とても示唆に富む本です。例えば、「情報はノイズから発生する」という記述に目を開かせられる思いでした。
そして、ノイズはシステムとシステムの間に発生すると指摘します。あらゆるシステムは効率よく事を運ばせるため、できるだけノイズの発生を抑えようとしています。つまり、1つのシステムの中に安住しているとノイズを聞くことはなく、そこから新しい情報が生まれることはないということです。
これから私たちが生きる社会は、ますます予測不可能な世界になっていきます。そのとき求められる生産性は、ものづくりの生産性ではなく、情報の生産性。これまでの慣行や前例は役に立たず、見たこともない現実に立ち向かい、答えのない問いに取り組まなければなりません。答えのない問いに道筋をつけるのは新しい情報です。複数のシステムが出会うことでノイズが発生し、そこに新しい情報が生まれ、社会のイノベーション(革新)を引き起こします。
これまで職場と家庭という異なるシステムを上手に渡り歩いてきたのは、男性よりも圧倒的に女性であったということができるでしょう。この点だけを見ても、女性に備わる可能性はかなり高いといえそうです。この本は男の子も女の子も、大人も子どもも、これからの社会で「女の子はどう生きるか」を考えるときに大きなヒントを与えてくれると思います。(店主)
女の子はどう生きるか-教えて、上野先生!(岩波ジュニア新書)
上野千鶴子
岩波書店
2021年1月20日発行
定価(本体880円+税)
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