一人の子どもが生まれる前、おかあさんのおなかの中で過ごしたときのお話です。混沌とした世界で、子どもは自ら誕生の準備を始めるようです。
白い霧が立ち込める中、迷子の子どもが一人。名前は「コグニ」といいます。迷子のようでも、コグニはちっとも怖くありませんでした。
コグニは霧の中を歩き始めます。何か足りないような気がしてきて、気持ちがぐにゃぐにゃしてきました。やがて川を見つけます。少し心が落ち着いたようです。川は大きな池につながり、そこでオトコノコと出会います。
池は、オトコノコが小石を積み上げ、川の水を堰き止めてつくったものでした。でも、一体何のために…。命の誕生に思いを馳せ、子どもの笑顔がいっそう愛おしくなる幼年童話です。今、テレビのニュースでは戦争の映像が多く流れています。傷ついた子どもの姿は、もう見たくありません。(店主)
コグニのはじまり
いとうひろし
あすなろ書房
2023年7月30日発行
定価(本体1,200円+税)
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