ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2021年4月30日金曜日

【本の紹介】ぼくはいしころ




 繊細さと大胆さを併せもった絵に惹きつけられます。紙版画の手法で描いたとのこと。深みのある世界を表現しています。

 猫の表情をきめ細やかに描きました。言葉で描ききれない猫の思いを汲み取れば、そこにはたくさんのストーリーが生まれそうです。

 猫は不思議な生き物です。かまってほしくない素振りを見せながら、妙に甘えてくることもあるようです。作者の猫を愛する気持ちが伝わってくる絵本です。

 猫の気持ちを人間のそれと置き換えることもできそうです。作者は猫を通じて、自分自身を表現したかったのかもしれません。(店主)


ぼくはいしころ

坂本千明


岩崎書店

2020年9月30日発行

定価(本体1500円+税)

2021年4月28日水曜日

【本の紹介】ありえない!




 どうやら実際にはありえないことを描いた絵本のようです。ありえないことはないようにも思えます。

 迫力のある絵です。訴える力がよほど強いのでしょう。ウソが描かれているとは思えません。

 でも、だまされてはいけません。よくみれば、ありえないことが分かります。何がありえないのか、一つひとつ冷静に判断してみてください。

 遊び心満載の絵本です。ページをめくるたびに現れる色鮮やかな絵をたっぷり楽しみましょう。(店主)


ありえない!

エリック・カール 作

アーサー・ビナード 訳


偕成社

2021年4月発行

定価[本体価格1600円+税]

【本の紹介】エジソン ネズミの海底大冒険




 海の底を目指すネズミの大冒険を描く絵本です。ダイナミックで精緻な絵は見応えがあります。お話の展開もスケールが大きく、読み応え十分です。

 本屋の店の奥にある穴を通り、いくつかの壁を抜けると、そこにはネズミの大学がありました。若いネズミが授業を終えた教授に話しかけます。先祖が残した宝物を一緒に見つけてほしいというのです。

 若いネズミの先祖は宝物を持って船に乗り、大西洋を航海してアメリカに渡ったらしい。ただ、その船は沈没して、今は海の底。宝物は船と一緒に眠っているはずです。2匹のネズミは潜水艦を作り、深海へと向かいます。ネズミの海底大冒険が始まります。

 2匹が苦労して手に入れた宝物は1冊のノートでした。それはネズミの発明家の日記だったのです。先祖のネズミは船の事故を生き延び、アメリカのある偉大な発明家のもっとも素晴らしい発明を手助けしたようです。その発明家こそ、トマス・A・エジソンでした。(店主)


エジソン ネズミの海底大冒険

作 トーベン・クールマン

訳 金原瑞人


ブロンズ新社

2019年5月25日発行

定価:本体2400円+税

2021年4月23日金曜日

開店5周年を迎えました!




 くわのみ書房は開店5周年を迎えました。5年が過ぎ、ようやく地域の中に少しずつ溶け込んできたようにも思います。これまで支えてくださった方々にあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、不安定な社会状況が続きます。そうした中、子どもたちが健やかに育つこと、子どもたちを見守る大人たちが安心して暮らせるようになることを切に願っております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。(店主)

2021年4月22日木曜日

【本の紹介】山里でくらす 中ノ俣の一年(たくさんのふしぎ2021年5月号)




 新潟県上越市の山深い集落の生活を描いた写真絵本です。コンビニエンスストアやお店はありません。生活に必要なものは自分たちで作ったり、山で採ってきたりします。

 その集落は、中ノ俣と呼ばれている地域にあります。100人に満たない人口です。現在、子どもは住んでおらず、普段はお年寄りだけの暮らしです。

 一番近い高田という町に行くにも自動車で30〜40分かかります。いくつもの峠を超えて行かなければなりません。峠道は急なカーブの連続です。冬は雪が2メートル以上積もります。中ノ俣は冬になると、雪で覆われた陸の孤島になるのです。

 でも、辛いことばかりではありません。初夏のころ、畑の周りに白い百合の花が咲き乱れ、その美しさに人々は畑仕事の疲れも忘れたそうです。雪が降っても、保存しておいた山菜や野菜の煮物を持ち合い、おしゃべりを楽しみます。中ノ俣から笑い声が消えることはありません。そこで暮らすおじいさんやおばあさんは、今でも山里の生活を心から楽しんでいます。(店主)


山里でくらす 中ノ俣の一年(たくさんのふしぎ2021年5月号)

