬意を払いながら、独自の世界観を表現しました。

 おじいさんと孫が一緒に、小舟に乗って川を進みます。川は森の中をぬうように流れ、「黄金の9月」と呼ばれる美しい季節に包まれます。

 おじいさんは村一番の猟師です。動物の毛皮を町に売りに行く途中、2人は川にせりでた岩山で一晩過ごします。そこは猟師たちの祈りの聖地。おじいさんは酒を飲みながら昔話を語り始めました。眠りにつけば、夜空に満天の星。天の川が横切ります。

 翌朝、目を覚ますと、あたり一面は霧の白い世界。船を漕ぎ出すと、やがて霧は流れ、陽の光がみるみるあふれて世界を黄金色に変えました。「ああ、こんな景色を見てみたい」と思わずにはいられません。(店主)


よあけ

あべ弘士


偕成社

2021年10月発行

定価[本体価格1500円+税]

2022年1月14日金曜日

シリコぺ紙版画の技法が「版画芸術」で紹介されました!




 千葉県習志野市在住の版画家、松田圭一郎さんが完成させた「シリコペ紙版画」の技法が「版画芸術No.194 2021冬」で紹介されました。シリコペ紙版画は、身近な道具を使いながら味わい深い作品を制作できることが大きな魅力です。

 シリコぺ紙版画は松田さんが考案したまったく新しい紙版画の技法です。「シリコぺ」とはシリコン・ペーパーの略。紙以外の布や革などに刷ることもできるので、版画作品のほか、T シャツやエコバッグ、マスク、革ブックカバーなどが制作されています。

 松田さんは同市内や千葉市などでワークショップを開催し、シリコペ紙版画の紹介と普及に努めています。同誌の版画技法実践講座では、その制作方法を具体的に写真で示しながら詳細に解説しています。

 くわのみ書房にも同誌が入荷しました。シリコぺ紙版画の魅力を多くの人に知っていただきたいと思います。(店主)


版画芸術No.194 2021冬

阿部出版

2021年12月1日発行

定価:本体2000円+税

2022年1月13日木曜日

「母の友」2022年2月号を販売中です!




 特集テーマは「今と未来の性教育」。「母の友」2022年2月号が性教育について考えるきっかけになります。

 日本の性教育はかなり遅れているようです。実際のところ、私たち自身も性教育について理解が乏しいといわざるを得ない状況です。

 大人も性教育について学ぶ必要があります。性教育は、何よりも自分自身を大切にするために行うものだということを意識したいと思います。

 鍋のレシピが2つ、「おいしい絵本レシピ」で紹介されています。「鶏団子と長ねぎの鍋」と「芋煮」です。寒い日はやはり鍋が食べたくなりますね。(店主)


「母の友』2022年2月号

福音館書店

2022年2月1日発行

定価580円(本体527円+税10%)

2022年1月12日水曜日

【本の紹介】世界の納豆をめぐる探検(たくさんのふしぎ2022年2月号)




 納豆が外国にもあることを知りませんでした。この絵本では日本以外のアジアやアフリカの国で大切な食材となっている納豆が紹介されています。

 作者は、納豆が食べられている地域は決して豊かとはいえない場所だと説明します。海や大きな川がないところ、また乾燥した場所や山の中であることが多く、動物の肉や魚が手に入りにくいのです。

 肉や魚には私たちの体に欠かせないタンパク質が含まれています。でも、マメで作る納豆にも肉や魚に負けないほど多くのタンパク質が含まれています。納豆は豊かではない土地に暮らす人々にとって命の元ともいえる食材なのです。

 日本の納豆の作り方や食べ方も紹介されています。昔の日本人は、納豆汁で食べることが多かったそうです。私も納豆汁は好きですが、やはり白い熱々のご飯にかけて食べるのが一番です。(店主)


世界の納豆をめぐる探検(たくさんのふしぎ2022年2月号)

高野秀行 文・写真

スケラッコ 絵


福音館書店

2022年2月1日発行

定価770円(本体700円+税10%)

2022年1月11日火曜日

【本の紹介】イカ(かがくのとも2022年2月号)




 絵もお話も素晴らしい。見事な科学絵本だと思います。

 イカの生態を紹介する絵本です。取り上げたのは「コブシメ」という変わった名前のイカです。コウイカと呼ばれるイカの仲間で、お馴染みのスルメイカのように細長い形ではなく、やや平たい形をしています。

 沖縄の海を舞台にしました。サンゴ礁にいる魚たちも含め、美しい沖縄の海が愛情あふれんばかりに描かれています。写真ではなく絵で表現したことで、作者の思いがいっそう強く伝わるようになりました。まさに沖縄の海を旅しているように感じます。

 イカの表情からユーモアも感じられ、親しみが湧いてきます。こうした絵本から、他の生き物や環境への関心が広がり、深まっていくのでしょう。(店主)


イカ(かがくのとも2022年2月号)

大村文乃 ぶん・え


福音館書店

2022年2月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

【本の紹介】ハクセキレイのよる(ちいさなかがくのとも2022年2月号)




 この絵本は作者のとうごうなりささんが、編集者から「街中の木に集まって寝る鳥」をテーマにしたお話を提案されて出来上がったそうです。そのテーマならムクドリを思い浮かべるところですが、この絵本に登場するのはハクセキレイです。

