深い余韻を残して物語が終わります。けれど、この絵本の物語は決して終わることなく、永遠に続いていくようです。幻想的な絵が私たちを魅了します。
森の中の家でおじいさんと暮らすトットは、扉を「とんとん」と叩く小さな音で目を覚まします。扉を開けると奇妙な生き物が雪の中に立っていました。家の中に入った奇妙な生き物はむにゃむにゃと声を発します。名前を聞くと「ムー」と応えたような気がしました。
翌朝、ムーはトットを外に誘います。森の奥まで雪道を行くと、トットは見たこともない大きな生き物に囲まれます。多くの流れ星が落ちて、そこから同じような生き物が出てきました。生き物たちが星のかけらでつくったスープは、トットの足の痛みを消してくれました。身体の弱ったおじいさんのため、トットはこのスープを持ち帰ろうとします。でも、家を目前にトットは転び、スープは雪にとけて見えなくなってしまいました。
悲嘆にくれるトットの前に、スープを手にしたムーが現れます。スープを飲んだおじいさんはすっかり元気を取り戻したようです。それ以来、トットがムーと会うことはありませんでした。やがてトットは森の家を離れますが、あの日のことは忘れませんでした。長い時間が経ち、トットがこの物語を書くため、森の家に戻ってきました。そのとき、扉を「とんとん」と叩く小さな音が…。(店主)
Mou
作・絵 Naffy
学研プラス
2020年3月3日発行
本体2000円+税
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