宮城県石巻市の北上川河口にあるヨシ原のようすを記録した写真絵本です。ときおり写真を補うように使われている絵は素朴で温かみがあります。
作者の堀内孝さんは今から20年以上前にこのヨシ原と出会い、写真を撮るようになりました。黄金色のヨシ原が広がる河口の風景に圧倒されます。4月になると、火をつけてヨシを焼き尽くしてしまう「火入れ」が行われました。火入れのあと、1カ月もすると、新しく芽生えたヨシの草丈は1メートルを超え、河口一帯が緑の絨毯に変わります。
ヨシ原には多くの生物が集まります。野鳥や昆虫だけではありません。栄養豊富な北上川の水はヨシ原できれいに浄化され、シジミが大きく美味しく育つそうです。河口にはたくさんの種類の魚介類も住んでいます。牡蠣が育ち、周辺の海ではワカメやホタテも養殖しています。
2011年3月11日、河口の風景が一変します。東日本大震災による津波が河口を飲み込み、あらゆるものが消え去りました。震災前のような豊かな自然は、もう戻らないのではないかと思われました。でも、多くの人々の努力により、環境回復が進んでいます。いつか北上川河口のヨシ原を訪ねてみたいと思います。(店主)
海と川が生んだたからもの 北上川のヨシ原
堀内孝 文・写真
牧野伊三夫 絵
福音館書店
2021年3月1日発行
定価700円+税
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