 ハクセキレイとよく似ているセグロセキレイという鳥もいて、両者を区別することはなかなか難しいように思います。水辺で見かける鳥という印象が強いセキレイですが、確かに街中でもよく見かけます。

 しかもハクセキレイはムクドリと同じように、夜は街中の木に集まって寝ているそうです。ハクセキレイも街中で「集団ねぐら」を作っていることにとても驚きました。集団ねぐらには、駅や交差点の電線、ビルの窓のひさし、ネオンサインの上、店の看板の上なども使われるそうです。

 このような場所の共通点は、夜でも照明で明るいこと、人や車が通り静かとは言えないことなどがあります。鳥がどうしてこのような騒がしいところに集団ねぐらを作るのか、さまざまな説が提示されていますが、まだはっきりわかっていないようです。その謎を解明するためには、まずしっかりと観察することが大切。この絵本も、ハクセキレイをしっかり観察して作られたことがよく分かります。版画をベースにした絵は、味わい深い仕上がりです。(店主)


ハクセキレイのよる

とうごうなりさ さく


福音館書店

2022年2月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)


2022年1月7日金曜日

【本の紹介】オトシブミのふむふむくん(こどものとも2022年2月号)




「オトシブミ」という素敵な名前の虫がいることを知りませんでした。この絵本は、オトシブミのふむふむくんとふみふみちゃんが文通したお手紙で構成されています。

 お手紙だけではありません。お手紙と一緒に観ることができる素晴らしい絵があります。描き込まれた絵からも、たくさんの物語が湧き出ているようです。

 折り込みふろくで、この絵本が出来上がる経緯を知って驚きました。絵はすでに独立した作品として発表されていたもので、文章を描かれたおのりえんさんが1枚1枚読み込んで一つの物語につなげたそうです。

 出来上がった物語を受けて、秋山あゆ子さんが絵の加筆修正と追加の描き下ろしを加えてこの絵本が出来上がりました。子どもも大人も、ぜひじっくり楽しんでください。(店主)


オトシブミのふむふむくん(こどものとも2022年2月号)

おのりえん 文

秋山あゆ子 絵


福音館書店

2022年2月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2022年1月6日木曜日

【本の紹介】きかんぼうのこぐま(こどものとも年中向き2022年2月号)




 アジア・エスキモーに伝わる昔話の絵本です。母親のいうことを素直に聞かない子ぐまが主人公。多くの子どもが、自分と子ぐまを重ね合わせて楽しめる絵本です。

 子ぐまが川で魚をつかまえようとしています。でも、母親からまだ小さくて無理といわれ、川から引きあげられてしまいます。

 怒った子ぐまは、くま以外の動物になるといって母親の元を飛び出します。その後のいろいろな動物たちとの出会いが子ぐまの成長につながります。小ぐまの表情が生き生きと描かれ、愛おしくなります。母親だけでなく、登場するほかの動物たちの表情も優しく穏やかです。

 アジア・エスキモーは、ロシア連邦のシベリアに住む少数民族だそうです。2002年の調査では、人口は1700人ほどだとか。冬には海も凍りつく厳しい自然の中で独自の文化を育みました。昔話のおもしろさは世界共通です。(店主)


きかんぼうのこぐま(こどものとも年中向き2022年2月号)

V. グロツェル G. スネギリョフ 再話

松谷さやか 訳

おくはらゆめ 絵


福音館書店

2022年2月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2022年1月5日水曜日

【本の紹介】うるさいぞ…(こどものとも年少版2022年2月号)




 子どもが机で工作をしていると、何かが飛んで来ました。「わっ!」と驚く子ども。目の前を何かが通りました。

 「うるさいですね」とつぶやく子ども。やっつけてやろうと思いますが、何かはなかなかつかまえられません。

 何かは目の前を飛び回り、子どもは怒り心頭。袋を出してとっつかまえました。さて、その正体は…。

 子どもも大人もあっと驚く結末です。絵本で表現できることの可能性の深さを感じます。(店主)


うるさいぞ…(ことものとも年少版2022年2月号)

五味太郎


福音館書店

2022年2月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2022年1月4日火曜日

【本の紹介】おきて おきて(こどものとも0.1.2. 2022年2月号)




 子ども同士の生活は、いつも相手が思い通りになるとは限りません。でも、通じ合えたときは喜びがいっそう大きくなります。

 子ぶたの兄弟が寝ています。一匹が起きても、もう一匹はまだ眠い。二匹はなかなか一緒に遊べません。

 やっと一緒に起きました。二匹はとてもうれしそう。幸せな声が聞こえてきます。「ぶひ ぶひ ぶきゃ ぶきゃ」

 「寝る子は育つ」ということわざもあるくらい、子どもは毎日、よく眠ります。何気ない日常生活の一こまから紡ぎ出した楽しいお話。見事です。木版画の絵は躍動感があります。(店主)


おきて おきて(こどものとも0.1.2. 2022年2月号)

福知伸夫 さく


福音館書店

2022年2月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2022年1月1日土曜日

あけましておめでとうございます!




 あけましておめでとうございます。くわのみ書房は1月1日(土)から今年の営業を開始します。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 新年を穏やかに迎えることができました。一方で、新型コロナウイルスの感染状況はまだまだ予断を許しません。安全・安心な生活が早く戻ることを祈ります。毎日が笑顔で過ごせますように! (店主)

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...