ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2019年9月25日水曜日

【ご案内】えほんのおはなしタイム




 くわのみ書房は「えほんのおはなしタイム vol.6」を開催します。絵本の読み聞かせの会です。5歳くらいまでの子どもたちが対象です。
 事前のお申し込みは不要です。どうぞお気軽にご参加ください。お待ちしております!

■日 時:2019年10月6日(日)午前11時~11時30分
■会 場:くわのみ書房
■対 象:5歳くらいまでの子ども(保護者同伴)
■参加費:無料

〈お問い合わせ〉くわのみ書房 電話047-419-3567

2019年9月20日金曜日

秋のCo-展にお出かけください!




 秋の「Co-展」が開かれます。くわのみ書房も出店します。みなさまのご来場をお待ちしております。
 今回のCo-展(「こうてん」と読みます)は8月の開催予定が延期され、10月開催となります。10月5日(土)と12日(土)の2日間、場所を変えて “2Days” の開催です。時間は両日とも、午前10時から午後4時まで。会場は、5日が習志野市大久保の八幡公園、12日は同市本大久保のギャラリー林檎の木です。
 5日はいつものように、子どもも楽しめるワークショップや美味しい食べ物・飲み物、グッズの販売などで賑やかに楽しみます。12日はCo-展〈books & crafts〉と題して、本とワークショップを中心に据えた内容です。
 くわのみ書房は12日の林檎の木に出店する予定です。絵本・児童書などを販売します。当店スタッフと絵本作家・宮田ともみさんによるオカリナ・デュエットのトゥインクル・バーズがオカリナ演奏も披露します。秋のひとときを、どうぞCo-展でお楽しみください。(店主)

[Co-展]
■日時:2019年10月5日(土)・12日(土)、両日とも午前10時~午後4時(5日の雨天時は10月6日に順延)
■会場:5日八幡公園(千葉県習志野市大久保4-2)・12日ギャラリー林檎の木(習志野市本大久保3-8-3河合ビル地下2F)

2019年9月19日木曜日

【ご案内】大人のための絵本の会 vol.7



 くわのみ書房は「大人のための絵本の会 vol.7」を9月27日(金)に開催します。大人の方にも絵本の楽しみを提供します。
 今回も絵本を読むのは宮本由佳理さんと藤岡美保さんのお二人のユニット《えほんの木》です。いつも素敵な絵本を選んでいただいています。
 絵本を読んだ後は懇談の時間。参加者同士で感じたこと、思ったことなどを語り合いましょう。
 飲み物とお菓子付きです。どうぞお気軽にご参加ください。

■日 時:2019年9月27日(金)午後7時~8時
■会 場:くわのみ書房
■参加費:500円 ※飲み物とお菓子付き
■定 員:6人
■絵本を読む人:《えほんの木》宮本由佳理・藤岡美保

〈お問い合わせ・お申し込み〉くわのみ書房 電話047-419-3567(SNSなどでも受け付けます)

2019年9月18日水曜日

【本の紹介】「PLEASE」12




 ファッション誌の「PLEASE 12」が入荷しました。素敵な服があり、それを素敵に紹介する写真があります。そんな素敵写真が満載。みているだけで楽しくなります。この号のタイトルは「Think Ellegant」。ファッションをエレガントに磨き上げましょう。それが、よりよく生きることにつながると、この雑誌は主張しています。(店主)

「PLEASE」12

PLEASE
本体1200円
2019年9月9日発行

2019年9月15日日曜日

【本の紹介】かぞくのじかん Vol.49




 「かぞくのじかん」Vol.49(2019/AUTUMN)をお届けします。特殊テーマは「『いいよ。“ざっくり”でも』お金と暮らしの整え方」です。
 お金や暮らしのことでザワザワすることがあったら、まず手の届きそうな小さな目標を立てて解決の一歩を踏み出しましょう。今をざっくりつかむだけでも、これから先のことが見えてくるはずです。
 特集の「暮らし編」では、収納アドバイザーで小学生の双子のおかあさんでもあるEmiさんに、家族としての時間の使い方や日々の生活のヒントをうかがいました。「お金編」は家計の管理について、少し詳しく解説しています。具体的な事例も見ながら、自分にあったやり方を探ってみてはいかがでしょう。
 第2特集は「子育てのギモンQ&A」。悩みの答えがここにあるかもしれません。どうぞお手に取ってご覧ください。((店主)

