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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2021年10月30日土曜日

【本の紹介】小さなタグボートのバラード




 小さなタグボートが自らの心情を語ります。タグボートの仕事は、遠く海を渡って港にやってきた大型船を安全な場所に誘導すること。港から外に出ることはありません。

 タグボートは外国の船乗りたちと挨拶を交わします。でも、やがて大型船は港を出ていきます。別れは悲しいことだけど、タグボートは港に残ります。タグボートを必要としている船があるからです。

 透明感のある色彩と柔らかなタッチの絵が深みのある世界を描き出しています。タグボートの語りと幻想的な絵のイメージが重なり、私たちの心を強く揺さぶります。

 この絵本の文章はヨシフ・ブロツキーが児童向け雑誌に発表した詩です。ブロツキーは1987年のノーベル文学賞受賞者です。絵を描いたイーゴリ・オレイニコフさんは2018年に国際アンデルセン賞を受賞しました。


小さなタグボートのバラード

ヨシフ・ブロツキー=詩

イーゴリ・オレイニコフ=絵

沼野恭子=訳


東京外国語大学出版会

2019年11月29日発行

定価:本体1900円+税

2021年10月23日土曜日

「12人の絵本作家が描くおうえんカレンダー2022」、再入荷しました!




 早々に品切となっていた「12人の絵本作家が描くおうえんカレンダー2022」が再入荷しました。1部1100円(税込)です。

 このカレンダーは、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生による放射能被害から子どもたちを守りたいという思いを込めて作られました。12人の絵本作家がその思いに賛同し、作品を提供しています。

 カレンダーづくりは2016年から始まりました。2022年カレンダーには、荒井良二、あべ弘士、どいかや、市居みか、田島征彦、おーなり由子、はたこうしろう、村上康成、山福朱美、降矢なな、堀川理万子、酒井駒子の12人の絵本作家の作品が使われています。

 カレンダーの販売収益は、被曝から子どもたちを守るための活動をしている団体に寄付されます。詳しい情報は一般社団法人応援カレンダープロジェクトのウェブサイト(https://12ehoncalendar.com/index.html)をご参照ください。(店主)

2021年10月22日金曜日

【本の紹介】くろねこのほんやさん





 本が大好きなくろねこがいました。仕事もしないで本を読んでばかりのくろねこ。「ほんを よめば いろんなことができるし、なんにでも なれるもの」

 そんなくろねこですが、とてもわくわくする仕事を見つけました。本屋さんです。くろねこはお客さん一人ひとりにぴったりの本を選んであげました。お客さんたちは大喜びです。

 でも、ある日、大雨が降って、その上、水道管が破裂したので、本屋も街も水浸しです。くろねこの本屋さんはこのピンチを切り抜けられるのでしょうか。

 とても素敵な本屋さんが描かれている絵本です。本屋が読んでも幸せになります。ぬくもりのある柔らかいタッチの絵が幸せな気持ちをいっそう高めてくれます。(店主)


くろねこのほんやさん

シンディ・ウーメ 文・絵

福本友美子 訳


小学館

2,021年7月25日発行

定価:本体1500円+税

2021年10月20日水曜日

【本の紹介】いろんなでんしゃ はっしゃしまーす




 いろいろな電車が登場します。実際に乗っているような気持ちになって楽しめる絵本です。

 扉のページから、子どものワクワクする気持ちが伝わります。今日はお出かけの日。どんな電車に乗るのでしょう。

 家の近くの駅から乗る電車はお買い物に行くときに使います。遠くまで遊びに行くときも電車に乗ります。海のそばを走る電車や、山の中を進む蒸気機関車にも乗りました。いつも黄色い帽子をかぶっている子どもと一緒です。最後に乗るのは、もちろん新幹線!

 この作者の他の作品と同様、この絵本の絵も木版画と思われます。駅のようすや、電車が走る場所の風景も丁寧に描かれていて見事です。(店主)


いろんなでんしゃ はっしゃしまーす

岡本雄司


アリス館

2020年2月10日

定価(本体1300円+税)

2021年10月19日火曜日

【本の紹介】りんご ごろごろ




 果物や野菜を通して子どもたちの日常を描きます。怒ったり泣いたりする姿を自分と重ね合わせることで、子どもたちの自我が芽生えてくるように思います。

 ことばの繰り返しを楽しみましょう。リズミカルなことばの流れが私たちを引きつけます。

 単純なことばで子どもたちの感情や行動を上手に表現しています。ことばにマッチした挿し絵が理解を深め、絵本の世界が広がります。

 実は、手遊び歌を楽しむ絵本です。巻末にはこの絵本に沿った手遊び歌が紹介されています。(店主)


りんご ごろごろ

ぶん もぎあきこ

え 森あさ子


世界文化社

2020年6月5日発行

定価:990円(本体900円+税10%)

2021年10月16日土曜日

絵本で秋の味覚を!




