一緒に暮らしたヒキガエルを描いた絵本です。淡々と綴られた文章と柔らかいタッチの絵がとてもよくマッチしています。
作者の山内祥子さんはある年の春、庭で見つけたヒキガエルを飼い始めます。アズマヒキガエルという種類のメスのヒキガエルです。最初に見つけたときは1cmにも満たないほどの大きさ。色が黒いので「クロちゃん」と名付けられました。
クロちゃんはいろいろなものを食べます。庭にいたときはアリを食べていたようです。そこで作者はアリを捕まえてクロちゃんにあげると、たちまち「ペロリ」。野菜に付く虫も食べることが分かりました。ハエや、「桑子」と呼ばれる蚕に似た蛾の幼虫も食べます。セミも食べます。驚いたことに、畑で見つけた子ネズミまで食べてしまいました。
クロちゃんはよく食べて、体長15cmほどにも成長しました。そして、出会いの春からもう少しで18年になろうとしたある日、静かに目を閉じました。山内さんは、「18年間ともに暮らしたクロちゃんは、大きな自然とのかかわりをわたしなりに考えるきっかけをあたえてくれました」と書いています。生命の源は自然にあることをあらためて感じます。(店主)
ヒキガエルとくらす クロちゃんとすごした18年(たくさんのふしぎ2022年10月号)
山内祥子 文
沢野ひとし 絵
福音館書店
2022年10月1日発行
定価770円(本体700円+税10%)
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