「かぞくのじかん」Vol.49(2019/AUTUMN)

婦人の友社
本体759円+税
2019年9月5日発行

【本の紹介】ダーウィンの「種の起源」 はじめての進化論




 私たちが暮らす地球には、どうしてこんなにたくさんの種類の生き物がいるのでしょう。その理由を解き明かした人がチャールズ・ダーウィンです。
 ダーウィンは、生き物は長い年月をかけていろいろな種類に分かれていったと考えました。分かれていく過程を「進化」と呼んでいます。進化はどうして起こるのでしょう。
 ある生き物の子どもが生まれると、同じ種類でもほかの子どもとは少し違っていることが必ずあります。その違いが生き延びるのに役立つことであれば、それは子どもに次々と受け継がれていきます。小さな違いが積み重なって、やがて大きな違いになります。これが進化です。ダーウィンは進化が起こる仕組みを「自然選択」と呼んでいます。
 生き物が進化してたくさんの種類が生み出されたとする考え方を「進化論」といいます。ダーウィンは進化論を解説する有名な本を書きました。それが「種の起源」です。この絵本は「種の起源」の内容をわかりやすく紹介しています。作者のサビーナ・ラデヴァさんは科学者からデザイナー・イラストレーターに転身し、絵本はこの作品が初めて。いろいろな生き物の絵が描かれ、興味を引きながら読み進めることができます。大人も子どもと一緒に楽しみましょう。(店主)

ダーウィンの「種の起源」 はじめての進化論
サビーナ・ラデヴァ 作・絵
福岡伸一 訳

岩波書店
2019年4月23日発行
本体2300円+税

2019年9月14日土曜日

【本の紹介】家をせおって歩く かんぜん版




 この絵本の作者の村上慧さんは、背負って歩ける家をつくり、そこで暮らしています。この家はとても小さく、主に発泡スチロールで出来ています。発泡スチロールはとても軽く、加工もしやすく、その上、断熱効果も高いというメリットがあります。
 村上さんは家を背負っていろいろなところに行きます。でも、眠るためには家を置く土地が必要になります。村上さんは、お寺や神社、お店などをたずね、家を置かせてもらえるよう土地の持ち主と交渉します。断られることもあるそうですが、どの町でも必ず協力してくれる人がいるそうです。
 夜は家の中に厚さ1cmのマットを敷いて寝ます。マットは地面の上に敷くことになり、夏はコオロギと一緒に寝ることも多いそうです。遠くで鳴いているコオロギの声はとても風流で気持ちのよいものですが、耳のすぐ近くで鳴くとうるさくて眠れなくなるそうです。そんなとき、村上さんは耳栓を使います。それやこれやで、この家に暮らすことはなかなかたいへんそうです。
 この絵本で村上さんの暮らしぶりが分かります。でも、どうして村上さんはそんなことをしようと思ったのでしょう。人間はこれまでいろいろな場所に住み、いろいろな暮らし方をつくって生きてきました。村上さんは、それを個人的に自ら体験しようしているように思います。そして、私たち人間が生きていくため本当に必要なものは何なのか探しているのかもしれません。(店主)

家をせおって歩く かんぜん版
村上慧 作

福音館書店
2019年3月10日発行
本体1400円+税

2019年9月13日金曜日

【本の紹介】カルメラのねがい




 タンポポの綿毛を吹きながら願い事をすれば叶うという言い伝えがあるそうです。この絵本の主人公のカルメラは、その言い伝えを信じています。
 カルメラは7歳になりました。7歳になれば、お兄ちゃんと一緒におでかけすることができます。お兄ちゃんと一緒に行ったコインランドリーの前で、カルメラはタンポポの綿毛を見つけます。
 カルメラが思い描く願い事は、あこがれの「おやつマシン」が部屋にあって大好きなキャンディを好きなだけ食べられること。でも、それだけではありません。いつも忙しく働いているおかあさんが素敵なホテルでゆっくり休むことや、この国にもどったおとうさんがカルメラをぎゅうっと抱きしめてくれることも心に思い浮かぶのです。
 カルメラは大切な願い事のためにタンポポの綿毛を大事にとっておきます。でも帰り道で転び、タンポポの綿毛は歩道でバラバラになってしまいました。すると、お兄ちゃんがカルメラを海を見おろす崖のところまで連れていってくれました。カルメラは目を閉じて願い事をします。そのあと、そっと目を開けてみると、白い綿毛がふわふわ舞いながら海に飛んで行くのが見えました。カルメラが何をお願いしたのか、私たちにはわかりません。どうかカルメラの願いが叶いますように! (店主)