 毎月、テーマごとに絵本を紹介する書棚です。10月のテーマは「いも・くり・かぼちゃ」。絵本で秋の味覚をお楽しみください。ハロウィンにかぼちゃは欠かせません。栗が出てくるお話の絵本もあります。いつものように絵本の選書は、絵本の読み聞かせを行うユニット、《えほんの木》にお願いしました。(店主)

2021年10月15日金曜日

「12人の絵本作家が描くおうえんカレンダー2022」を販売します!




 くわのみ書房は「12人の絵本作家が描くおうえんカレンダー2022」を販売します。1部1100円(税込)です。

 このカレンダーづくりのプロジェクトは2016年から始まりました。東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から10年以上が経過しながらまだ収束していない放射能被害。子どもたちを放射能の被曝から守りたちとの思いから、絵本作家の協力を得て始まったプロジェクトです。

 今年は、荒井良二、あべ弘士、どいかや、市居みか、田島征彦、おーなり由子、はたこうしろう、村上康成、山福朱美、降矢なな、堀川理万子、酒井駒子の12人の絵本作家が作品を提供しました。「カレンダー原画展」がすでに始まっています。全国7カ所で開催されます。

 カレンダーの販売収益は、被曝から子どもたちを守るための活動をしている団体に寄付されます。詳しい情報は一般社団法人応援カレンダープロジェクトのウェブサイト(https://12ehoncalendar.com/index.html)をご参照ください。(店主)

2021年10月14日木曜日

【本の紹介】母の友2021年11月号




 毎年恒例の企画です。「母の友」11月号は「こどもに聞かせる一日一話」をお届けします。

 30話の童話を掲載しました。どれも見開き2ぺーじに収まる短いお話です。

 ぜひ大人たちが子どもたちに声を出して読んでください。それぞれ楽しい挿絵が付いています。聴いて楽しむ、そして見て楽しむ構成です。

 子どもにとって身近な大人が語りかけるお話は一生の宝物になります。子どもたちと一緒の時間を過ごすきっかけにしていただきたいと思います。(店主)


「母の友」2021年11月号


福音館書店

2021年11月1日発行

定価580円(本体527円+税10%)

2021年10月13日水曜日

【本の紹介】からだの中の時計(たくさんのふしぎ2021年11月号)




 体内時計について教えてくれる絵本です。体内時計は地球に存在するほとんどの生物に備わっているそうです。

 私たちは夜になると眠くなり、朝になると目を覚まします。目覚めるのは、外が明るくなったから? 目覚まし時計がなったから? それらも理由になりますが、私たちはそうした時間の手掛かりがない真っ暗な洞窟の中にいても、夜には眠くなり、朝には目が覚めたりするそうです。私たち自身が見えない時計、つまり「体内時計」を持っているからです。

 体内時計にズレが生じることは、以前にも聞いたことがあります。例えば人間の場合、1日24時間が25時間くらいのリズムになっています。でも、私たちは普段、そのズレを感じることはありません。では、どうやってズレが修正できるのでしょうか。答えは、太陽の光。毎朝、太陽の光を感じることで、体内時計のズレを直しているそうです。

 太陽の光は体内時計にとって大切な役割を果たしています。1日の中で太陽の光を感じる時間、つまり日の長さが、地球上の生物に時間のリズムを与えているそうです。体内時計には、まだまだ分からないことがたくさんありそうです。(店主)


からだの中の時計(たくさんのふしぎ2021年11月号)

吉村崇 文

いとうあや 絵


福音館書店

2021年11月1日発行

定価770円(本体700円+税10%)

2021年10月12日火曜日

【本の紹介】こんぶ(かがくのとも2021年11月号)




 お馴染みの食材ですが、ちょっと地味な存在かもしれません。昆布です。この絵本で昆布の生態を知ることができます。

 昆布の主な生産地は北海道です。北海道の海には流氷が流れてきます。この流氷は、栄養豊かな川の水が凍ったものだそうです。昆布が取れる海には、流氷の栄養と、近くの川から流れてくる栄養がたっぷり含まれています。

