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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2020年10月20日火曜日

【本の紹介】山はしっている


 とても静かな絵本です。静けさの中から、山の生き物の息づかいが聞こえてきます。

 夜が明けて雄大な山並みが見えてきました。早起きの鳥たちが翼を広げ、空に飛び立ちます。山際がバラ色の朝焼けに染まり、山の生き物たちが次々と動き始めます。

 山は生き物たちの営みをすべて見つめ続けてきたと、この絵本は綴ります。山の生き物たちは山に見守られて生きてきたのです。永遠に続くこともあれば、進化することもある。山は知っています。変わることがあっても、変わらないのは、生きることだと。

 山の一日を一編の詩のような文章が描写します。山の自然を光り輝くように描く絵も魅力的です。犬を連れた一人の人間が描かれ、私たちの世界との繋がりを明示していように思います。(店主)


山はしっている

リビー・ウォルデン 作

リチャード。ジョーンズ 絵

横山和江 訳


鈴木出版

2020年3月6日発行

本体1500円+税

2020年10月17日土曜日

習志野高校吹奏楽部を描いた青春小説が発刊! 予約受付中です!!




 吹奏楽の名門校である習志野高校を舞台に、仲間たちとコンクールの頂点を目指す少年の物語が小説になりました。タイトルは「美爆音! ぼくらの青春シンフォニー 習志野高校吹奏楽部の仲間たち」。11月16日から発売します。くわのみ書房で予約受付中です。

 小学4年生から吹奏楽のとりこになり、やがて習志野高校吹奏楽部の部長として活躍した少年の成長を描きます。少年の名は「ハルカ」。習志野市に生まれ育った少年ハルカは吹奏楽にのめり込み、やがて名門といわれる習志野高校吹奏楽部で活躍するようになります。ハルカの小学4年から高校卒業までの9年間の成長ストーリーをお楽しみください。

 ハルカのモデルは、習志野高校吹奏楽部2019年度部長の酒井悠歌(さかいはるか)さんです。東習志野小学校、習志野第四中学校から習志野高校に進学し、「吹奏楽の甲子園」と呼ばれる全日本吹奏楽コンクールで頂点に立つことを夢見るようになりました。習志野市は音楽が盛んな街。そして、習志野市立習志野高校の吹奏楽部はそのシンボル的存在です。「美爆音」と称賛された野球応援、全国レベルのコンクール優勝など、習志野市民だけに止まらず全国の人々から注目を集めています。

 著者は「吹奏楽作家」として活躍するオザワ部長。吹奏楽の素晴らしさを伝える活動を日々展開中です。この作品は半年間の取材に基づき、一人の少年とその仲間たちの汗と涙、出会いと別れ、そして成長の過程をリアルに描きます。部活動を始める小学4年生から大人まで、幅広く楽しめる一冊です。(店主)


美爆音! ぼくらの青春シンフォニー 習志野高校吹奏楽部の仲間たち

オザワ部長・著

pon-marsh・絵


岩崎書店

2020年11月16日発売予定

本体1400円+税

2020年10月15日木曜日

【本の紹介】ミミコがさんぽにでかけたら(こどものとも年中向き2020年11月号)




 ねことたこの、ちょっと奇妙なお話の絵本です。たこは海の中にいる「蛸」のこと。でも、このお話の舞台は普通の街の中です。

 ねこの名前はミミコ。堂々としたねこです。お散歩に出かけると、たこと出会います。

 ミミコが近づくと、たこは逃げてしまいます。どこに行ってしまったのでしょう。たこは、塀に沿った通りや公園、バス停など街中の風景に溶け込み、なかなか見つけることができません。

 たこには擬態という特別な能力があります。擬態とは、体の色などを周囲の物や生物に似せて自分の存在を隠してしまうこと。さあ、この絵本を隅から隅まで探して、たこを見つけましょう。大胆に描かれた絵の中のたこ探しは、簡単ではなさそうです。(店主)


ミミコがさんぽにでかけたら(こどものとも年中向き2020年11月号)

吉岡さやか さく


福音館書店

2020年11月1日発行

本体400円+税

2020年10月13日火曜日

【本の紹介】あるひ あるとき




 作者のあまんきみこさんの自伝的な絵本です。あまんさんがふと思い出した、幼いころのお話を綴ります。

 そのとき、日本は戦争をしていました。あまんさんは中国の大連で暮らしていました。「ハッコちゃん」と名付けたこけしが大切なお友だちでした。ハッコちゃんは、出張で日本に行ったおとうさんが買ってきてくれました。

