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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2021年3月27日土曜日

【本の紹介】かえるのごほうび 絵巻「鳥獣人物戯画」より




 国宝の絵巻「鳥獣人物戯画」(鳥獣戯画絵巻)が絵本に生まれ変わりました。800年から900年も昔に描かれたかえるやうさぎ、さるたちがいきいきと動き始めます。

 ここは山深い森の中。今日はこれからお祭りです。腕くらべや力くらべが見ものです。かえるとうさぎは相撲で勝負。かえるがうさぎをうっちゃりで投げ飛ばし、見事一等賞を取りました。

 ところが事件が勃発します。かえるがお腹を天に向けたまま動きません。楽しいお祭りはかえるのお葬式になり、一等賞のご褒美がそなえられました。お経を読むのはさるのお坊さん。おやおや、このお坊さんはおそなえのご褒美を全部預かるといっています。何か怪しい!

 元の鳥獣戯画絵巻にはことばがありません。何の物語があるのかも謎のまま。そこからお話を紡ぎ出した構成力が見事です。現代まで脈々とつながる古い文化を持っていることの喜びを噛み締めたいと思います。

 この作品は「こどものとも」1967年1月号として刊行されたものを元に、新装版として発刊したものです。(店主)


かえるのごほうび 絵巻「鳥獣人物戯画」より

木島始 さく

梶山俊夫 レイアウト


福音館書店

2021年3月20日発行(新装版)

定価1540円(本体1400円+税10%)

2021年3月26日金曜日

【本の紹介】焼けあとのちかい




 かつて日本はアメリカなどの国々と戦争をしました。戦争の末期、東京は大規模な空襲を受けます。東京大空襲です。

 この絵本の作者の半藤一利は15歳になる年に東京大空襲を経験します。1945年3月10日、東京の下町は爆撃機が落とした爆弾の焼い弾で焼き尽くされ、10万人以上の人々が亡くなりました。

 半藤少年が住む下町にもごく普通の生活がありました。やがて戦争が始まり、東京にも爆弾が落とされる日々がやってきます。そして迎えた東京大空襲の焼けあとに立ち、半藤少年はこの世に「絶対」はないということを思い知ります。

 「絶対に正義は勝つ、絶対に神風がふく。絶対に日本は負けない。絶対にわが家は焼けない。絶対に焼い弾は消せる。絶対に自分は人を殺さない」

 たくさんの「絶対」があり、それがどんなにむなしく自分勝手な信念であったかを、半藤少年は焼けあとから教わりました。

 それから半藤少年は、二度と「絶対」という言葉は使わないと誓います。でも大人になった半藤少年は、この絵本で、あえて「絶対」という言葉を使って一つの思いを伝えようとします。「戦争だけは絶対にはじめてはいけない」(店主)


焼けあとのちかい

文・半藤一利

絵・塚本やすし


大月書店

2019年7月12日発行

定価[本体1500円+税]

2021年3月25日木曜日

【本の紹介】つばきレストラン




 色鮮やかなつばきの花に小鳥たちが集まります。美味しい蜜が飲めるからです。

 最初にやってきたのはメジロです。「チル チル チル チル」とうれしそうな声を出して蜜を吸います。

 つばきは小鳥たちのレストラン。次にヒヨドリがやってきました。「ピィー! ピィー!」と鳴いています。メジロは追い払われてしまいました。ヒヨドリは蜜を吸うだけではなく、花びらも食べてしまいます。

 つばきの花と小鳥たち。身近な自然を描いた絵本です。最後に子どもが蜜の味見をしてびっくりしています。多くの子どもたちに、この絵本から自然の楽しみを感じ取ってもらいたいと思います。(店主)


つばきレストラン

おおたぐろまり さく


福音館書店

2021年1月10日発行

定価(本体900円+税)

【本の紹介】いえのなかと いえのなかで




 まさに今、私たちが経験する、新型コロナウイルスによるパンデミック(感染爆発)の世界を描いた絵本です。かつて経験したことのない事態に多くの人々は戸惑うばかりです。

 人々は家の中から外に出ていかなくなりました。世界の至るところで誰も彼も家の中に閉じこもりました。

 家の中と、家の外。これまでとは違う世界になりました。どうしてこんなことになったのでしょう。多くの人たちは理由を知っています。それは私たちの命を守るため。知っていることが私たちの希望です。

