鮮烈な「赤」が少年の熱い思いを伝えます。その思いは、果たして少女に届くのでしょうか。
少女は毎年、夏にやって来ます。少年は一緒に遊ぶことを楽しみにしています。でも、今年は声をかけてくれません。少女はずっと、ほかの男の子たちと一緒です。
少女が来てから1週間ほど経ちました。遠くの空が真っ赤に染まり、焦げるような匂いがします。山火事です。火事はあっという間に広がります。やがて、気がつくと少年の隣に少女がいました。少女の目には涙が浮かんでいます。
初恋の切なさが胸にしみる絵本です。木々の緑と炎の赤の対比が少年の心の移ろいを描きます。大胆さと繊細さを併せて表現する絵が見事です。(店主)
赤のものがたり
ステファン・キール 作
ひがきゆみ 訳
化学同人
2023年8月発行
定価2420円(本体2200円)
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