 夏の暑い日、日本は戦争に負けました。あまんさんの家族は、それからふた冬を中国で過ごします。ハッコちゃんも一緒でした。でも、日本に帰ることが決まったとき、おかあさんはハッコちゃんを連れて行くことはできないと告げます。

 明日は出発という日、あまんさんはハッコちゃんの頭を何回も何回も撫でたあと、おとうさんに手渡します。あまんさんは、そのあとのことは覚えていません。ただ、ストーブの中で、ごうっと炎の音がしたことが記憶に残っているそうです。あまんさんが伝えたいと願ったのは、幼いころの喜びと哀しみ。ささめやゆきさんの温かいタッチの絵を通じて私たちの心に届きます。(店主)


あるひ あるとき

あまんきみこ 文

ささめやゆき 絵


のら書店

2020年7月10日発行

本体1500円+税

2020年10月10日土曜日

【本の紹介】トナカイに生かされて シベリアの遊牧民ネネツ(たくさんのふしぎ2020年11月号)



 シベリアの遊牧民の生活を描く写真絵本です。トナカイとともに暮らす遊牧民から、命を大切に思う気持ちが伝わります。

 ロシア連邦の北に広がる地域はシベリアと呼ばれ、その中のツンドラ地帯にネネツという遊牧民が暮らしています。ツンドラ地帯は木も生えず、作物を収穫することはできません。

 私たちには過酷と思われる環境で暮らすネネツの人々は、トナカイを飼いツンドラの地で生き延びてきました。トナカイは大切な食料となり、またその皮は衣服となります。ネネツの人が暮らすテントはトナカイの皮でつくるので、住居にもなります。トナカイを売って現金収入も得ています。

 作者の長倉洋海さんは海外のグラビア雑誌でネネツの人々を初めて見て「カッコいいな」と思ったそうです。私たちに足りない部分をネネツの人々は備えていると感じたのでしょう。それが何なのか、この絵本を通じて探してみませんか。(店主)


トナカイに生かせれて シベリアの遊牧民ネネツ(たくさんのふしぎ2020年11月号)

長倉洋海 写真・文


福音館書店

2020年11月1日発行

本体700円+税

【本の紹介】かもつれっしゃがゆく(かがくのとも2020年11月号)




 貨物列車が紅葉の住宅地を走る印象的な絵が表紙を飾ります。貨物列車のようすを丹念に描いた絵本です。

 扉のページの「ピィー。けいてきを ならして れっしゃが やってきます」という文章からお話が始まります。付録にある「作者のことば」によると、作者は貨物列車の汽笛に強く心を揺さぶられたようです。

 感傷的な汽笛の音は、作者に郷愁の念を呼び覚ますことになりました。作者は、ただの鉄の塊に過ぎない貨物列車に人間臭い魅力を感じ始め、深い愛情を注ぐようになります。その愛情からこの絵本が生まれました。

 丁寧に描き込まれた絵から、普段は見ることのない貨物列車の行動がよく分かり、興味深く読み進めることができます。今日も日本中を走り回る貨物列車に想いを馳せ、凝り固まった心を開放したいと思います。(店主)


かもつれっしゃがゆく(かがくのとも2020年11月号)

みねおみつ さく


福音館書店

2020年11月1日発行

本体400円+税

2020年10月9日金曜日

【本の紹介】イワンカとマリイカ ブルガリアの昔話(こどものとも2020年11月号)




 ブルガリアの昔話の絵本です。二人の対照的な女の子が、対照的な結末を迎えるお話です。柔らかいタッチの絵が読む人を昔話の世界に引き込みます。

 マリイカは一人ぼっちの女の子。両親を亡くし、お金持ちのお屋敷で働いています。イワンカはそのお屋敷の娘。ふかふかのベッドで寝て、焼き立てのパンを食べています。マリイカは朝から晩まで一生懸命働きますが、こぼれたパンくずしか与えられませんでした。

 ある日、マリイカはそんなお屋敷から逃げ出します。そして、森で熊と出会います。やさしいマリイカは熊から金貨がぎっしり入った壺をもらいました。怠け者で、いじわるなイワンカも森に行って熊から壺を手に入れます。でも、そこに入っていたのは…。

 付録の「編集部だより」は、このお話の面白いところはマリイカがイワンカたちのお屋敷に戻らず独り立ちするところと指摘しています。マリイカは熊からもたった金貨を自分だけのための使うのではなく、困っている人や貧しい人たちを助けながら楽しく暮らし始めるのです。(店主)


イワンカとマリイカ(こどものとも2020年11月号)

八百板洋子 再話

大畑生野 絵


福音館書店

2020年11月1日発行

本体400円+税