カルメラのねがい
マット・デ・ラ・ベーニャ 作
クリスチャン・ロビンソン 絵
石津ちひろ 訳

鈴木出版
2019年8月7日発行
本体1500円+税

2019年9月12日木曜日

【本の紹介】キュリオシティ ぼくは、火星にいる




 キュリオシティは火星のことを調べるためにつくられた車型のロボットです。キュリオシティが火星までやってきたのは2012年。今でも元気に働いています。この絵本でキュリオシティの活躍を見てみましょう。
 キュリオシティのようなロボットはマーズ・ローバー(火星探索車)とも呼ばれています。アメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)がつくり、火星に送り込みました。キュリオシティの名づけ親は、アメリカのカンザス州に住んでいたクララ・マー。当時、小学生だったそうです。
 人間は地球や宇宙のこと、そしてそこから生まれた命のことをもっともっと知りたいと思っていました。とくに地球以外の星でも命が生まれたのかどうか調べたいと考え、その疑問に応える証拠を探すため、地球とよく似た火星に探索車を送り込むことにしたのです。
 地球から火星までの距離は6億Km。実際にキュリオシティが地球を出発して火星に着くまで253日間もかかったそうです。遠く離れた火星の地で、キュリオシティがさまざまな困難を乗り越えて活躍する姿にワクワクします。キュリオシティ(curiosity)とは「好奇心」のことです。私たち人間は好奇心があるから、いろいろなことを学ぶことができます。キュリオシティは私たちに好奇心を持ち続けることの大切さを教えているような気がします。(店主)

キュリオシティ ぼくは、火星にいる
作/マーカス・モートン
訳/松田素子
日本語版監修/渡部潤一

BL出版
2019年2月10日発行
本体2500円+税

2019年9月8日日曜日

【本の紹介】こけをみつけたよ(かがくのとも2019年10月号)




 苔の面白さを教えてくれる絵本です。作者の苔に対する愛が溢れています。身近な存在の苔ですが、この絵本を読むまで知らないこともたくさんありました。
 苔は家の庭や、少し気をつけて探せば街の中ですぐ見つけることができます。木や草と同じ植物です。一番の違いは根っこがないこと。普通の植物は根っこを土の中に伸ばして体をしっかり支えていますが、苔は仮根(かこん)という短い毛のようなもので地面などに張り付いているだけです。だから、苔はペリッと簡単に剥がすことができるのです。
 根っこがないから、苔は体全体で水を吸い込むそうです。体から水が無くなると、苔は葉っぱが茶色く縮れて枯れたようになりますが、水を吸うと元のように緑色に戻ります。縮れて広がった苔を濡れた手で触ってみると面白いことが起こります。触って濡れたところだけ元に戻り、緑色の手の形が浮かぶ上がってくるそうです。
 苔にはたくさんの種類があります。絵で葉っぱの形も紹介されています。いろいろな苔を探しにいきましょう。葉っぱは小さいので、見分けるためには虫めがねやルーペが便利です。虫めがねやルーペは使い方を間違えると目を痛めることがあるので、大人の人は十分注意してください。(店主)

こけをみつけたよ(かがくのとも2019年10月号)
今津奈鶴子 さく
上野健 監修

福音館書店
2019年10月1日発行
本体407円+税

2019年9月7日土曜日

【本の紹介】ヴィンセントさんのしごと(こどものとも2019年10月号)




