住宅地から林に向かう道が、一人の少年を幻想の世界に導きます。少年は少女と出会い、二人の短い物語が始まります。
林の道は広い野原につながっていました。再開した二人が野原にあった大きな岩に跨ると、それは馬に変わり草の上を走り出します。先を行く少女の髪の先から白い花びらが降ってきました。やがて少女の姿はだんだん小さくなり、消えてしまいます。残された言葉は「またね。また会おうね」。
馬で走り回る場面の展開が、うっとりするくらい鮮やかです。背景は青から緑、そして一面のピンク一となり、青に戻ります。装丁も美しい。表紙カバーには銀箔の箔押し加工が施され、日本画の作品をみるような趣きです。
少年は再び少女と出会った場所を訪れます。そこには花をいっぱいに咲かせているさくらの木がありました。花びらが静かに降る中、聞こえてくるのは「またね。また会おうね」という声。物語は終わっていないようです。
白い花びら
やえがしなおこ 文
佐竹美保 絵
岩崎書店
本体1600円+税
2017年2月28日発行
2017年2月28日発行
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