佐藤秀明 文・写真


福音館書店

2021年5月1日発行

定価770円(本体700円+税10%)

【本の紹介】さくらんぼ(かがくのとも2021年5月号)




 さくらんぼがスーパーマーケットの棚に並ぶ季節はもうすぐです。綺麗でかわいいさくらんぼ。どうやって作っているのでしょう。この絵本が教えてくれます。

 お花見をする桜の木にさくらんぼはできません。さくらんぼの木とよく似ていますが、違う木です。

 さくらんぼには種があります。でも、種からさくらんぼの木を育てるのはむずかしいそうです。さくらんぼの木の新しい枝についている芽を、別のオオシマザクラという木にくっつけて育てます。「めつぎ」というそうです。

 きらきら輝くさくらんぼは美しく、食べてしまうのがもったいないくらい。鮮度が落ちやすく、この絵本の作者の松岡真澄さんによると、新鮮なまま食べるにはさくらんぼ狩りがお勧め。私も1回楽しんだことがあります。みなさんも、機会があればぜひどうぞ。(店主)


さくらんぼ(かがくのとも2021年5月号)

松岡真澄 さく


福音館書店

2021年5月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年4月20日火曜日

【本の紹介】ふきの はのうえに(ちいさなかがくのとも2021年5月号)




 透明感のある絵に引き込まれます。モノトーンを基調に日本の自然をしっとりと描き、その空気感まで伝わってきます。

 1匹のあまがえるがふきの葉っぱの上で過ごすひとときを描いた絵本です。文章はあまがえるの視線で書かれ、まるであまがえると一緒に、ふきの葉の上にいるような感覚に陥ります。

 この絵本の文章を書いた澤口たまみさんはあまがえるの気持ちが分かるようです。そのために必要なことは、よく観察することだと思います。観察を深めていくことで自然にもっと近づけるようになります。

 観察を通じて自然の楽しさ、美しさをもっと感じてほしいと思います。身近な自然も視点を変えれば驚くほどの広がりを見せてくれるはずです。(店主)


ふきの はのうえに(ちいさなかがくのとも2021年5月号)

澤口たまみ ぶん

磯部光太郎 え


福音館書店

2021年5月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年4月17日土曜日

【本の紹介】万次郎さんとたぬきのこ(こどものとも2021年5月号)




 お百姓さんの万次郎さんと、3匹の子だぬきたちの交流を描いた絵本です。わがままいっぱいの子だぬきたちですが、無邪気な振る舞いに万次郎さんも楽しそうです。

 働き者の万次郎さん。春になって草だんごを作ります。よもぎのよい香りがする美味しそうなおだんごが出来ました。

 万次郎さんは山菜採りに出かけます。そこで出会ったのが3匹の子だぬき。お腹が空いたと泣き止まない子だぬきたちを家に連れて帰ります。腹ペコの子だぬきたちは、食べること食べること! 取っておいた草だんごも見つけて、お腹いっぱいになるまで食べ続けます。

 いつの間にか、空にはまんまるお月さま。子だぬきたちのお腹もまんまるです。お腹を叩いて「ぽーんぽん ぽんぽこ ぽん」。万次郎さんも大喜びです。にぎやかに踊っていると、かあさんたぬきが迎えに来てくれました。これで一安心。よかったね。(店主)


万次郎さんとたぬきのこ

ぶん・本田いづみ

え・北村人


福音館書店

2021年5月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年4月16日金曜日

【本の紹介】いちごになりました




 いちごを食べたら、みんないちごみたいになっちゃうよ、というお話です。「そんなのありえない!」というお話ですが、妙にリアリティがあります。

 子どものころ、すいかの種を間違って食べたら、お腹からすいかの芽が出てくるのではないかと本気で心配したものです。同じような経験がある人は少なくないのでは。

 この絵本では、いちごの花の蜜を吸ったちょうちょが「いちごちょうちょ」になります。いちごちょうを食べたさかなは「いちござかな」になります。いちござかなを食べたくじらは「いちごくじら」になります。いちごくじらの前に現れたかいじゅうは…。さて、どうなったでしょう。

 次々に変身していくお話がおもしろい。びっくりしたり、笑ったりしているうちに、うれしい結末を迎えます。軽やかに描かれた絵もテンポよく流れるお話にマッチしています。(店主)


いちごになりました

鬼頭祈 さく


福音館書店

2021年5月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年4月15日木曜日

【本の紹介】いちわのからす(こどものとも年少版2021年5月号)