 南の島に雪を降らせるなんて、誰ができるというのでしょう。ヴィンセントさんならできます。どうやって? この絵本をみれば分かります。
 ヴィンセントさんは、まずはしごを出して屋根に立てかけました。その上に、もう一つはしごを立ててしっかりしばりました。さらにもう一つはしごをつなげます。それを何度も繰り返し、はしごの一番上が見えないくらい高くなりました。
 ヴィンセントさんは、大きな扇風機を背負ってはしごを上り、てっぺんで雪を降らせる雲を探します。遠くの高い山の上にありました。ヴィンセントさんが扇風機のスイッチを入れると強い風が吹き始め、雲は南の島まで飛ばされました。ヴィンセントさんはこうやって、南の島に雪を降らせることができました。
 ヴィンセントさんの仕事は子どもの願い事をかなえてあげることです。世界中の子どもたちがヴィンセントさんにお願いの手紙を書いています。明日はどんな願い事が届くのでしょう。(店主)

ヴィンセントさんのしごと(こどものとも2019年10月号)
乾栄里子 文
西村敏雄 絵

福音館書店
2019年10月1日発行
本体407円+税

2019年9月6日金曜日

【ご案内】えほんのおはなしタイム




 くわのみ書房は「えほんのおはなしタイム vol.5」を開催します。絵本の読み聞かせの会です。5歳くらいまでの子どもたちが対象です。
 事前のお申し込みは不要です。どうぞお気軽にご参加ください。お待ちしております!

■日 時:2019年9月8日(日)午前11時~11時30分
■会 場:くわのみ書房
■対 象:5歳くらいまでの子ども(保護者同伴)
■参加費:無料

〈お問い合わせ〉くわのみ書房 電話047-419-3567

【本の紹介】「母の友」2019年10月号




 「母の友」2019年10月号をお届けします。特集テーマは「この疲れ、なんとかならない?」です。最近、疲れがなかなか取れなくなったということはありませんか?
 効果的な疲労回復のためには、そもそも「疲労」とは何かを知る必要があるでしょう。疲労について長年研究している医学博士の渡辺恭良さんが「正しく知って、対策を! 疲労の基本Q&A」の記事で解説しています。
 まず疲労を少なくすることが大切のようです。そのため、こまめに休憩を取ることが求められます。そして、疲れてしまったら、やはり睡眠をたっぷり取ることが大事。確かに、よく寝た後は疲れが取れていると思います。
 疲労回復に向けて家庭でできることもいろいろありそうです。この特集が家族で話し合うきっかけになるかもしれません。どうぞお手に取ってご覧ください。(店主)

「母の友」2019年10月号

福音館書店
本体537円
2019年10月1日発行

2019年9月5日木曜日

【本の紹介】てつだってあげるね ママ!




 甘えたい盛りの子どもでも、大好きな人のために何かをしてあげたい気持ちを持っています。そんな子どもの気持ちをすくいとってくれる絵本です。柔らかいタッチの絵からも優しい気持ちが伝わります。
 今日はハティのパパの誕生日です。今晩のパーティの準備で大忙しのママ。ハティもケーキを焼くお手伝いをします。
 ケーキが焼けるとママからお昼寝をするようにいわれます。甘えん坊のハティはママに添い寝を頼みました。すると、本当に眠ってしまったのはママの方でした。ハティがつぶやきます。「ママったら、ちっちゃなおんなのこみたい」
 それからハティの大活躍が始まります。ちょっとハラハラするけれど、ハティのおかげでパーティの準備が整いました。ハティの成長を喜ぶ大人たち。でも、一番喜んだのはママだったようです。そんなママを見て、ハティもちょっと得意顔です。(店主)

