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2018年2月9日金曜日

カズオ・イシグロを読みました!




 千葉市の児童書専門店の会留府で2月8日、「YA(ヤングアダルト)の本を読む会」に参加しました。取り上げたテキストは「わたしを離さないで(ハヤカワepi文庫)」(カズオ・イシグロ、土屋政雄訳、早川書房)でした。今月の司会・進行は私が担当しました。
 いうまでもなく、作者のカズオ・イシグロは昨年のノーベル文学賞受賞者です。受賞前から気になる存在でしたが、作品を読むのは今回が初めて。この作品は長編で読みやすいともいえず、内容の理解も不十分なまま読み終えたように思います。
 SFのような作品といえるかもしれません。主人公たちは人工的に作り出されたクローン人間です。臓器移植で臓器を提供するため生み出された存在です。主人公たちは、自らの存在に対する葛藤もありますが、概ね自分の役割を受け入れているように思います。行き過ぎた生命科学の進歩に対する問題提起が主題の作品ではないでしょう。主人公たちは変えようがない自分の運命と向き合い、極限的な人生を強いられています。一方でこの作品は、主人公たちを一人ひとりの人間として淡々と描き、生命の瑞々しさを表現しています。その文章は端正ながら、味わい深いものだと感じました。
 この機会に同じ作者の「遠い山なみの光」(ハヤカワepi文庫)」(カズオ・イシグロ、小野寺健訳、早川書房)も読んでみました。翻訳者は違いますが、同じように味わい深い文章でした。内容の理解は不十分としても読み応えがあり、また別の作品も読んでみたいと思いました。(店主)

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