タイトルもさることながら、内容も強烈な絵本です。作者は「うんこ虫」の生態をとことん追いかけます。
作者からうんこ虫と呼ばれているこの虫。本当の名前は「オオセンチコガネ」といいます。宝石のような輝きを持った虫ですが、大好物はシカのふんなどのうんこ。うんこに宝石というギャップが、愛好家にとってたまらない魅力になっているようです。でも、この虫の卵から成虫までの成長過程はまだよく分かっていません。
作者は昆虫をテーマにした細密画の絵本を数多く手掛ける絵本作家です。「キラキラかわいいオオセンチコガネは絵本の主役にもってこい」と考え、その暮らし方を調べて絵本にしようと目論みました。うんこ虫を飼育しようと、作者の悪戦苦闘が始まります。凄まじいほどの試行錯誤の道のりが、ときにユーモアを交えて描かれます。
この絵本の結論は、うんこ虫の生態はまだまだ分からないことばかりということ。それでも作者の満ち足りた気持ちは、読む人にとって一服の清涼剤になるでしょう。(店主)
うんこ虫を追え(たくさんのふしぎ2022年6月号)
舘野鴻 文・絵
福音館書店
2022年6月1日発行
定価770円(本体700円+税10%)
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