ドイツ・ベルリンの街のはずれに湖があります。そのほとりに一軒の木の家が建っています。この絵本はその家の物語を伝えます。家の物語は私たちの物語と重なります。色彩を抑えた絵が私たちの感情に寄り添います。
家ができたのは、今から100年近く前のこと。医者の一家が騒々しい街を離れ、自然の中で暮らそうと思い建てたのでした。その一家はユダヤ人でした。
ときは流れ、街では何かが大きく変わり始めます。湖の辺りの家に住む人たちも変わります。私たちは知っています。戦争があり、戦争が終わると街は高い壁で分断されていたことを。
住む人もいなくなった家。それでも家は、そこにあり続けました。やがて一人の若者がやってきてドアを開けました。若者は村の人たちの助けを借りて家を片付けます。家はぴかぴかになり、若者はだんろの上にひいおじいさんとひいおばあさんの写真を飾ります。写真の夫婦は、この家を建てた医者とその妻でした。(店主)
あの湖のあの家におきたこと
トーマス・ハーディング/文
ブリッタ・テッケントップ/絵
落合恵子/訳
クレヨンハウス
2020年11月1日発行
本体1800円+税
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