描かれているのは、とても奇妙な世界です。でも、絵には不思議なリアリティがあり、その世界に引き込まれてしまいます。
登場するものの名前も奇妙です。主人公が「スモンスモン」。舞台になっている星が「ゴンゴンせい」といった具合。お話を読み始めても、最初はなかなか理解し難いかもしれません。「スモンスモンは のこりひとつになった ロンロンを オンオンのとなりに ヨンヨンでつるすと、トントンで かわをくだっていきました」。
韻を踏んだ文章のリズムを楽しみましょう。口に出して読めば、リズムが心地よく体に響くことを実感できます。意味は、絵を見ればだんだん分かってきます。混乱したときは立ち戻って、どの名前が何を指すのか確認します。その都度、絵をじっくり見直して、その味わい深さを再確認できるのです。
奇妙な、でも愛くるしい生き物たちが助け合い、分かち合うお話です。絵本からやさしい気持ちが伝わります。スモンスモンには最後、素敵な出会いも待っていました。(店主)
スモンスモン
ソーニャ・ダウノスキ 文・絵
新本史斉 訳
岩波書店
2019年10月25日発行
本体1800円+税
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