主人公は、三角形の体を持ったはぐれくんです。はぐれくんは一人で座って待っていました。自分でころがっていくことができないはぐれくんは、三角形の体がぴたりと収まり、一つの体になれる相手を見つければ、どこかに連れて行ってもらえると信じていたのです。でも、その相手はなかなかやってきませんでした。
ようやくはぐれくんは、体を一体化できる相手を見つけます。でも、驚いたことに、はぐれくんの体がだんだん大きくなっていきます。せっかくうまくいくと思ったのに、これでは別れ別れになるしかありませんでした。
やがて、はぐれくんは「おおきなマル」と出会います。おおきなマルははぐれくんにいいました。「でもきみは たぶん じぶんだけでころがれるよ」。三角形のはぐれくんがどうやってころがれるようになるのでしょう。その後、はぐれくんは長い間じっと座っていましたが、ふと立ち上がり、ぱたんと倒れ、また立ち上がり、ぱたんと倒れ、少しずつ前に進み始めます。
シンプルな絵本です。絵は線画で描かれ、装飾はいっさいありません。自由な発想でこの絵本を楽しみましょう。子どもにも大人にもおすすめです。
この絵本は、同じ作者の「ぼくを探しに」(講談社)の続編です。以前、「ビッグ・オーとの出会い」(講談社)というタイトルで出版されていましたが、あらためて村上春樹さんの新訳で発刊されました。(店主)
はぐれくん、おおきなマルにであう
シェル・シルヴァスタイン
村上春樹 訳
あすなろ書房
2019年11月20日発行
本体1500円+税
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