小さなタグボートが自らの心情を語ります。タグボートの仕事は、遠く海を渡って港にやってきた大型船を安全な場所に誘導すること。港から外に出ることはありません。
タグボートは外国の船乗りたちと挨拶を交わします。でも、やがて大型船は港を出ていきます。別れは悲しいことだけど、タグボートは港に残ります。タグボートを必要としている船があるからです。
透明感のある色彩と柔らかなタッチの絵が深みのある世界を描き出しています。タグボートの語りと幻想的な絵のイメージが重なり、私たちの心を強く揺さぶります。
この絵本の文章はヨシフ・ブロツキーが児童向け雑誌に発表した詩です。ブロツキーは1987年のノーベル文学賞受賞者です。絵を描いたイーゴリ・オレイニコフさんは2018年に国際アンデルセン賞を受賞しました。
小さなタグボートのバラード
ヨシフ・ブロツキー=詩
イーゴリ・オレイニコフ=絵
沼野恭子=訳
東京外国語大学出版会
2019年11月29日発行
定価:本体1900円+税