 知っているから信じられます。やがて必ず春はやってくることを。そして家から外に出て、大好きな人と会えることを。この絵本が描く希望が私たちに力を与えてくれます。(店主)


いえのなかと いえのそとで

レウィン・ファム さく

横山和江 やく


廣済堂あかつき

2021年3月30日発行

定価:本体1600円+税

2021年3月20日土曜日

【本の紹介】ごちそう たべに きてください




 山に住むうさぎは人にご馳走することが大好きです。秋になるとくるみやどんぐりなど木の実を集めて手紙を書きました。「ごちそう たべに きてください」。

 仲間たちが次に次に、うさぎの家にやって来ます。りすはくるみ、あかねずみはどんぐりを美味しそうに食べました。木の実を食べられない蝶々のあさぎまだらが来ると、うさぎはふじばかまが咲いている山のお花畑に連れて行きました。

 やがて集めておいた木の実は無くなります。そこでうさぎは干し柿を作り始めます。山の柿は渋くて食べられないのですが、干し柿にすれば甘く美味しくなるのです。冬になり、あたりは雪で真っ白。うさぎのところには、冬眠しない動物たちがお腹を空かせてやって来ます。

 精密画の動物たちが、生き生きとした表情を見せてくれる絵本です。心を通い合わせた会話に、誰もがうれしくなるでしょう。人に喜んでもらうことで自分もうれしくなる。幸せの連鎖を広げていきましょう。(店主)


ごちそう たべに きてください

茂市久美子 作

しまかわらゆみ 絵


講談社

2021年1月12日発行

定価:本体1400円(税別)

2021年3月19日金曜日

【本の紹介】まだまだ まだまだ




 生きていることの喜びに満ち溢れた絵本です。子どものエネルギーをしっかり受け止めてください。

 運動会の徒競走が始まるようです。「よーい どん!」とスタートしました。

 ゴールについても「ぼくは まだまだ おわりません!」と走り続けているのはびりっけつの子ども。街の中に入り、にぎやかなところやビルの間、そして街の外れから畑の中へと走り続けます。いったいどこまで行くつもりでしょう。

 景色はどんどん変わります。でも「あれ?」と思ったら、いつの間にかもとのところに戻ってきたみたい! やっとゴールしました。ああ、楽しかった!(店主)


まだまだ まだまだ

五味太郎


偕成社

2021年3月発行

定価[本体価格1200円+税]

2021年3月16日火曜日

新しい一歩にエールを贈ります!




 くわのみ書房から次のスタートラインに立とうとしている人に絵本でエールを贈ります。「勇気の出る本」をテーマに書棚を作りました。キャッチコピーは「新しい一歩を踏み出す君へ!」。選書は絵本の読み聞かせの活動をされているユニット、《えほんの木》にお願いしました。来月4月から新年度を迎えます。コロナ禍であっても希望を持って次のステップに進んでください。(店主)

2021年3月11日木曜日

【本の紹介】ひと粒のチョコレートに(たくさんのふしぎ2021年4月号)




 チョコレートは「お菓子の王様」。この絵本の扉のページにそう書いてある通りです。ひとかけらのチョコレートでも、口にすれば豊かな心持ちになれます。

 チョコレートは植物のカカオからつくられます。カカオの花は太い幹から直接生えてくるそうです。受粉するとラグビーボールのような実になります。実の殻を割ると白い果肉に包まれた種があります。これがチョコレートの原料となるカカオ豆です。

 人類がカカオ豆に出会ったのは1万年ほど前のこと。最初は動物たちとおなじように果肉を食べていたそうですが、やがて栄養たっぷりのカカオ豆を食べるようになりました。カカオ豆は、そのままでは渋くて食べられないため、いったん発酵させるそうです。発酵を通じて渋みがなくなり、チョコレートの味と香りのもとになる物質ができるのです。

