タイトルの「せん」とは線のこと。ページをめくると、鉛筆描きの一本の線が、いつのまにか氷上をすべるスケートの跡に変わっています。自由に動き回る子どものスケーターは、自分が何を描いているかさえ知らないようです。
この絵本の画家はスケーターのように線を残したいと思っているのでしょう。自由にのびやかに、そして生き生きとしている線でなければ描けないものがあることを知っているからです。
うまくいかないときもあります。くしゃくしゃに丸められた紙。しわだらけの紙の上で子どものスケーターは途方に暮れています。
でも、子どもはまたすぐスケートの楽しみを見出します。画家は、絵を描くことはやっぱり楽しいとメッセージを送っているのでしょうか。この絵本から、線の魅力をあらためて教えてもらいました。(店主)
せん
スージー・リー
岩波書店
本体1250円+税
2018年10月11日発行
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