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2020年4月20日月曜日

【本の紹介】ポリネシア大陸(たくさんのふしぎ2020年5月号)



 不思議なタイトルです。この絵本の扉ページにも書いてあるように、「ポリネシア」とは、もともと「多くの島」という意味のギリシア語で、太平洋の中にあるハワイ、イースター島、ニュージーランドの3カ所を結んだ三角形の地域一帯を指すそうです。つまり、ポリネシアとは島と海で構成されている地域。「大陸」ではないはずです。
 読み進めていけば、その疑問の答えが分かります。この写真絵本の作者である野村哲哉さんは「ポリネシアの人々にとって、海は決して島と島をへだてるものではなかった。ポリネシアとは、海によってつながる大陸だった」と確信しているのです。
 野村さんは、ポリネシアの真ん中にあるタヒチ島で石像の写真撮影を行いました。驚いたことにその石像は、東に遠く4000kmも離れたイースター島にある石像とそっくりです。さらに野村さんはタヒチとニュージーランド、ニュージーランドとハワイのつながりを示唆する痕跡を見出します。ポリネシアの中で、ニュージーランドは西端、ハワイは北端に位置しています。海で断絶しているように見えるポリネシアの島々。でもそれらは、実は海でつながり、まさに大陸であったという訳です。
 野村さんはタヒチ、ニュージーランド、ハワイまで足を運び、昔の人々の動きを追いかけます。そして、かつて南米大陸のペルーを訪れたときに浮かび上がった疑問へと思いを馳せます。野村さんの探究は、わずかに残された痕跡を自分の目で確かめることから始まります。野村さんの旅はまだまだ続きそうです。旅の一端を写真に残し、私たちにもその楽しみを分け与えてくれました。(店主)

ポリネシア大陸(たくさんのふしぎ2020年5月号)
野村哲也 文・写真

福音館書店
2020年5月1日発行
本体700円+税

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