本物の太陽を見てみたい。そう願った一人の探検家の旅人が、冬の北極を目指して歩き始めました。そこは3カ月も4カ月も太陽の出ない季節が続く、極夜と呼ばれる闇の世界。長く続く暗闇の果て、最初にのぼる太陽をみたとき、旅人は何を感じたのでしょう。極夜の探検を圧倒的な迫力で描いた絵本です。
12月6日、旅人はグリーンランドの村のシオラパルクから北を目指して出発します。相棒は1匹の犬。自分で作った2台の橇に荷物を積み込むと、その重さは合計170kgほどに達します。
極夜の北極は、太陽にかわって月が世界を照らします。方向を教えてくれるのは星です。旅人は途中、何度もブリザードと呼ぶ嵐に襲われます。嵐は30時間も40時間も続くことがあります。食料が乏しくなり、旅人は闇の恐怖に、狂ったように大声を出します。
2月21日、しばらく続いていたブリザードの風が少し弱まったように感じました。「もしかしたら…」と、旅人はテントの外に出ます。目の前で燃える太陽。旅人は本物の太陽を見ることができたようです。村に戻ったのは2月23日。旅の開始から、ちょうど80日が経っていました。(店主)
極夜の探検(たくさんのふしぎ2020年2月号)
角幡唯介 文
山村浩二 絵
福音館書店
2020年2月1日発行
本体700円+税
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