すずちゃんは保育園に通っていました。年長のゆり組さんになっても、すずちゃんはおしゃべりすることができません。スプーンもうまく使えません。急に泣いたり笑ったり、噛みついたりすることもありました。すずちゃんは脳に障害のある子どもだからです。
でも、保育園のお友だちはすずちゃんと仲良くしてくれました。すずちゃんのママはそのことがうれしくて、すずちゃんが卒園するとき、お友だちに「すずちゃんのなぞ」(障害)についてきちんとお話したいと考えました。まず、お手紙を書きました。お手紙もいいけど、もっと楽しくしたいと思い、それを紙芝居にしました。紙芝居は多くの人に喜ばれました。そして、その紙芝居をもとに、この絵本が生まれました。
すずちゃんは実際に障害を持って生まれてきた子どもです。すずちゃんの障害は自閉症スペクトラム(ASD)という名前がついています。また、すずちゃんには重度の知的障害もあり、小学2年生になっても発達段階は1歳半程度だそうです。
この絵本は、すずちゃんのようすとともにASDの主な特徴を描いています。絵は丁寧に描かれ、心地よく感じられます。これらの特徴はすべてのASDの人に当てはまる訳ではありません。でも、すずちゃんのような障害を持った人について理解するよい手立てになると思います。障害について理解がさらに深まり、障害のある人をもっと身近に感じるようになるでしょう。障害者を普通の隣人として受け止めることこそ大切だと思います。(店主)
すずちゃんののうみそ
文 竹山美奈子
絵 三木葉苗
監修 宇野洋太
岩崎書店
本体1600円+税
2018年1月31日発行
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