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2020年5月22日金曜日

【本の紹介】まぼろし色のモンシロチョウ 翅にかくされた進化のなぞ



 モンシロチョウの謎を追いかける絵本です。モンシロチョウは、見た目だけはオスとメスの区別がつけられないようです。では、オスは結婚相手を探すとき、どうやってメスを見つけるのでしょうか。お話はこの謎からスタートします。

 謎を解く鍵は、モンシロチョウが見ることのできる「色」の違いにあります。人間が見られる色は、虹となって並ぶ赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色です。両端の赤と紫の外側の色は、それぞれ赤外色、紫外色と呼ばれ、人間は見ることができません。でも特別なフィルターをつけたカメラで撮影してみると、モンシロチョウのメスのはねには紫外色が含まれていることが分かりました。モンシロチョウが紫外色を見られることも分かりました。オスは、メスのはねの紫外色を手掛かりに結婚相手を見つけていたのです。

 この絵本の文章を書いた小原嘉明さんは、紫外色を含むメスのはねの色を「まぼろし色」と名付けました。小原さんが日本のいろいろな場所でまぼろし色について調べてみると、地域によって違いがあることが分かりました。さらにイギリスでは紫外色がたいへん弱く、まぼろし色をしていないことも分かりました。では、イギリスのオスはどのようにしてメスを見つけているのでしょう。謎はさらに広がります。

 日本とイギリスで違うモンシロチョウのはねの色。では日本とイギリスの間にあるユーラシア大陸ではどうなっているのでしょう。世界のモンシロチョウのまぼろし色を調べていくうちに、小原さんにはモンシロチョウの進化の過程も見えてきました。でも小原さんは、まだまだ分からないことがたくさんあるといいます。私たちの身近にいるモンシロチョウ。でもそのはねには、まだまだ大きな謎が残されているのです。(店主)


まぼろし色のモンシロチョウ 翅にかくされた進化のなぞ(たくさんのふしぎ2020年6月号)

小原嘉明 文

石森愛彦 絵


福音館書店

2020年6月1日発行

本体700円+税

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