生きる喜びを感じさせる絵本です。大きな木をよりどころにして成長するこぎつねの姿を描きます。軽やかなタッチと優しい色使いの絵で、自然を生き生きと表現しました。
2匹のこぎつねが、お家から外に出たいとそわそわしています。おとうさんぎつねは「そろそろいいかもしれないな」。おかあさんぎつねは「そうね、あの木の ところまでね」。こぎつねたちは大きな木を目指して走り出しました。
こぎつねたちは、うれしくて木の周りを飛び跳ねます。最初に挨拶したのはヒヨドリです。春風が吹くようになり、木にどっさりと赤い実がなりました。ヒヨドリは、こぎつねたちが食べた実の種がうんちと一緒に出てきて、やがて芽を出し、大きな木に育っていくと教えてくれました。こぎつねたちは、それは「ぼくたちの木」で「きつねの木」だとうれしくなりました。
季節はめぐり、こぎつねたちは、大きな木とそこに集まる生き物たちと一緒に成長します。大人になり、木を離れますが、命を繋がる場は輝きを失うことはありません。(店主)
きつねの木
石川えりこ
講談社
2025年4月15日発行
定価:本体1600円(税別)