 わらべうたをもとにして作られた絵本です。リズミカルな文章と、登場人物を生き生きと描いた絵のコンビネーションをお楽しみください。

 わらべうたは数え歌になっています。一羽のからすから始まり、二羽のにわとり、三はさかな、四はしらがのおじいさんと続きます。

 全員そろって楽しい場面を迎えた後、登場人物がだんだんいなくなります。寂しくなったと思っていたら、「でてこい でてこい! でておいで」の掛け声とともに、また全員集合。卵からかえったひよこも加わり、さらににぎやかになりました。

 最後のページには、ひよこがみんなから大事にされているようすが描かれています。この絵本を読む子どもたちも一人ひとり、このひよこのようにみんなから愛されている存在です。(店主)


いちわのからす(こどものとも年少版2021年5月号)

長野ヒデ子 さく


福音館書店

2021年5月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年4月14日水曜日

【本の紹介】かめかめたいそう(こどものとも0.1.2. 2021年5月号)




 表紙をめくると「かめかめたいそう は〜じめ〜るよ〜」の一言。さあ、かめと一緒に体操しましょう!

 硬い甲羅に体を包まれたかめ。「そんなかめに体操なんて無理」と思ったら大間違いです。かめは、手足を伸ばしたり縮めたり、ゆっくり歩いたり急足で歩いたり、いろいろな動きお見せてくれます。

 立ち上がってお腹を見せてくれたと思ったら、あら大変、後ろにひっくり返ってしまいました。でも、「ごろ〜ん ごろ〜ん」と体を揺らしていると、元に戻って一安心。「ま〜たあ〜した〜」で、今日はおしまい。

 全身を使って楽しむ絵本です。安全に注意しながらご覧ください。(店主)


かめかめたいそう(こどものとも0.1.2. 2021年5月号)

齋藤槙 さく


福音館書店

2021年5月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年4月13日火曜日

【本の紹介】母の友2021年5月号




 経済が家族のあり方を変える。味気ない話のようですが、興味深い指摘です。「母の友」の特集テーマは「家族のかたち」です。

 中央大学文学部教授の山田昌弘さんのお話をまとめた記事が掲載されています。山田さんは「家族社会学」について長年研究し、「パラサイト・シングル」や「婚活」などの言葉を生み出してきました。

 山田さんは、日本の結婚や少子化に経済が大きな影響を与えていると指摘します。結婚や出産は個人的な事柄であり、自分で自由に選ぶものと思っている人がいる一方で、経済的な理由で結婚や出産に踏み切れない人が多くいることも現実です。山田さんはこの問題に目を逸らさないことが重要だと指摘します。

 家族は、時代や文化、社会環境などにより、さまざまに変わってきました。今まさに家族の形も多様化しています。これまでの常識にとらわれることなく、あらためて家族の形について考えてみませんか。(店主)


「母の友」2021年5月号


福音館書店

2021年5月1日発行

定価580円(本体527円+税10%)

2021年4月3日土曜日

【本の紹介】くもとり山のイノシシびょういん




 短いお話が7つ入った読み物の本です。優しいお医者さんのお話です。こんなお医者さんがいてくれたら、みんな安心して暮らせます。

 山のふもとの太い杉の木の隣に小さな白い病院があります。院長のイノシシ先生は、大きな身体で髪の毛がモジャモジャ。お顔は怖そうですが、山のけものたちや鳥たちからとても頼りにされています。

 イノシシ先生のどこが素晴らしいのかといえば、何といっても患者の話をよく聞くこと。患者が話すことにきちんと耳を傾け、身体の不調の原因を探ります。原因が分かれば、適切な治療方法も分かります。話を聞いてもらって、患者たちも安心します。

 作者の優しさと愛情が感じられるお話です。表紙や挿絵として使われている絵も可愛らしくて素敵です。(店主)


くもとり山のイノシシびょういん

かこさとし 文

かこさとし・なかじまかめい 絵


福音館書店

2021年1月10日発行

定価(本体1100円+税)

【本の紹介】カラスノエンドウの たねが とんだ(かがくのとも2024年6月号)

 カラスノエンドウは空き地や道端でよく見かけるマメ科の植物です。身近な草花ですが、生命の不思議を感じることができます。どんな不思議なのか、この絵本でみてみましょう。  カラスノエンドウは、春になるとあかむらさき色のかわいい花を咲かせます。でも、実はカラスのように真っ黒になります。...