「いじめ」のニュースに多くの人が心を痛めています。この絵本は、いじめが深刻な事態とならないようにするため、私たちが考えるべきことのヒントを描きます。
スウェーデンで発行された作者によるシリーズの中の1冊です。1996年発行の絵本ですが、未だその内容は古びていません。ただ、それは社会の状況がなかなか改善しないことへの裏返しであり、とても残念なことといわざるを得ません。
扉のページをめくると、泣いているようにみえる子どもが一人、そしてその背後に14人の子どもたちがいます。ページごとに、14人の子どもたちが一人ずつ前に出て話をします。どうやら、泣いている子どもは、ほかの子どもから叩かれていたようです。でも14人全員が、自分のせいではない、自分の責任ではないといっています。14人の考えは、最後の「たたいてもわたしはへいきだった みんなたたいたんだもの わたしのせいじゃないわ」という意見に集約されています。本当に「わたしのせいじゃない」のか、私たちは強く問いかけられています。
絵本の後半は、戦争や環境破壊、貧困の問題を示す写真が掲載されています。いじめと同じように「わたしのせいじゃない」と考えて、これらの問題を見過ごしてしまってよいのでしょうか。民主主義社会に生きる者が負うべき「せきにん」とは何か、改めて考えてみたいと思います。
わたしのせいじゃない-せきにんについて-
レイフ・クリスチャンソン-文
にもんじまさあき-訳
ディック・ステンベリ-絵
岩崎書店
1996年1月30日発行
本体900円+税
本体900円+税
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