 昆布は栄養たっぷりの海で育ちます。日の光を受け、海の栄養を取り込み、たくさんの「うまみ」を蓄えます。そのうまみが、美味しい出汁のもとになるという訳。多くの日本料理で出汁が使われ、出汁を取る材料の一つが昆布です。出汁をきちんと取った料理は本当に美味しくなります。

 昆布が胞子から育つことをあらためて知りました。また昆布は、うにや貝に食べられてしまうことも多いようです。逃げることのできない昆布が、ちょっとかわいそうに思えてきました。(店主)


こんぶ(かがくのとも2021年11月号)

川井唯史 ぶん

成広のり子 え


福音館書店

2021年11月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年10月9日土曜日

【本の紹介】あなほり くまさん(ちいさなかがくのとも2021年11月号)




 北の森に冷たい風が吹き始めると、クマは冬眠の準備を始めます。冬眠前のクマの親子を描いた絵本です。

 元気なヒグマのきょうだいが木登りをして遊んでいます。木は葉っぱが吹き飛ばされて、はだかんぼう。クマたちの大好きな木の実もほとんど残っていません。

 木の下で「ザッザッザッ」と音がします。おかあさんのヒグマが地面を掘っています。きょうだいたちも木から降りて一緒に穴掘りを始めました。子どもたちとっては穴掘りも遊び。きょうだい2匹とも、土だらけになって大騒ぎしています。

 表紙に描かれたおかあさんグマの後ろ姿が何とも頼もしい。おかあさんと大自然の暖かさが伝わる絵です。穴に笹の葉っぱを敷き詰めたらお布団の出来上がり。冬眠が始まります。雪が降り始め、森を真っ白にしていきます。(店主)


あなほり くまさん(ちいさなかがくのとも2021年11月号)

あかしのぶこ さく


福音館書店

2021年11月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)


2021年10月8日金曜日

【本の紹介】まっくらけーの けっけさん(こどものとも年中向き2021年11月号)




 小さい子どもがいるご家庭に、大抵はいるものです。子どもがなかなか寝ないと出てくる怖いお化けみたいなやつ。この絵本に登場するのは、そんなお化けの「けっけさん」です。

 けんちゃんとくみちゃんは仲良し兄妹です。寝る時間になっても騒いでいる二人におかあさんがいいました。「いつまでも さわいでいると、けっけさんが きて つれていかれちゃいますよ」

 けんちゃんとくみちゃんには、けっけさんの正体が分かりません。だから布団に入っても、あれやこれや考えてしまいます。想像がだんだん大きく膨らみ、二人は寝るのも忘れて大騒ぎ。おやおや、けっけさんはすぐそこに来ていますよ!

 誰にも気づかれないように、けっけさんは外に出てしまします。でも、子どもたちがなかなか眠らない夜、けっけさんはきっとまたやって来るでしょう。(店主)


まっくらけーの けっけさん(こどものとも年中向き2021年11月号)

土田佳代子 文

垂石眞子 絵


福音館書店

2021年11月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年10月7日木曜日

【本の紹介】ひとりぼっちのけいとだま(こどものとも年少版2021年11月号)




 素朴なタッチの絵とリズミカルな文章がとてもよくマッチしている絵本です。毛糸玉の冒険の旅を描きます。

 お部屋に一人(?)残された毛糸玉。大好きなおばあさんはどこに行ったのでしょう。さびしくなった毛糸玉は「ぽーん」と窓の外。おばあさんを探しに出かけます。

 おやおや、毛糸がほどけているようです。「ころり ころころ」と進む毛糸玉。やがてくたびれて「へたりんぼ」になっただけでなく、おばあさんを見つけたときは、すっかり「すかすか」で別人のような毛糸玉になってしまいました。

 お話のオチは毛糸玉ならでは。毛糸玉で暖かい気持ちになれました。(店主)


ひとりぼっちのけいとだま(こどものとも年少版2021年11月号)

小野寺悦子 文

ささめやゆき 絵


福音館書店

2021年11月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)


【本の紹介】さんかく ならんで(こどものとも0.1.2. 2021年11月号)






 カラフルな三角形がいろいろな表情や動きを見せてくれます。その変化を楽しめる絵本です。

 三角形は並べ方次第で見方が変わります。想像力を働かせれば、笑い顔に見えたり、泣き顔に見えたり、とてもおもしろい。

 小さな三角形がたくさん集まると大きな三角形ができあがります。色の組み合わせが綺麗です。ページをめくると散らばって、それからどんどん横に並んで伸びていき、さて最後はどうなるのでしょう?

