海にぽつんと浮かぶ子どもの物語です。海の中から「とまっていては いけない」という声が聞こえてきます。
大きな波がわきおこり、子どもを取り囲みます。子どもはどこへ向かえばよいのか分かりません。海の声は「それは じぶんで みつけなさい」とささやくだけ。子どもは不安で胸がいっぱいになりました。
すると、暗い空を切り開くように白い鳥が飛んできて、子どもが乗る小さな船のマストに止まりました。鳥に導かれるように、子どもの旅が始まります。波にもまれ、子どもの旅は続きます。困難を乗り切ろうとする子どもに、ネズミイルカ、クラゲ、そしてクジラが救いの手を差し伸べます。やがて子どもは、たくさんの仲間と出会い、新しい岸辺に行き着きます。もう、子どもは一人ぼっちではありません。
私たちは一人ひとりが、この子どものように、海にぽつんと浮かぶ存在なのかもしれません。でも、一人ぼっちではないのです。私たちは仲間たちと出会う希望の場所を目指し、旅を続けている。そのことを教えてくれる絵本です。(店主)
なみの むこうに
ブリッタ・テッケントラップ 作
三原泉 訳
BL出版
2022年7月1日発行
定価[本体1600円]+税
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