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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2016年8月30日火曜日

【本の紹介】こどものとうひょう おとなのせんきょ



こどものとうひょう おとなのせんきょ
復刊ドットコム

かこさとし 作・絵

 1983年出版の絵本が復刊されました。30年以上も前に出された本ですが、そこに書かれたメッセージは今こそ必要とされているように思います。
 ページをめくると、児童館の前の広場をどう使うか、子どもたちが相談しています。でも、なかなか相談はまとまりません。街では選挙が始まり、候補者は自分に投票してもらえるよう熱心にお願いしています。そこで子どもたちも、広場の使い方を投票で決めることにしました。
 多数決で使い方が決まりました。でも、やっぱり争いが起きてしまいました。子どもたちは、どうやってみんなが仲良くできる方法を考え出したのでしょう。
 作者のかこさんはこの絵本が書かれた当時のあとがきで、「少数でもすぐれた考えや案を、狭い利害や自己中心になりやすい多数派が学び、反省する、最も大切な『民主主義の真髄』をとりもどしたいという願いでかいた」といっています。民主主義は多数決だけで物事を決めていく仕組みではありません。民主主義とは何か、大人たちも再確認しなければなりません。

2016年8月25日木曜日

【本の紹介】なんでもないなつの日



なんでもないなつの日
岩崎書店

ウォルター・デ・ラ・メア 詩
カロリーナ・ラベイ 絵
海後礼子 訳

 陽が傾きかけ、黄金色の空の下で農家の家族がお茶とお菓子を楽しんでいます。
 ねこがねずみを見つけて追いかけると、子どもたちもついていきます。年老いたいぬも一緒に追いかけます。ぶた小屋を通り、がちょうを巻き込んで大騒ぎ。
 わらの山を通り抜けて牧場に出ると、うしたちがのんびり寝そべっています。もう、ねずみのことなどすっかり忘れてしまったようです。夕焼けが空を赤く染めています。家に戻れば、動物たちは夕ごはん。ぐっすり眠りに着いて、何でもない夏の日が暮れていきます。空には三日月が昇っていました。
 イギリスの小説家・詩人のウォルター・デ・ラ・メアによる詩から、まるで日本の風景を描いているようなカロリーナ・ラベイの絵が展開されていきます。しっとりとした組み合わせをゆっくり味わいましょう。

2016年8月23日火曜日

【本の紹介】ぼくのいちにち どんなおと?



ぼくのいちにち どんなおと?
福音館書店

山下洋輔 文
むろまいこ 絵

 私たちの生活は、いろいろな音に囲まれています。音には形も色もありません。音を目で見ることはできないのです。
 音が見えたらどんなふうに見えるのでしょう。この絵本を読めば分かります。いろいろな音の色や形を想像してみましょう。毎日が面白くなってきそうです。
 作者の山下洋輔さんはジャズピアニストにして音を読ませることの達人。「ぴちゃら ぺしゃら ぷるぷるぷる」「にゃごら にゃごら きばがきがき」「こけか こけこけ こきこきこけけけ」と声に出して読めば、子どもたちが大喜びしそうです。
 むろまいこさんの絵は迫力満点。主人公のこうちゃんが、朝起きて顔を洗うときのお尻の大きさにびっくりしました。

2016年8月14日日曜日

【本の紹介】かみをきってよ


かみをきってよ
岩崎書店

長田真作

 なんてかっこいいおとうさんでしょう。主人公の男の子がおとうさんと同じ髪型になって大喜びする気持ちがよく分かります。
 髪の毛がボサボサになった男の子。「これじゃあまるでけむしだよ」とおとうさんに言いますが、おとうさんは「まあそうだな」とそっけない。
 男の子とおとうさんは一緒に出かけます。途中で花を見たり、カフェでお茶したり、森ではお昼寝までしています。のんびり過ごしてから「さてやっとついたぞ」とおとうさん。そこは美容院のようです。実は、おとうさんは美容師でした。遠慮がちに「かみをきってよ」とお願いする男の子。「まあしょうがないな」と、ここでもそっけないおとうさん。でも「いいぞとくべつにきってやろう」と言ってくれました。
 ベタベタしない子どもとの付き合い方はとても現代的。でも深い愛情で結びついているようすが伝わります。シンプルながら温かい色彩の絵も魅力的です。

2016年8月13日土曜日

【本の紹介】なにがとおったの?


