侵略を描いた絵本です。侵略される側から、侵略が徐々に進むようすを淡々と描きます。
侵略者はウサギです。侵略を受ける側も動物ですが、何者かは分かりません。訳者は、オーストラリア原産のフクロアリクイを思わせると書いています。この絵本の二人の作者はともにオーストラリアの出身です。
絵の美しさにひかれます、描かれる対象は強くデフォルメされ、幾何学模様を思わせるように再構築されています。深みのある世界を描き、読む人をその世界に引き込みます。
侵略から救われる道はあるのでしょうか。絵本の最後のページまで、その道が示されることはありません。救いの道は、この絵本を読む私たち一人ひとりに委ねられているのです。(店主)
ウサギ
ジョン・マーズデン 文
ショーン・タン 絵
岸本佐知子 訳
河出書房新社
2021年1月30日発行
本体2000円+税
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