ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2022年10月22日土曜日

【本の紹介】からまつ(かがくのとも2022年11月号)




 富士山の景観を形作るからまつの生態を描きます。その姿はたくましく、私たちに勇気を与えます。

 雪崩の後の荒地に芽を出すからまつ。芽生えたからまつが地面に根を張らせることは難しく、その多くは枯れてしまいます。でも、生き残ったからまつは何年もかけて背を伸ばし、やがて森を造り、その森に多くの生き物が住むようになります。この絵本の文章を書かれたのは菅原久夫さん。からまつと富士山に向けた、たっぷりの愛情を感じます。

 菅原さんが付録の「作者のことば」でからまつについて解説しています。その解説で初めて知ることがありました。常緑ばかりと思っていた針葉樹で、からまつだけは葉が黄色くなり落葉すること。からまつが生えることができるのは陽の光が降り注ぐ荒れ地だけで、からまつは荒れ地に森を造る木の代表格であること。

 この絵本は端正な文章にダイナミックな絵が組み合わさったことで、その魅力が増したように思います。絵を担当された福井利佐さんは、付録のプロフィール欄で「切り絵アーティスト」と紹介されています。とすると、この絵本は切り絵の手法で描かれた絵で作られたのでしょうか。精密な描写と迫力ある構成、単純ながらリアリティを感じさせる色使いが見事です。(作者)


からまつ(かがくのとも2022年11月号)

菅原久夫 ぶん

福井利佐 え


福音館書店

2022年11月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

0 件のコメント:

【本の紹介】植物が彩る切り絵・しかけ図鑑

 植物とは何かを解説する絵本です。目を見張る美しい切り絵や仕掛けを使い、楽しく読み進めることができます。  切り絵はレースのような繊細さ。色彩豊かな絵と効果的に組み合わされ、絵本自体がアート作品のような仕上げりです。さまざまな仕掛けも贅沢に盛り込みました。  この絵本は、植物が果...