この絵本の主人公のポルパは、ネパールのヒマラヤ山麓に暮らすシェルパ族の子どもです。シェルパ族の中にはヒマラヤの山々を案内することを仕事にしている人がいるため、今では「シェルパ」といえば山岳ガイドを思い起こす人が多くなりましたが、もともとはシェルパ族を指す言葉です。
ポルパも山岳ガイドのシェルパを目指しているようです。どうぞこの絵本の前作の「シェルパのポルパ エベレストにのぼる」もお読みください。この絵本では、シェルパ族にとって大切な動物のヤクが描かれています。ヤクはウシの仲間で、畑を耕すのを手助けしたり、お乳からバターやチーズをつくったり、毛皮であたたかい服をつくったり、重い荷物を運んだり、さまざま役目を果たします。ポルパは赤ちゃんのことからヤクのプモリと一緒に育ち、今では親友同士になりました。
ポルパにはおばあちゃんがいます。ある日、おばあちゃんを訪ねると、何だか元気がありません。お腹が痛いといい、ポルパに薬草を取ってきて欲しいと頼みます。ポルパはプモリを連れて薬草を探してくると約束します。ポルパは村の長老でお坊さんのラマに薬草はどこにあるか尋ねます。ラマは「冬虫夏草」を探しなさいと教え、どこでみつかるか地図まで書いてくれました。
冬虫夏草がある場所にはヤクたちがたくさん住んでいるそうです。でもポルパたちが到着すると、ヤクの姿はどこにも見当たりません。そこにいたのは、丘にみえるくらい大きな1頭のヤク! ポルパは冬虫夏草を見つけることができるのでしょうか。(店主)
シェルパのポルパ 冬虫夏草とおおきなヤク
石川直樹・文
梨木羊・絵
岩波書店
2020年10月27日発行
本体1800円+税
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