海辺に広がる町があり、「ぼく」はそこに住んでいます。父親が働く炭鉱は海の下。トンネルを掘って、石炭を採っています。
父親は子どもが目を覚ます前に家を出ます。炭鉱で働く大勢の人たちがトロッコに乗って海の下に行きます。ようやく起きた子どもが窓のカーテンを開けました。目の前に海が広がります。子どもは知っています。「そのころ、とうさんは うみの した。くらい トンネルで せきたんを ほっている」。
子どもの祖父も、父親と同じように炭鉱で働いていました。子どもは、自分もいずれ炭鉱で働くことを知っています。静かな時の流れが、色調を抑えた絵で表現されています。海の輝きと炭鉱の暗さの対比が胸を打ちます。
炭鉱は常に危険を伴う場所です。父親が無事家に戻り、夕食を済ませたあと、家族はベランダに出ます。お茶を飲みながらおしゃべりをする父親と母親。幸せな時間がいつもでも続くことを祈ります。
うみべのまちで
文/ジョアン・シュウォーツ
絵/シドニー・スミス
訳/いわじょうよしひと
BL出版
本体1600円+税
2017年7月15日発行
2017年7月15日発行
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