他者を思いやることの大切さを描いた作品です。分断された社会に生きる者がお互いを知ることで心を通い合わせる姿を描きました。古くて新しいテーマといえるかもしれません。でも、今あらためて、思い起こしたいテーマです。
ショウは小学校4年生の男の子。大きな森が近くにある街に引っ越してきました。ショウが学校で出会った少女の名はノノ。実は、ノノはゾンビだったのです。ホラー映画などで描かれるゾンビといえば不死身で気持ちの悪い存在ですが、ノノは真っ白い肌、桜貝の色をした唇、そして真っ黒な大きな瞳の少女です。
森で暮らしていたゾンビは、200年前の争いで人間に退治されてしまいました。でも、少数のゾンビが生き残り、ひっそりと生活していたのです。人間もまだゾンビがいるという言い伝えを恐れ、森に近づくことはありませんでした。ときは流れ、人間は森を開発してショッピングモールをつくろうとします。ゾンビたちは、生活の場を奪われると怒りを爆発。人間とゾンビの間に再び争いが生じます。人間とゾンビは平和に暮らすことができるのか。ショウとノノにその運命が託されます。
なかなか友だちが出来なかった内気なショウ。好奇旺盛で思いやりの心を忘れないノノ。これは二人の成長の物語でもあります。ハラハラドキドキの展開を存分に楽しんでください。習志野市在住の作家、德野有美さんの作品です。(店主)
リトル・ゾンビガール
德野有美
NHK出版
2022年6月25日発行
定価:[本体1,100円]+税
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