 シンプルな三角形の味わい方はさまざまです。思わぬお話も飛び出してきそうです。(店主)


さんかく ならんで(こどものとも0.1.2. 2021年11月号)

中辻悦子 さく


福音館書店

2021年11月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年10月6日水曜日

【本の紹介】ゴリラ(こどものとも2021年11月号)




 ゴリラとお話できる絵本です。「ゴリラと話すことなんてできないよ」と思ったあなたも大丈夫。ゴリラの問いかけに応えない訳にはいきません。

 ゴリラと人間。目が似ているとゴリラはいいます。鼻は似ているかと問いかけます。さて、どうでしょう。臭いは? 歩き方は?

 ゴリラが自らを語るとき、翻って私たちも自分がどのような存在なのか考えずにはいられません。ゴリラとの対話を通じて、心が洗われるような気持ちになります。

 堂々とした体格のゴリラ。でも、つぶらな瞳はとてもかわいい。ゴリラのやさしさが私たちに伝わります。ゴリラの魅力が溢れ出す絵本です。(店主)


ゴリラ(こどものとも2021年11月号)

小風さち 文

阿部知暁 絵


福音館書店

2021年11月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年10月2日土曜日

【本の紹介】きょうはだめでも あしたはきっと




 主人公はダチョウです。すさまじい砂嵐に運ばれて砂漠にやってきました。砂漠の動物たちはダチョウに興味津々。ダチョウも友だちになりたいようですが、なかなか上手くいきません。

 ダチョウは空を飛べません。ダチョウは鳥のくせに空を飛べないことをカッコ悪いと思っていました。だから、嘘をついて飛べる振りをしてしまいます。

 何とかして本当に飛べるようになりたいと願うダチョウは、毎晩、飛ぶ練習をするなど頑張っていました。でも、だめでした。「きょうは だめでも あしたは きっと。あしたに なったら また これだ!」などとはやしたてられるダチョウ。砂漠のみんなは、ダチョウが嘘をついていることをとっくに知っていたのです。

 力強く躍動感あふれる絵が動物たちの生命力を鮮やかに表現しています。本当の自分をさらけ出すことで、ダチョウは仲間の信頼を得るだけでなく、自分本来の姿を発見することになります。大人も刺激を受ける絵本です。(店主)


きょうはだめでも あしたはきっと

ルチア・スクデーリ さく

なかむらりり やく


春陽堂書店

2020年9月16日発行

定価:本体1800円+税

2021年10月1日金曜日

【本の紹介】ブウさん、だいじょうぶ? ともだちが たいへんなことに なっていたら




 友だちを思いやる心を愉快に描きます。やさしい気持ちになれる絵本です。

 気持ちのよい日曜日の朝、やぎのメエさんはウキウキ胸を踊らせて目を覚ましました。今日の夜は仲よしのぶたのブウさんから、晩ご飯にお呼ばれされているのです。

 窓からお隣のブウさんのお家をのぞいてみると、メエさんは「や や や!」とビックリ。ブウさんの泣いている姿が目に飛び込んできました。「たいへん! ブウさんに なにか あったに ちがいない」。

 メエさんはブウさんに何が起こったのか想像を巡らせます。ちょっと心配し過ぎなメイさんです。でも、メエさんみたいにどんなときも力になってくれる友だちって、いいですよね。(店主)


ブウさん、だいじょうぶ? ともだちが たいへんなことに なっていたら

バレリー・ゴルバチョフ 作

かわしままなみ 訳


春陽堂書店

2020年9月5日発行

定価:本体1600円+税

【本の紹介】チョッキリ 草木を切って子育てをする虫(たくさんのふしぎ2024年5月号)

   この虫のことは、ほとんど知りませんでした。「チョッキリ」とは、体長1cmほどのちいさな甲虫です。長く伸びた口が特徴のゾウムシの仲間だそうで、同様に長い口を持っています。  名前の由来が愉快です。「ドングリに穴をあけて卵を産みこみ、最後にチョキっと枝を切り落とす」から「チョッ...