 チョコレートについて知らないことばかりだったと思い知らされました。カカオ豆がチョコレートになるまで、実は多くの要因が関わり、長い歴史を必要としていたのです。この絵本の挿絵にはかわいい王様が登場して、長い歴史の旅のおともをしてくれます。(店主)


ひと粒のチョコレートに

文・佐藤清隆

絵・Junaida


福音館書店

2021年4月1日発行

定価770円(本体700円+税10%)

2021年3月10日水曜日

【本の紹介】ケロケロきょうだい(こどものとも年中向き2021年4月号)




 春です。冬眠していたカエルたちも目を覚ましました。生き生きと動き回るカエルたちと春の到来を楽しむ絵本です。

 ケロケロきょうだいは7匹のカエルです。春になって巣穴から飛び出しました。喉がからからで体もベトベト。「さあ、はやく いけに いこう!」

 ところが、池は埋め立て工事の真っ最中。がっかりするケロケロきょうだいですが、めげてなんかいられない。「それじゃあ、いけを さがしにいこう!」と、ケロケロきょうだいの冒険旅行が始まります。

 柔らかな色合いの絵が素敵です。バランスの取れた色使いで、春のようすを楽しげに描いています。(店主)


ケロケロきょうだい(こどものとも年中向き2021年4月号)

たかおゆうこ さく


福音館書店

2021年4月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年3月9日火曜日

【本の紹介】へっちゃらプーちゃん(こどものとも年少版2021年4月号)




 読み始めれば、誰もが主人公のプーちゃんになりきってしまいそうな絵本です。プーちゃんは桃色のこぶた。お尻にかわいいしっぽがくるんと付いています。

 プーちゃんは「やまで あそんでくるよ」といって出かけます。「よく きをつけるんだよ」と声をかけるおとうさんに、プーちゃんは「へっちゃらだい。いってきまーす」。

 ところが、プーちゃんは坂を転がったり、川に落ちたり、ノイバラのトンネルに入り込んで怖くなったり、いろいろたいへんな目に遭います。それでも、プーちゃんはへっちゃらです。

 「へっちゃら、へっちゃら、へっちゃらプー

  ぼくはへちゃらプーちゃんだい」

 プーちゃんの楽しい歌声が聞こえてきます。

 プーちゃんはおとうさんに、いっぱい遊んできたことを誇らしげにお話しします。それをしっかり受け止めたおとうさんもうれしそうです。(店主)


へっちゃらプーちゃん(こどものとも年少版2021年4月号)

本田いづみ 文

さとうあや 絵


福音館書店

2021年4月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年3月6日土曜日

【本の紹介】たいこ どん(こどものとも0.1.2. 2021年4月号)




 ページをめくるたびに、わくわくする気持ちが高まります。子どもと大人が一緒に楽しめる絵本です。

 最初の場面は、子どもが楽しそうに「どこどん どこどん どこどこ」とたいこを叩いています。ページをめくると「どん!」。猫も参加しました。

 たいこを繰り返し叩きます。「どん!」と叩くたびに仲間が増えます。猫の次は犬、そして馬、牛。とてもにぎやかなになりました。

 繰り返されるたびに、喜びが増していく構成が見事です。繰り返しの楽しさを満喫しましょう。(店主)


たいこ どん(こどものとも0.1.2. 2021年4月号)

きくちちき


福音館書店

2021年4月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年3月5日金曜日

【本の紹介】わたしの ちいさな いきものえん(かがくのとも2021年4月号)




 昆虫など動く小さな生き物の飼い方を教えてくれる絵本です。作者の大島加奈子さんは「身近な生き物の普段目にすることのできない姿を見られるのは、とても楽しいことです」といっています。

 最初に登場するのはモンシロチョウの幼虫です。おじいちゃんからもらったキャベツの葉っぱについていました。イチゴのパックで飼いましょう。透明だから幼虫のようすがよく見えます。

 お庭で見つけたダンゴムシ、雨の日に捕まえたカタツムリ、草むらのテントウムシの幼虫、池で捕れたオタマジャクシ。次から次へと増えていきます。みんな透明な容器で飼えば、「わたしのちいさないきものえん」の出来上がり!