なにがとおったの?
ちいさなかがくのとも2016年9月号
福音館書店

進藤恵子 さく

 まず登場するのは飛行機雲です。飛行機雲は、飛行機が飛んだ跡です。何かが通ると跡が残る。でも、大抵のものはすぐに消えて無くなってしまいます。
 この絵本で紹介されている中でも、最後のクレヨンは別として、水たまりを通った自転車やなめくじの通った跡、お風呂の鏡を指でこすった跡、しわしわのシーツをアイロンが通ったところなどは、いつまでも残るものではありません。かつて荒井由美は「ひこうき雲」という歌を作り、若くして亡くなった人の命を飛行機雲のはかなさに重ねて表現していました。
 飛行機雲を見る機会が減ったのは、大人になって空を見上げる機会が減ったからでしょうか。子どものころでも、実際に飛行機から出ていることを見ることはめったになかったように思います。ときどき、飛行機雲を出しながら空を飛ぶ飛行機を見つけると、ずいぶん興奮したことを覚えています。
 はかなく消えてしまうものに思いを馳せ、そこに何かを感じ取ってみる。いつまでも好奇心を失わないようにしたいものです。

2016年8月12日金曜日

平和を祈る


 71年前の夏、日本は戦争に負けて、世の中が大きく変わりました。新しい憲法ができて、もう戦争はしないと誓いました。
 平和への祈りは一人ひとりの心の中にしっかり根付いています。平和を祈ることは、今では当たり前のことになりました。
 でも人は、昔のことを忘れてしまい、別の道を歩みだしてしまうこともあります。そして、そのことに気づかないこともあります。
 店内のテーマコーナーに、平和について考えるきっかけとなりそうな絵本や児童書を本棚から集めました。どうぞ手に取ってご覧ください。

2016年8月11日木曜日

【本の紹介】川は道 森は家



川は道 森は家
たくさんのふしぎ2016年9月号
福音館書店

伊藤健次 文・写真

 ロシアの日本に近い海岸沿いにシホテアリニ山脈があります。この山脈から流れるビギン川の周辺にウスリータイガと呼ばれる密林が広がります。
 日本から見るとウスリータイガは北海道の北西に位置し、この写真絵本の作者の伊藤健次さんによると、ご自宅からは東京より近い場所だそうです。そんなところに、トラやカワウソ、フクロウが住み、ウデヘ族の猟師が暮らしています。
 伊藤さんは猟師が暮らすヤール村に泊めさせてもらいました。村人たちは森のことを、親しみを込めてタイガと呼んでいます。「川は道、森は家。タイガがあるから暮らしていける」と語る村人たち。そのとき、とても優しい顔になるそうです。
 写真で紹介されるのは、ウスリータイガの自然と人々の生活。魚や肉が骨ごと入ったスープはとても美味しそう。シマリスは愛らしく、精悍なアムールトラはとてもかっこいいのです。

2016年8月10日水曜日

【本の紹介】あめのひのかえりみち


あめのひのかえりみち
こどものとも2016年9月号
福音館書店

岩井真木 文
五十嵐大介 絵

 カッパと長靴があれば、雨の日も楽しく歩けそうです。保育園の帰り道、そうくんとかいくんの兄弟はカッパを着ただけで大はしゃぎ。どんなお楽しみが待っているのでしょう。
 水がたくさん流れている排水溝では、小枝を落としてどんなふうに流れるか見てみました。別々の水たまりでは、ジャンプした後の音が違うことも発見。坂を駆け上ると、駐車場の下に緑の街が広がっていました。
 おかあさんも「きょうはのんびりかえろうか」。花も虫も蜘蛛の巣も、雨の日はしずくできらきらしています。
 憂鬱になりがちな雨の日。いつも時間がなかったり、手荷物が多かったりで、なかなかのんびり歩く気持ちにもなれません。作者の岩井さんは、日々奮闘する保護者の方を応援する気持ちでこの作品を書いたそうです。そのやさしさが伝わってくる絵本です。

2016年8月9日火曜日

【本の紹介】ひこざさんとまほうのじゃがいも



ひこざさんとまほうのじゃがいも
こどものとも年中向き2016年9月号
福音館書店

木村晃彦 さく

 この絵本の主人公は、いのししのひこざさん。畑に埋めたじゃがいもが増えるのを待ちきれず、何回も掘り出して食べてしまいます。
 おくさんのおみつさんは、ポテトサラダやこふきいも、ポテトフライなど、美味しそうなじゃがいも料理を次々に登場させます。ひこざさんが待ちきれないのも仕方がないですね。
 畑に一つだけ残ったじゃがいもを、ひこざさんは何としても守ろうとします。といっても、自分が食べないように我慢するだけ。ひこざさんはそのため、自分宛の立て札まで作りました。その甲斐あって、じゃがいもは元の数より多く収穫することができました。本当に魔法のようです。よかったね、ひこざさん。
 作者の木村晃彦さんは宮崎県でペンションを経営し、奥さまと一緒に育てた野菜などをお客様に提供されているそうです。パンを作る小麦やデザートの果物、そしてハチミツまで自作されているそうです。この絵本はそうした生活の中から生み出されました。土から作り出される食べ物の美味しさがとてもよく伝わってきます。

2016年8月7日日曜日

【本の紹介】おひさま ずんずん



おひさま ずんずん
こどものとも0.1.2.2016年9月号
福音館書店

卯月俊光 さく

 お山があります。富士山でしょうか。青みがかった緑色が涼やかです。
 その背後から「ぴかっ」と出てきたのはおひさま。赤いまん丸ですが、縁の内側に金色の環が描かれ、光り輝くようすが伝わります。
 おひさまが「ずんずん」と高く昇ると、出てきたのは雲。雨も「ざざざー」と降ってきました。雨が止んだら、おひさまはますます強く光り輝くようになりました。
 不動のお山を中心に、空が変化する動きを楽しみます。何も変わっていないように見えるお山も、雨の後は違った色になっていました。

