ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2023年6月30日金曜日

【本の紹介】沈没船はタイムカプセル(たくさんのふしぎ2023年7月号)




 世界には300万隻もの沈没船が存在しているそうです。海に沈んだ沈没船を調べると、私たちの歴史をうかがい知ることができます。

 例えば、長崎県・鷹島の海では元寇の沈没船が2隻も発見され、今も調査が続いています。元寇は日本の鎌倉時代の一大事件です。当時のモンゴル帝国の船団が2回、日本を攻め込みました。2回目のときは台風が日本を救ったといわれています。台風によって多くのモンゴルの船が海に沈みました。その沈没船がまだ残り、私たちにいろいろなことを教えてくれるのです。

 海中などに残された遺跡を「水中遺跡」といいます。沈没船は水中遺跡の代表的な存在です。水中で砂に埋もれた沈没船は真空パックのように酸素から遮断された状態になります。そのため、木材などの保存状況はとてもよくなり、沈んだ当時に近い姿を私たちに見せてくれます。沈没船は、まさにタイムカプセルです。

 水中遺跡を調べる学問を「水中考古学」といいます。実は、水中考古学の研究者自身が水中遺跡を発見することはほとんどないそうです。漁師やダイバーなど、日ごろから海に関わる人から得た情報を貴重な発見につなげています。だから水中考古学者は、できるだけの多くの人々に水中遺跡にの存在を知ってもらいたいと考えているそうです。この絵本もそうした願いから生まれました。(店主)


沈没船はタイムカプセル(たくさんのふしぎ2023年7月号)

佐々木ランディ 文

矢野恵司 絵


福音館書店

2023年7月1日発行

定価770円(本体700円+税10%)


0 件のコメント:

【本の紹介】イエロー バタフライ

 2022年2月、ロシアがウクライナ侵攻を始めました。2024年5月になった今も、この戦争の終わりは見えてきません。  戦争が長引くことに伴い、私たちの関心も薄れていくように思え、とても気がかりです。戦争が日常である世界を誰が望むでしょう。  この絵本は戦争が始まって1カ月のうち...