てつだってあげるね ママ!
ジェーン・ゴドウィン&ダヴィーナ・ベル さく
フレヤ・ブラックウッド え
小八重祥子 やく

きじとら出版
2019年7月31日発行
本体1600円+税

2019年9月4日水曜日

【本の紹介】花ばぁば




 日本はかつて多くの国々と戦争をして負けました。この絵本は、その戦争中に旧日本軍の「慰安婦」だった韓国の女性を描いています。作者のクォン・ユンドクさんは韓国の絵本作家です。クォンさんは、元慰安婦のシム・ダリョンさんの証言をもとにこの絵本をつくりました。
 日本軍「慰安婦」だったシムさんは体だけでなく心にも傷を負いました。シムさんが園芸セラピーで押し花をつくっているのは、心の傷を癒すためでしょう。「花が大好き」なシムさんは「花ばぁば」と呼ばれるようになりました。
 花ばぁばが12歳か13歳だったころのことです。お姉さんと一緒に野原で食べ物にする野草をとっているとき、二人はトラックでやってきた大人たちに連れ去られてしまいます。船に乗せられ、どれだけの時間が過ぎたのか、どこに向かっているのかもわからないまま、行き着いたところで花ばぁばは日本軍「慰安婦」になったのです。
 日本軍「慰安婦」として強いられた生活の悲惨さ、そして戦争が終わってからも続いた過酷な人生に心を痛めます。それでも、この絵本を美しく描いた作者の心情に思いを寄せ、幅広い年代の多くの人に、この絵本を手に取ってもらいたいと強く願わずにはいられません。この絵本には、すべての人々の平和を求める普遍的な願いが込められているからです。


 絵本の「花ばぁば」が発刊されるまでには紆余曲折があり、長い年月を必要としました。8月28日に開かれた「芸術と憲法を考える連続講座」(主催・東京藝術大学音楽学部楽理科)の第20回で出版に至るまでの経緯が紹介されました。
 この絵本は、日本の絵本作家による呼びかけで始まった「日・中・韓 平和絵本」シリーズの1冊としてつくられました。呼びかけを行った絵本作家は田畑精一さん、田島征三さん、和歌山静子さん、浜田桂子さんの4人です。日本、中国、韓国の3カ国の絵本作家が参加し、それぞれの作品をそれぞれの国、それぞれの言語で発刊しあうという3カ国共同出版の試みです。平和を願い、国の違いを超えた相互理解と痛みの共有を目指すプロジェクトでした。
 この絵本の韓国語版は2010年に初版が発刊されました。日本語版の出版に向けて、作者のクォンさんは日本で出された意見も踏まえ改訂版をつくります。改訂版は2015年に、韓国と中国で発刊されました。しかし、日本で発刊することはなかなか実現できませんでした。日本の絵本作家たちは、この絵本を日本で出版することの意義を理解し、刊行に向けて努力を続けました。そして、2018年4月、この絵本シリーズを手がけた出版社とは別の出版社から出版することができました。
 8月28日の連続講座第20回ではこの絵本シリーズのきっかけをつくった絵本作家の田島さんと浜田さんが、「花ばぁば」が発刊されるまでの経緯、そして出版に向けられた熱意を語りました。日本での出版に際して問題視されたのは、元慰安婦のシムさんの証言が史実と合わない、あるいは証拠がないなどとする指摘があったことのようです。シムさんの証言が正確とはいえないということでしょう。ただ、クォンさんはこの絵本に掲載された「著者からの言葉」の中で次のように述べています。
 「私たちは被害者の証言に何かを要求するよりも、まず彼女たちが経験した痛みに共感する姿勢を持たなければなりません。証言は、事実を証明する資料である以前に、事実を明らかにすることで証言者自身が大切な人として、生まれ変わる過程でもあるからです」
 クォンさんの指摘に共感するとともに、「証言者」が「大切な人」として生まれ変わるとき、私たち自身も生まれ変われる機会を得ることになるのではないかと思いました。この絵本を通じてシムさんの痛み、そして思いを少しでも共有できたのであれば、とてもうれしく思います。この夏、「あいちトリエンナーレ2019」では「表現の不自由展・その後」の展示が中止になりました。展示作品の一つだった「平和の少女像」は日本軍「慰安婦」を象徴するものとして問題視されていたようです。展示中止となった過程に胸騒ぎを覚える一方で、あらためて「花ばぁば」の出版を意義深いものとしてしっかり受け止めたいと思います。(店主)

花ばぁば
クォン・ユンドク 絵/文
桑畑優香 訳

ころから
2018年4月29日発行
本体1800円+税

【本の紹介】イヌワシつかいのエルジャン

 モンゴルの高地に住む子どもの成長を描いた絵本です。そこではイヌワシを使う狩りが古くから行われていました。子どもの「エルジャン」は父親に習い、イヌワシつかいへの道を歩み始めます。  お話はイヌワシのヒナを捕まえに行くところから始まります。イヌワシをヒナから育てあげ、狩りができるよ...