誰かが何かに問いかけをしている絵本です。その誰かは誰か、姿を見せていないので分かりません。何かは分かります。それはぞうであったりテレビであったり、机や家も出てきて、いろいろです。
誰かは何かに問いかけます。何かはそれに答えます。最初はぞうに「きみののぞみはなんですか?」と問いかけます。ぞうは「おおきくなりたい もっともっとおおきくなりたいんだ!」と答えます。会話はそれでおしまい。あんなに大きな像が、もっともっと大きくなりたいと思っているとは!
テレビには「なにをみてるの?」と問いかけました。「わたしをみてるひとをみてるの」という答えにドキッとします。この絵本はそうしたドキッとする答えが続き、私たちの心を刺激し続けます。
誰かが何かに問いかけるのは、きっと不安があるからでしょう。不安を消すための問いかけであるはずなのに、誰かの不安はなかなか消えないようです。最後は花に、最初と同じ問いかけをしました。「きみののぞみはなんですか?」。花は答えていませんが、きっと「平和」と答えたのだろうと思います。(店主)
きみののぞみはなんですか?
五味太郎
アノニマ・スタジオ(KTC中央出版)
2019年9月14日発行
本体1600円+税
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