2016年8月5日金曜日

【本の紹介】ママのバッグ


ママのバッグ
こどものとも年少版2016年9月号
福音館書店

花山かずみ 作

 読んでいてとても楽しい気持ちになる絵本です。鉛筆で描き込まれた柔らかいタッチのモノクロの絵から、たくさんのお話を読み取れるからでしょうか。
 雨の日、傘をさして、主人公のしゅうくんとママがお買い物でお出かけするところから絵本は始まります。絵本の色使いは赤と黒。ママの赤いバッグ以外は黒い鉛筆で描かれています。
 しゅうくんはママとはぐれないよう、しっかり赤いバッグを見ています。でも、バッグだと思ったら赤いポストでした。次はりんご、赤いお魚のタイ、そしてランドセル。赤いバッグはいろいろなものに変わります。「あれれ ママじゃない!」
 でも、ママはすぐにしゅうくんを見つけてくれました。「ああ よかった」
 お買い物をする商店街にはたくさんのお店があります。そして、たくさんの人たちとすれ違います。描かれた場面ごとにたくさんのお話が詰まっています。読むたびに新しいお話が湧き出てきそうです。お店の中には千葉市に実在する絵本屋さんも登場して、うれしいサプライズでした。

【企画展】村上春樹とイラストレーター-佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸-



村上春樹とイラストレーター-佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸-
ちひろ美術館・東京
2016年5月25日(水)~8月7日(日)

 村上春樹の作品は、その装丁で記憶されていることも多いようです。この企画展は、村上作品の装丁と特に関係の深いイラストレーターに着目し、その共同作業を紹介しています。
 4人のイラストレーターはそれぞれかなり強い個性を発揮しながら、村上作品の味を一層引き立てています。作家とイラストレーターが相互に認め合っているからこそ、彼らの共同作業が相乗効果を生み出しているのでしょう。
 実は、4人のイラストレーターは全員が絵本作家でもあります。村上春樹にも絵本の作品があり、また外国の作品を翻訳して紹介するなど、絵本に対する関心は高いといってよいでしょう。
 豊かな創造性を備えた人たちが絵本の世界を広げています。村上作品の世界を彩った多くのイラストレーションに囲まれ、ちひろ美術館で幸せなひとときを過ごすことができました。

2016年8月4日木曜日

福音館書店の月刊誌9月号が入荷しました!




 福音館書店の月刊誌9月号が入荷しました。「こどものとも年少版」のタイトルは「ママのバッグ」。雨の日、おかあさんと買い物に出かけたしゅうくんは、はぐれないようにおかあさんの赤いバッグを見失ないようにしています。作者は花山かずみさん。バッグ以外は鉛筆によるモノクロ表現ですが、ページごとに描かれた人たちの会話が聞こえてくるようです。
 「こどものとも0.1.2」は「おひさま ずんずん」、「こどものとも年中向き」は「ひこざさんとまほうのじゃがいも」がテーマ。「こどものとも」は「あめのひのかえりみち」がテーマです。
 「ちいさなかがくのとも」のテーマは「なにがとおったの?」、「かがくのとも」は夏休みの工作でチャレンジしてもよさそうな「ぎゅうにゅうパックでつくろう」です。「たくさんのふしぎ」は「川は道 森は家」がテーマです。
 「母の友」は特集で「正解はあるの? 叱り方」をテーマに取り上げました。手作り工作の紹介記事で「紙パックで作る『ぞうくんのさんぽ』」もあります。

2016年8月2日火曜日

【本の紹介】船を見にいく



船を見にいく
きじとら出版

アントニオ・コック 作
ルーカ・カインミ 絵
なかのじゅんこ 訳

 港に近い街に住む「ぼく」は、よく船を船を見に行きます。高層ビルみたいに巨大な船です。
 船を見ていて、ぼくは気づきました。船はゆっくりと、息をしながら眠っています。船は生きているのです。でも、誰も船が生きていることを知りません。知ったところで、誰も気にしないのです。
 夜、船の中に入ると、ひんやりしていて透明な人たちが沢山います。旅人の幽霊です。パパもママも、透明な旅人のことは何も話してくれません。だから、ぼくは港に行って、旅人たちのことを船に聞いてみます。船は、海や人びとに、そして休むことなく働き続ける港に笑いかけていました。
 船と会話する一人の時間。その時間を積み重ねることで、ぼくはいつか独り立ちして、この港から旅立つことを知ります。ぼくの心の力強さと、それを育む港の暖かさが伝わる絵本です。

【ご案内】子どもの本のろうどく会 vol.11

   くわのみ書房は「子どもの本のろうどく会 vol.11」を開催します。くわのみ書房のスタッフが「子どもに語る グリムの昔話」シリーズ(こぐま社)の中から選んだお話を声に出して読みます。子どもだけでなく、大人もきっと楽しめます。どなたもお気軽にご参加ください。 ■日 時:202...