迫力のある絵が表紙を飾ります。舌なめずりしている鋭い目つきの顔。いったい何者でしょう。
扉のページから物語が始まります。男とおかみさんと三人の娘の暮らしは貧しく、太った子豚が一匹いるだけ。子豚をソーセージやベーコンにして、少しずつ食べて生きながらえていましたが、すっかり食べつくしてしまい、残ったのは子豚の胃袋の肉詰めだけでした。
胃袋の肉詰めは屋根裏の部屋に天井からぶら下げてあります。表紙の恐ろしい顔はこの胃袋でした。胃袋を食べるため、男の家族が取りに行きますが、そのたびに胃袋は「おいらが あんたを くってやる!」といって、家族全員を食べてしまいます。胃袋は重くなり、ぶら下げていたひもが切れて、外にころがり出ます。次々と人を飲み込んで大きくなっていく胃袋。これからいったいどうなってしまうのでしょう。
ハンガリーの昔話の絵本です。胃袋の肉詰めは、今のハンガリーやその周辺の国々ではポピュラーな食べ物だそうです。こわそうなお話ですが、最後の展開はとてもユーモラス。奇想天外な昔話を堪能できます。(店主)
いぶくろ(こどものとも年中向き2018年12月号)
洞野志保 再話・絵
福音館書店
2018年12月1日発行
本体389円+税
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