奇想天外なお話です。一人の巨人が主人公です。
巨人は大きな山のてっぺんに、たった一人で暮らしていました。寂しくてたまらなくなった巨人は、一軒の家を山のふもとの街から持ってきてしまいます。
家に住む人は巨人に、自分たちだけでは寂しいからといって親戚の家も持ってくるように求めます。やがて友人の家、街のお店まで持ってくるようにいわれた巨人は、山のふともにあった街をそっくりそのままてっぺんに持ってきてしまいました。
街どろぼうの巨人は、それでも心が満たされることはありません。やがて山のてっぺんを離れる巨人。やっと自分の居場所を見つけたようです。それまでほとんど感情を表すことがなかった巨人ですが、最後に穏やかな表情を見せているように思います。(店主)
街どろぼう
Junaida
福音館書店
2021年7月10日発行
定価1650円(本体1500円+税10%)