作者の「ぼく」は10歳のころ、石を集めていました。気に入った石は鍵付きの箱に、大切にしまっていました。
ぼくは石たちが好きでした。遠くに放り投げたり足で蹴ったりして石と遊んでいると、石と仲良くなれるような気がしました。
でも、ぼくは思います。石はぼくのことが好きなんだろうか? もちろん、ぼくは知っていました。石が考えたり感じたりすることはない。それは何故でしょう。石には命がないから? では「命」って何? ぼくは石を見て、命や死、そして今生きている自分が存在していることの意味を考えました。そして、どこまでも続くぼくだけの世界を生きていこうと思いました。
作者のぼくだけではありません。誰もが目の前にある自分の世界を生きていかねければならないのです。この絵本がきっと、それを後押ししてくれるでしょう。ぼくは哲学者になり、この絵本の文章を書きました。哲学者の文章は読み始めから読み終わるまで、読む人の心を離しません。文章にマッチした美しい写真も心を打ちます。(店主)
10才のころ、ぼくは考えた。(たくさんのふしぎ2018年6月号)
下西風澄 文
浅井美紀 写真
福音館書店
2018年6月1日発行
本体667円+税
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