 生き物を飼うときに大事なことは、「げんきかな?」「えさは まだあるかな? くさっていないかな?」「おうちは きれいかな?」と、いつも気にしてお世話をすること。たくさんのうれしい発見、うまく育ったときの達成感、死んでしまったときの悲しみなど、一つひとつが私たちの心に残り、生きていく力を与えてくれるでしょう。(店主)


わたしの ちいさな いきものえん(かがくのとも2021年4月号)

大島加奈子 さく


福音館書店

2021年4月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

【本の紹介】バルバルさんとおさるさん(こどものとも2021年4月号)




 バルバルさんは床屋です。街の外れに青い屋根の小さいお店を持っています。

 バルバルさんが開店準備をしていると、おさるさんがやってきました。お客さんだと思っていたのに、なぜかおさるさんはお店のお手伝いを始めます。

 おさるさんがとても熱心に仕事をしてくれたので、バルバルさんは明日からも来てもらうことにしました。おさるさんは髪を切ることにも興味津々。バルバルさんが練習台になったおさるさんのカットは評判を呼び、大人気になりました。

 ところで、なぜおさるさんはバルバルさんのお手伝いにやって来たのでしょう。この絵本を最後まで読めば分かります。「なあんだ!」(店主)


バルバルさんとおさるさん

乾栄里子 文

西村敏雄 絵


福音館書店

2021年4月1日発行

定価440円(本体400円+税10%)

2021年3月4日木曜日

【本の紹介】母の友2021年4月号




 特集のテーマは「今の時代のコミュニケーション」です。そもそもコミュニケーションとはいったい何でしょう。4月は多くの人にとって、新しい人と知り合う機会が増える時期。この機会に、コミュニケーションについてあらためて考えてみましょう。

 心理学者の遠藤利彦さんによると、コミュニケーションとは「人が心と心を通い合わせるために行う行為」。別の言い方では、何かを伝えたいと思っている相手に対し、その何かを探そうとする行為になります。

 今ほどコミュニケーションの重要性を指摘されている時代はなかったのかもしれません。その背景として、社会の産業構造の変化により、第三次産業であるサービス業などに従事する人が増えてきたことが指摘されています。グローバル化の進展も、コミュニケーションの重要性をますます高めているようです。

 私も人生の後半を迎えてから、人間にとってコミュニケーションが重要であることを強く感じてきました。社会の中で起こるトラブルの多くが、人と人とのコミュニケーション不足によるものであると思うからです。ただ、コミュニケーションを求めすぎると、それは強いストレスにもなります。ほどほどのコミュニケーションに止めておくことのメリットもあるようです。何事も無理は禁物。(店主)


「母の友」2021年4月号


福音館書店

2021年4月1日発行

本体527円+税

2021年3月2日火曜日

【本の紹介】ウサギ


 


 侵略を描いた絵本です。侵略される側から、侵略が徐々に進むようすを淡々と描きます。

 侵略者はウサギです。侵略を受ける側も動物ですが、何者かは分かりません。訳者は、オーストラリア原産のフクロアリクイを思わせると書いています。この絵本の二人の作者はともにオーストラリアの出身です。

 絵の美しさにひかれます、描かれる対象は強くデフォルメされ、幾何学模様を思わせるように再構築されています。深みのある世界を描き、読む人をその世界に引き込みます。

 侵略から救われる道はあるのでしょうか。絵本の最後のページまで、その道が示されることはありません。救いの道は、この絵本を読む私たち一人ひとりに委ねられているのです。(店主)


ウサギ

ジョン・マーズデン 文

ショーン・タン 絵

岸本佐知子 訳


河出書房新社

2021年1月30日発行

本体2000円+税


 

【ご案内】子どもの本のろうどく会 vol.11

   くわのみ書房は「子どもの本のろうどく会 vol.11」を開催します。くわのみ書房のスタッフが「子どもに語る グリムの昔話」シリーズ(こぐま社)の中から選んだお話を声に出して読みます。子どもだけでなく、大人もきっと楽しめます。どなたもお気軽にご参加ください。 ■日 時:202...