世界各地で撮影した家を紹介する写真絵本です。きれいに飾り付けられた家の写真を集めました。家は飾り付けなくとも住むことができるのに、人々はどうして家を飾るのでしょう。作者の好奇心がこの絵本を生み出しました。
ギリシアのヒオス島から旅が始まります。この島のピルギー村の家の壁はクシスタという模様で飾られています。クシスタは、近くの海岸でとれた黒い砂のセメントを下地にして、その上に白い漆喰を塗り、まだ生乾きのうちにフォークで引っ掻いて模様を描きます。シンプルで美しい幾何学模様が目をひきます。
イタリアのサルデーニャ島の家に驚かされました。壁にムラーレスと呼ばれるフレスコ画の絵が描かれています。現実と区別することがむずかしいほど写実的な絵がてとても見事です。不思議な感覚を覚えます。
飾り付けの方法はさまざまです。人々はその土地に合ったやり方で家の飾り付けを楽しんでいます。家を飾ると心も豊かになるという作者の言葉に納得します。それにしても、家を飾ることに並々ならぬ情熱を感じます。人は家を飾らないと生きていけないのかもしれないと、作者は思い至ったようです。(店主)
家をかざる(たくさんのふしぎ2019年4月号)
小松義夫 文・写真
福音館書店
2019年4月1日発行
本体713円+税
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