アイルランドの昔話です。人々の深い悲しみが描かれる一方、妖精が登場して私たちに希望をもたらします。色彩豊かな挿し絵と一緒にお楽しみください。
百年か、それよりももっと昔のこと。アイルランドの村で生まれたばかりの赤ん坊が一軒の小屋の戸口の前に置き去りされました。小屋に暮らす夫婦に育てられた赤ん坊はオーナと名付けられ、美しく気立のよい娘に育ちます。でも、オーナはもともと流れ者の娘。オーナと結婚したいと思う若者は現れず、オーナが家族を持つことはありませんでした。
一人ぼっちのオーナは、人から求められるまま小屋から小屋へと移り住む生活を続け、多くの人に尽くし、愛されながら年老いていきました。アイルランドが大凶作に見舞われた年、オーナは居場所を無くし、村を離れます。沼地のしげみで休むオーナのもとに現れたのは妖精たちでした。その夜はクリスマス・イブ。妖精たちはオーナに、望み通りの小屋を用意します。
オーナの小屋は今でも残っているそうです。そして、雪の歩降り積もるホワイト・クリスマスの夜には孤独なものや迷えるもの、嘆き悲しむものが訪れ、オーナのおもてなしを受けているのです。世界中のすべての人に、楽しいクリスマス・イブが訪れますように!(店主)
クリスマスの小屋 アイルランドの妖精のおはなし
ルース・ソーヤー 再話
上條由美子 訳
岸野依里子 画
福音館書店
2020年10月15日発行
本体1500円+税
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