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2019年6月30日日曜日

【本の紹介】怪物があらわれた夜 『フランケンシュタイン』が生まれるまで




 怪物のフランケンシュタインが生まれるまでのいきさつを描いた絵本です。フランケンシュタインは、もともと「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」という小説に描かれた怪物です。その小説を書いた作家はメアリー・シェリー。まだ20歳の若い女性でした。
 メアリーは友人たちと一夏を過ごすため、スイスのレマン湖のほとりにある別荘に滞在していました。雨が続き、別荘に閉じ込められていた人々は、それぞれに怪談を書いて読み比べをしようということになりました。メアリーは死者を蘇らせる物語を生み出します。
 メアリーは、幼いころに聞いた、電気を使って死体を動かしたという実験の話を思い出します。一方でメアリーは、死者が蘇ることの恐ろしさよりも、蘇った死者として生きることの恐ろしさに思いを馳せます。メアリーの人間に対する深い理解があったからこそ、フランケンシュタインの物語は多くの人々に愛されたのだと思います。
 迫力ある絵に引き込まれます。読む人に不安をかきたてる絵は、自分に対する不安を抱えたまま生きるメアリーの心情を反映しているようです。この絵本のお話は、自分らしく生きようとしたメアリーの物語でもあります。最後の見開きページで、怪物に微笑みかけるメアリーの姿が印象的です。(店主)

怪物があらわれた夜 『フランケンシュタイン』が生まれるまで
文 リン・フルトン
絵 フェリシタ・サラ
訳 さくまゆみこ

光村教育図書
2018年12月20日発行
本体1500円+税

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