かつて日本はアメリカなどの国々と戦争をしました。戦争の末期、東京は大規模な空襲を受けます。東京大空襲です。
この絵本の作者の半藤一利は15歳になる年に東京大空襲を経験します。1945年3月10日、東京の下町は爆撃機が落とした爆弾の焼い弾で焼き尽くされ、10万人以上の人々が亡くなりました。
半藤少年が住む下町にもごく普通の生活がありました。やがて戦争が始まり、東京にも爆弾が落とされる日々がやってきます。そして迎えた東京大空襲の焼けあとに立ち、半藤少年はこの世に「絶対」はないということを思い知ります。
「絶対に正義は勝つ、絶対に神風がふく。絶対に日本は負けない。絶対にわが家は焼けない。絶対に焼い弾は消せる。絶対に自分は人を殺さない」
たくさんの「絶対」があり、それがどんなにむなしく自分勝手な信念であったかを、半藤少年は焼けあとから教わりました。
それから半藤少年は、二度と「絶対」という言葉は使わないと誓います。でも大人になった半藤少年は、この絵本で、あえて「絶対」という言葉を使って一つの思いを伝えようとします。「戦争だけは絶対にはじめてはいけない」(店主)
焼けあとのちかい
文・半藤一利
絵・塚本やすし
大月書店
2019年7月12日発行
定価[本体1500円+税]
0 件のコメント:
コメントを投稿